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二人の自分 私と俺の夢世界~最強の女神様の化身になった私と、最高の魔法使いの魔術回路を埋め込まれた俺は、家族に愛されながら異世界生活を謳歌します~  作者: ソラ・ルナ
第四章 魔界編

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128話.VSミレニア=トリスティア=リーニュムジューダス(アーネスト視点)

 受付前の大きなモニター画面には、蓮華が舞台中央へと進んで行く姿が映っていた。

 そして、対峙する二人。最初は親愛を込めた表情だった二人が、変わる。

 魔の闘技場頂点、ミレニア=トリスティア=リーニュムジューダス。俺はその実力を、蓮華を救う為に世界樹へと進んでいた時に、兄貴と一緒に悪魔達を殲滅していた姿を見て知っている。

 あの兄貴が背中を任せても良いと認める程で、その実力は計り知れない。

 俺は思わずリヴァルさんに尋ねた。


「なぁリヴァルさん。もしかして相手がミレニアだって知ってたのか?」

「ああ」


 間髪を容れずに返答があった。というか、未来からやってきたリヴァルさんが、知らないわけがないか。

 この闘技場についても詳しいみたいだったし、多分過去に登録していたのかもしれない。

 というか、過去のリヴァルさんが、もしかしたら今ここに居るんじゃないか!?そう思って辺りをきょろきょろと見回す。


「何やってんのアンタ?」

「あ、いや……」


 ノルンに不審に思われてしまったかもしれない。というか、今探したからって見つかるわけもないよな。それよりも蓮華の試合に集中しよう。


「大波よ、飲み込め!『タイダルウェイヴ』!」

「甘いのう蓮華や」


 蓮華が発動した水魔法を、ミレニアが手を鳴らしただけで掻き消しちまった。


「嘘だろ……」

「嘘でしょ……」


 ノルンと言葉が被る。蓮華の魔法は、他の奴とは一線を画す。蓮華が使う初級の魔法すら、他の奴の使う上級魔法を凌駕するんだ。

 それだけの魔力の込められた魔法。それを、指先一つで掻き消すなんて。あの母さんですら、蓮華の魔法を一瞬で消すなんて所は見た事が無い。


「ぐっ……!く……結界が、持た……うあぁぁっ!?」


 何も無かった空間が突然弾け、蓮華が吹き飛ばされる。


「「蓮華っ!!」」


 またも俺とノルンの言葉が被る。あの蓮華が、簡単に吹き飛ばされるなんて……!


「ふっ……」


 一瞬、リヴァルさんが微笑んだ気がした。けど、そっちを見たら相変わらずの真剣な表情で、モニターを見ていた。

 俺も視線をモニターへと移す。


「どうした蓮華、それで終わりではあるまいな?」

「もち、ろん!行くぞぉミレニア!『ライトブレード』『シャドウブレード』」


 俺は嬉しくて身を乗り出した。あの型は、俺の二刀流の型だ。

 右手に『ライトブレード』を出現させ、左手に『シャドウブレード』を出現させて構えたあの姿。

 あんのやろう、しっかり俺の型を会得してやがる……!


「ふふ、ブレード系の魔法を使った時点で読めておるぞ蓮華や。『シャドウサーヴァント』」


 『ワープ』を使ってミレニアに急接近した蓮華だったが、それは読まれていてミレニアの魔法に不意を突かれる形になった。

 足元から出現する黒い槍を切り払い、転がるように横へ避けるが、黒い槍の出現は止まらない。

 そこへ闇の波が押し寄せる。たまらず蓮華は空へと離脱したが、それはミレニアに完全に読まれていた。

 背後から魔法を直撃され、舞台へと叩き落とされた蓮華。ゴロゴロと転がり、舞台端でぎりぎり留まった。


「す、すげぇ……」


 俺は自然と声に出していた。蓮華の強さは知っている。俺が本気を出して相手をしても勝てるかどうか分からない相手だ。

 その蓮華を、ああも圧倒するミレニア。体が震えるのを感じた。恐怖で、じゃない。俺も、戦いたい……!そう本気で思った。


 不意に、蓮華がこちらを見た、気がした。

 勘違いかもしれない。モニターを蓮華が意識したからといって、俺に向けてと思うのは自意識過剰かもしれない。

 だけど……何故かこの時は、そう思った。

 あいつは今、何かを決意して……俺に見ておけと視線を送ったんじゃないか……と。


 そして……異変は起こった。


「!!あれはダメだ……!チッ……アーネスト、ノルン!ここに居てもし会場が壊れそうになったら、街の奴らの避難を手伝え!」

「え!?リヴァルさん!?」

「ちょっとリヴァルさん!?」


 俺とノルンの言葉に耳を貸す事なく、リヴァルさんは魔の闘技場へと走って行った。

 受付嬢のアリアさんも、どういう事かと視線をこちらへと向ける。俺達も訳が分からず、顔を振る。

 そしてリヴァルさんの言葉の意味を、すぐに知る事となった。


「GAAAAAAッ!!」


 蓮華の声と思えない声で、蓮華の口から凄まじいノイズが発生する。

 始めは小さなストリーム(気流)だった魔力の風が、段々と強く……ストーム()へと変化した。

 闘技場に張られていた結界を割り、観客達が慌てふためいている。

 普段の蓮華であれば、あんな魔力の使い方はしない。いや、むしろあの状態は……理性を失っている?


「いけません……まずは皆さんを避難させなくては……!」


 受付嬢のアリアさんだけでなく、係員の人達が観客達を避難させる為に動き始めた。

 けど俺は、俺達は……その場から動かなかった。


「行かなくて良いのかノルン」

「お互い様でしょ。それに、アイツが言ったのよ。見ておけって……視線でね」

「!!」


 驚いた。ノルンも蓮華からのメッセージを読み取っていたのか。なら、やっぱあれは俺の勘違いじゃなかったんだな。


「アンタもそうでしょ?だから、動かない」

「……ああ」


 答えて、視線をモニターへと戻す。

 こんな騒ぎの状態になっても、モニターは依然として舞台の映像を映しているし、声も聞こえる。

 蓮華の数メートル先に居るミレニアの元へ、リヴァルさんが辿り着いた所だった。


「ミレニア!」

「!!お主、まさか……」

「あの状態の蓮華は不味い!このままでは、自我を失ってしまうんだ!」

「なんじゃと!?」


 なんだって!?あいつ、どうしてそんな真似を!?

 横を見れば、ノルンも信じられないという表情をしていた。


「あの秘術は、体内の刻印を全て同時に解放する。刻印は大精霊の核が刻み込まれていて、意思が宿っているんだ。各属性合わせてそれが15個だ!1個の意思なんて簡単に消し飛ぶぞ!」

「!!では発動を止めねばならぬな」

「いや、一度発動してしまった以上、もう止められない……というよりは、止めても意味がない。だから、私達で蓮華の意思を守るしかない。後は、蓮華が打ち勝つしかないんだ」

「という事は、蓮華に接触して体内のマナへと触れ、蓮華の意思を支えねばならぬという事じゃな」

「ああ、そうなる」

「成程、至極シンプルじゃが……あの荒れ狂う暴風のような魔力を受けながらは至難の業じゃな」

「蓮華に触れるのは私に任せて欲しい。ミレニアは暴走している蓮華を抑えてくれると助かる。流石に両方は難しい」

「フ……あい分かった。妾に任せよ、蓮華」

「!!」

「何も言うでない。何か理由があるのじゃろ?任せよ。この妾の力、存分に見せてやろうではないか!」

「ふふ……ああ、最高に信頼してるさ」


 途中の会話が何かノイズのようなものが聞こえて、聞き取れなかったが……どうやら、リヴァルさんとミレニアが協力をするみたいだ。

 なら、なら……!俺にも何か力になれる事があるかもしれねぇ!

 そう思った俺は、駆けだしていた。

 魔の闘技場、蓮華のいる場所へ……!

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