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二人の自分 私と俺の夢世界~最強の女神様の化身になった私と、最高の魔法使いの魔術回路を埋め込まれた俺は、家族に愛されながら異世界生活を謳歌します~  作者: ソラ・ルナ
第二章 大精霊編

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34.街道

 ズバァ!


「アッシ!止めを!」


「了解!」


 ザシュゥ!


「ギャァァァッ!」


「うっし、上出来だな」


 私達は街道を進んでいる。

 もちろん馬車ではなく、徒歩でだが。

 意外にも街道には魔物が溢れていた。

 少し脇道に逸れるだけで、それはもううじゃうじゃと居る。

 最初にこの道を通った時は、そんな事は無かったはずだ。

 三人に話を聞くに、今年まではそんな事は無かったそうだが、ここ最近マナが溢れてくるようになり、魔物も活性化したのだという。

 うーむ、こんな所にも影響が出ているとは。

 そういえば、この三人だが、流石にロイヤルガードのシリウスと比べるのは酷かもしれないが、割と戦えていると思う。

 リーダーのグレクは身軽さは無いが、的確で強烈な一撃で獲物を仕留めるか、弱らせている。

 魔道師か魔法使いだと思っていたアッシは、魔法戦士だった。

 杖に魔力を注ぎ、マジックブレードにして斬りつけていた。

 コレンは魔法使いのようで、グレクやアッシのサポートに徹していた。

 うん、良いパーティだと思う。

 私?見てるだけだよ。今の所何もしていない。

 楽だね、うん。


「にしても、こんなに魔物が多いなんてな。街道進んでるだけでこれじゃ、他は考えたくねぇな」


「それね。にしても、植物系の魔物が異様に多いわよね」


「グレク、コレン、ここら辺はドライアド様の加護が強いから、魔物もその影響を受けているんだよ」


「へぇ、そうなのか」


「そうなのね」


 その言葉に、はぁと溜息をつくアッシ。


「グレクは仕方ないけど、コレンは知っててよ……」


 と愚痴るアッシだった。


「へぇ、アッシは博識なんだな」


 と思った事を言ってたら


「そ、そそそそんな事ないですよ!僕なんてまだまだで……!」


 めっちゃ狼狽えていた。

 どうしたんだろうか。

 それを見ていたグレクとコレンが呟く。


「「惚れたな(わね)」」


 聞こえた私は、あー、と思ったが。

 まぁ、中身はおっさんなんだ、ごめんよと心の中で謝っておいた。

 そしてまた街道を進む。

 そろそろ夕方かな、という頃に、それは現れた。


「グル……」


 なんだあれ、鹿?にしては、随分と大きいけど。

 見れば、三人がカタカタと震えているのが分かる。


「あ、あれは、パイコーン……!」


「と、討伐ランクAの、化け物がどうしてこんな場所に……」


 グレクとアッシが言う。

 あんまり強そうに見えないんだけどなぁ。


「アンタは逃げなさい。私達は護衛なんだから、アンタだけは助けてみせる」


 そう、震えながらコレンが言う。


「ああ、そうだな。蓮華さん、護衛失格かもしれねぇけど、ここから先は守れそうにねぇ。だから、逃げてくれ」


「そう、ですね。蓮華さん、僕達が時間を少しでも稼ぎます。だから、この魔物の出現を街に……ギルドの仲間に伝えてください……!」


 決死の表情で言う。

 うん、こいつら、自分の命よりも、仲間を慮れる奴らだ。

 私は、こういう奴らは大好きだ。

 だから、守る。

 今はまだ、私の方が強いから。

 ソウルを構え、三人の前に出る。


「「「!?」」」


 驚く三人。

 しょうがないから、認識阻害の魔法を解除する。


「「「なっ!?」」」


 今、私はあの王覧試合で見た、私に見えている事だろう。


「騙すような真似になって悪かったね。大丈夫、あいつは任せな」


 そう言って、魔物に一歩近づく。

 魔物は雷を纏っている。

 なら、土が有効だな。


「崩れろ!『アースクエイク』!」


 ゴゴゴゴゴゴゴッ!!


 とパイコーンの足場が揺れ、割れて穴へ落ちる。

 岩雪崩が起き、パイコーンに襲いかかっている。

 パイコーンは雷で壊そうとするが、岩には効果が薄い。

 そこへ飛びかかる。


「さよならだっ!」


 ザシュゥ!!


「GYAAAAA!!」


 声にならない声を上げて、胴体が二つに別れ、息絶える。

 それを見届けてから、ソウルを鞘に納める。

 うん、やっぱ大した事なかったけど、これで討伐ランクAなのか。

 長期戦だと強かったとかだろうか。

 よく分からないな。

 三人の元に歩いて戻る。


「大丈夫だったか?」


 私の言葉に、顔を何度も上下に振る三人。


「そうか。あれ、お前達のアイテムポーチに入れて、依頼達成にして良いよ。私は要らないし」


 その言葉に。


「で、できませんよ蓮華様!あんなの、俺達じゃどうやったって勝てやしなかった……!」


「そ、そうです。蓮華様、僕達なんかじゃ、受け取れませんよ……」


「蓮華様、私、その……ごめん、なさい」


 三人にどうしたものかと思案する。


「んー、なら、貸しって事で」


「「「貸し?」」」


「ああ。三人はこれから、あの魔物より強くなって、オーガストで一番の冒険者になるんだ。そうしたら、貸しはチャラって事で良いよ」


 そう笑顔で言う。


「蓮華様、俺……俺、蓮華様みたいに強くなれますか!?」


 グレクがそう尋ねてくる。

 私は悩んだが、正直に伝える事にした。


「それは分からない。だけど、努力は裏切らないよ。大丈夫、一歩一歩進んで行けば良いと思うよ」


 そう、簡単に言うわけにはいかない。

 でも、努力は裏切らない、これは本当だ。

 その言葉に。


「はいっ!」


 と元気良く言うグレクを見て安心する。


「あの、その……私、蓮華様だと気付けなくって、それで……」


 しどろもどろになっているコレン。


「そうしていたのは私だからね。気にしなくて良いよ」


 と笑顔で言ったら


「は、はいぃ……!」


 なんか顔を赤らめてしまった。

 この世界にきてから、この反応が多い気がする。

 これが普通なんだろうか。


「ぼ、僕……強くなります。蓮華様に、強くなったって言われるくらい、強く……!」


「そっか、頑張れ」


 その言葉に、嬉しそうにするアッシを見てから、皆に伝える。


「それじゃ、仕舞ってから帰ろうか。あ、また私って分からないようにするから、皆も知らない時と同じようにお願いね」


「「「そんな無茶な……!」」」


 三人が口を揃えて言うのを、笑いながら魔法を掛け直した。




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