表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
二人の自分 私と俺の夢世界~最強の女神様の化身になった私と、最高の魔法使いの魔術回路を埋め込まれた俺は、家族に愛されながら異世界生活を謳歌します~  作者: ソラ・ルナ
第四章 魔界編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

350/714

125話.観戦 ☆

 魔の闘技場での戦いを終え、リヴァルさんの居る場所に戻ってきた。

 受付のこの場所には、天上からぶら下がるように大きなモニターが設置してあって、それぞれの闘技場の戦いを見る事が出来るようになっている。

 闘技場で直接見ようにも満員で入る事が出来なかった人や、落ち着いて見る事を好む人は、ここで見るようだ。

 ソファー等、座る場所が多々設置されているし、売店もあるので過ごし易い空間と言えるんじゃないかな。


「蓮華、また物足りなかったか?」


 周りを見てそんな事を考えていたら、リヴァルさんに声をかけられた。


「そう、ですね。あ、でも彼が全力を出せていたら……結果は変わらなくても、楽しめたかなって……」

「はは、そうか」


 私の返答に、リヴァルさんは笑って、アリアさんは口をポカーンと開いていた。美人さんが台無しな表情になってますよ?


「……あ、し、失礼しました。本当にとんでもない方ですね蓮華様は。あの『不沈艦』を相手にそんな事を言える者など、魔界広しと言えどそうはおりませんよ……」


 彼がもし全盛期の、創られたばかりの頃だったならば……もっと魔法で長時間戦えただろう。彼の実力は高かったし、その人格も好ましいものだった。

 あ、そういえば一つ気になった点がある。


「一つ聞きたい事があるんですけど、良いですか?」

「はい、この闘技場に関する事でしたらなんなりと」


 先程までの表情とは打って変わって、仕事人の顔だ。


「えっと、ダンピールなんだけど……今まで負けなかったから、創られてから今まで生きてきたんだよね。なら、今回で私が倒して……次に創られるダンピールは……その……」

「それは……」


 同じ人なのか、それがどうしても言えなかった。

 アリアさんは言葉に詰まった。きっと、私が聞きたい事を理解して。

 それを見たリヴァルさんは、しょうがないなって顔をして私の頭に手を置いた。


「全く同じ存在は居ない。仮に居ても、それはもう別の何かだ。例えば、私がお前をもう一人創れたとして、見た目が同じなら蓮華だと思うか?」

「!!」

「そういう事さ。そして……アレは長い時を偶々生きたから、意思が宿った稀有な例だ。魔剣とかと同じだな。だから、次に創られたダンピールは、全く同じ姿をした別物だと思え」

「そっか……」


 意気消沈する私に、リヴァルさんはそのまま頭を撫でる。


「気にするなとは言わない。その気持ちは大事な物だ。だけど、割り切る事も覚えろ。アイツも言ってたろ、気にするなって」

「うん、リヴァルさん……」

「よし、良い子だ」


 頭をわしわしと力強く撫でながら、笑顔でそういうリヴァルさん。ちょっと塞いでた心が軽くなった気がした。

 それから、まだ帰ってこないアーネストとノルンがどうなっているのか聞いてみた。


「ノルンは……どうやら終わったみたいだな。アーネストは……あいつめ、遊んでるな」


 リヴァルさんがアーネストの映っているモニターを見て、ニヤリと笑った。

 私もその映像に視線を移す。

 武の闘技場は、魔の闘技場より舞台が少し狭い。その為アーネストの機動力が活かし辛いように思う。

 だけど、敵の攻撃を全て紙一重でアーネストは避けている。紙一重と言うと、ギリギリで避けているっていうか、語弊があるかもしれない。

 そうじゃなくて、完全に見切って避けているんだ。最小限の動きで回避している。


「相手に技を少しでも多く出させようとしているな。いつでも倒せるだろうに、闘技場の敵すら修練相手にしているんだろう」


 リヴァルさんの言葉に、私はアーネストとの特訓を思い出した。




「隙ありだぜ蓮華っ!」


挿絵(By みてみん)


 空中に飛び上がり、ネセルを左手だけ振るうアーネスト。ネセル、本名はネスルアーセブリンガーという魔剣。

 私の魔剣になったソウル、本名をソウルイーターから呼び間違えられた事が原因で、今はネセルと名乗っている。

 二本の双剣で、凄まじく細く長い長剣だ。自分の身長よりも長い剣を、アーネストは巧みに扱う。

 ただ、ネセルの厄介な所が剣に固形されない所だ。まるで鞭のようにしなったりする。今も柄に近い部分は剣だが、先はアーネストに巻きつくように覆っており、身を守る盾の役目すら担っているのだ。


 アーネストの双眸(そうぼう)が、私の動きを見逃すまいと睨む。


「『地斬疾空牙』!」

「あめぇっ!その技は喰らわねぇよっ!」


 左手にネセルを構えながら、空いた右手で『地斬疾空牙』の生み出した衝撃波を弾く。

 空中に居ながら、私の『地斬疾空牙』を避けるアーネストに舌を巻く。


「『オーラ』で弾いたのか!でもその体制からこれは避けられないだろアーネスト!『轟炎翔龍脚』!」


 足に炎を纏わせて蹴り上げる。まぁただの炎合わせたキックなんだけど、そのままだとかっこ悪いので、ちょっと名前つけてみました。


 ギィィッ!


「っぅ~!!」

「ぐほっ!?」


 蹴った私はネセルの硬さにダメージを受け、アーネストはその衝撃を空中の為受け切れずに飛んでった。

 地面に数バウンドしたアーネストは即立ち上がり、私に近寄ってきて抗議する。


「おい蓮華!格闘術とかありか!?」

「ありに決まってるだろ。っていうか、ネセルを盾に使う所からこっちも言いたい事あるんだけど?」

「うっ!?」

「それに、『オーラ』で先に私の技を回避したのアーネストじゃん。あれだって弾いてたけど、受け流しっていう格闘術の技みたいなもんじゃないか」

「うぅっ!?」

「それなのに私には格闘術を……」

「だー!ごめんって!俺が悪かったよ!」

「あははっ……」

「おまっ!からかってたな!?」






 なんてやり取りをしながら、訓練してたんだよね。

 アーネストは、双剣でありながら双剣の戦い方だけじゃなく、状況に合わせた戦い方ができる。

 それも相手に合わせた戦い方をするのを好む。私は片手剣(刀)だから、アーネストも双剣でありながら片方だけ使うとかよくするんだよね。

 今も敵に合わせて戦っているのか、ネセルを片方しか使っていない。

 左手の髑髏が柄にある方の剣のみを振るっている。相手の剣撃を避け、払い、完璧な防御をしながら相手の隙を伺っている。


 そうして見ていたら、ノルンが戻ってきた。


「あれ、アーネストは?」

「勝ったんだよね?おめでとうノルン。アーネストはまだ戦ってるよ」

「ありがと。アンタも当然勝ってるんでしょうし聞かないわよ。というか、アーネストがまだなんておかしいわね」


 ノルンが首をかしげながらモニターを見て


「ああ……」


 と納得したような表情へと変わる。


「あいつ、本当に戦い好きよね……」

「あはは……」


 私は苦笑しながら再度モニターに視線を移す。

 画面には楽しそうに戦うアーネストと、何故か笑っているように見える魔物が映っていた。


途中の挿絵はソノさんから頂きました。

ありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ