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二人の自分 私と俺の夢世界~最強の女神様の化身になった私と、最高の魔法使いの魔術回路を埋め込まれた俺は、家族に愛されながら異世界生活を謳歌します~  作者: ソラ・ルナ
第四章 魔界編

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116話.戦闘力

「そこまでだ、休憩にしよう」


 リヴァルさんの言葉に、私はその場に座り込む。

 アーネストはネセルを地面に突き刺し、柄の上に両手を乗せて体重を預けている。その顔には汗が浮かんでいるけれど、まだまだやる気はあるというのが表情で分かる。

 ノルンは私やアーネストのように体力の回復をしやすい態勢をとっておらず、そのまま立っている。

 目を瞑り、立ったまま瞑想しているかのようだ。マナが体中を均一に覆っている。


「分かっていた事だが、お前達の成長速度には驚かされるな。これならすぐに私も追い抜かされそうだ」

「「「それはない(です)(ぜ)(わよ)」」」


 リヴァルさんの言葉に、私達は同時に反論する。目を瞑っていたノルンまで目を開けて言うのだから、息ぴったりで笑ってしまう。


「……そこは、すぐに抜いてやるって言う所じゃないか?」


 そう苦笑しながら言うリヴァルさん。だけど、自身のマナの使い方が上手くなるほどマナを感じられるように、リヴァルさんの魔力量を感じ取れる最大量が上がるんだ。

 最初に感じ取れていた、なんとなく凄い魔力量……だったのが、より身近に感じれるようになっていく。

 自分が強くなれば相手の力量も分かるようになる、というのを身を持って感じているのだ。


「いやいや、正直強くなるほどに差を感じるんだけどさ。この言い方もおかしいか?なんつーのかな、最初に漠然と感じてた力の差が、今ははっきりと分かるようになってきて……その差が、最初に思ってた差より広いっつーのかな、上手く言えねぇんだけど……」


 アーネストの言う事が、私には分かる。


「ま、この差は簡単に追いつけるとは思っていないって事よ」


 ノルンの言葉に、私とアーネストは頷く。

 すると、リヴァルさんは胸から何かを取り出した。


「なら、これを皆にやるよ。()……マーガリンさんが創った魔道具の一つで、相手の現状の力を見る事が出来るんだ」


 リヴァルさんの言葉に、私とアーネストは顔を見合わせる。

 うん、言うなアーネスト。私も同じ事思ったから。


「私の世界では『メジャー』と呼ばれている物だ。ブレスレット型だから携帯にも便利だぞ」


 リヴァルさんから『メジャー』を受け取る。結構しっかりした作りで、簡単に爆発したりしなさそうだ。


「使う時は力を見たい相手を見ながら、ブレスレットの赤いボタンを押すと良い」


 言われた通りリヴァルさんを見ながら赤いボタンを押してみる。

 すると、目の前に魔方陣のような物が出てきて、中に言葉と数字が表示されていた。



BP 704,730,655,579



「「「7047億!?」」」

「ああ、今ちょっと制限受けてるからそんなものかな?後は消したければ横の青いボタンを押すと視界から消えるぞ」


 青いボタンを押すと、魔方陣が消えて通常の視界になった。これは便利だね。


「BPはバトルポイントと言って、力やスピード、魔力とかを総合的に判断して表示される数値だ。けど、オーラとかスキルは考慮されていない単純な『力』を測定するものだから、数値をそのまま強さと思わない方が良いぞ。一種の目安だな」


 成程。ちょっと気になったので、アーネストを測ってみる。



BP 65,910,059,200



 おお、659億。つまり、リヴァルさんはアーネストの10倍以上強いのか。


「お前俺の数値測っただろ?俺も測っても良いよな?」


 測っているのがバレた。って当たり前だよね、アーネスト見てボタン押したんだから。


「別に良いけど、そっちも数値教えて欲しいんだけど」

「おう、蓮華も言ってくれよ?」

「アーネストは659億だったよ」

「……高いのか低いのか分かんねぇ」


 確かに。そう思っていたら、リヴァルさんが分かりやすい例えを言ってくれた。


「ああ、一般の戦う事を必要としない人達でBPは3から100の間だな。赤ちゃんや3歳ぐらいまでの子は0から1だ。力仕事をしない人なら3で、城の兵士になれるかもと言ったレベルで100を超えるかどうかだな」

「滅茶苦茶強いのかこれ!?」


 ええと、一般の大人で5から100って事だよね。億って、超サイ○人か何かかな。


「その数値は総合的な物で、最大値が示されるわけじゃないけどな。それに、力の消費量や制御は考慮されていないから、数値の近い者同士が戦ったとして、数値が高い方が勝つとは限らないわけだ。ま、それでも参考にはなるし、これからの修練も数値が上がるとモチベーションも上がるだろ?」


 そうウインクをするリヴァルさんが、とても綺麗で可愛くて思わず見惚れてしまった。

 私は顔を振って気を取り直す。


「それでアーネスト、私は数値どれくらいだったんだ?」

「……これ故障してんじゃないか?蓮華が8500万ってありえねーだろ?」


 ありゃ、私はアーネストより658億も下なのか。

 そんなに下なの!?


「いえ、私の方も蓮華は8500万になってるわ。どういう事かしら?」


 ちなみにノルンは660億でアーネストより少し上だった。


「リヴァルさん、どういう事なの?私や会……アーネストと、蓮華にそこまで差があるとは思えないんだけど」

「ああ、それは普段蓮華が制限を受けているからだ」

「「「え?」」」

「蓮華の元は世界樹ユグドラシルだろ?だから事実上のマナ数値を測ると、私の数値より更に高くなる。けど、その魔道具はそういった外部的要素を取り除く。その際に、世界樹のマナ数値を除外されて計測されているわけだな」


 つまり、この数値はユグドラシルのバフというか、そういった物を除外した時の数値って事になるのかな?


「これが目安にっていう理由だ。実際の蓮華の戦闘力は、この数値ではないとお前達は分かるだろう?」

「「……」」


 二人が真剣な表情で頷く。二人にそうされると、嬉しいような恥ずかしいような。


「ま、蓮華の数値は当てにできねーけど、他は大抵は合ってるんだよな?」


 アーネストが気を取り直して明るく言うのを、リヴァルさんは肯定する。


「そうだな。ちなみにこの修練を開始する前は、お前達はその半分も無かったぞ」

「「「嘘!?」」」


 どれだけ強くなったんだ私達は。

 そういえば、この魔道具を使ったら母さんや兄さん、アリス姉さんも分かるんだろうか。

 ちょっと興味があると言うか、知るのが少し怖いと言うか……


「ちなみに、マーガリンさんやロキさんは1兆を超えているぞ」

「「「!!」」」


 私が考えていた事を先読みされてしまった。

 にしても、1兆……1兆て。差がありすぎてもはや乾いた笑いが出てしまいそうだ。


「まぁお前達の目標はBP1000億を超える事だ。休憩はこれくらいで良いな?」

「リヴァルさん!私無理じゃないですか!?」


 なんせ私は8500万なのだ。絶対に無理だ。


「最初に言ったろ?蓮華、お前はユグドラシルの試練を半分乗り越えろって。その為の土台を今は強化している。相手がずっとユグドラシルなんだから、試練の時は楽勝なはずだ」

「!」


 そうか、リヴァルさんは最初から計算ずくだったんだ。

 敵わないな、この人には。



 私達が会話しながら休憩している間、ユグドラシルは草原に座布団を置いて、そこに正座しながらお茶を飲んでいた。

 イグドラシルはというと、そんなユグドラシルのすぐ横から、もたれかかって甘えている。

 リヴァルさんは後ろをむいて、そんな二人に声を掛けた。


「おいイグドラシル、そろそろユグドラシルを解放してくれ。再開するぞ」

「えー、もう?姉妹水入らずの時間を尊重してくれてもよくないー?」

「今すぐ送還してやろうか?」

「やる!やるよ!?」

「ふふ。リヴァル、イグドラシルも悪気があるわけじゃないから」

「分かってるよユグドラシル。それじゃ、蓮華とノルンを頼む。アーネスト、準備は良いな?」

「おうっ!いつでも良いぜ!」


 リヴァルさんに言われて、飛び跳ねるようにしてノルンの前に行くイグドラシル。

 それを見て笑っているユグドラシルは、のんびりと私の前へと歩いてきた。

 リヴァルさんはやれやれといった感じで、アーネストの前へと『ワープ』した。

 息を吸うように、一瞬で間合いを詰めるのがリヴァルさんだ。

 あのリヴァルさんとずっと戦っているアーネストは、『ワープ』を使う相手との戦いにかなり優勢で戦えるんじゃないだろうか。

 私もノルンも『ワープ』を戦術に組み込んでいるから、対策を立てないと簡単に破られそうだ。


 こうしてまた私とユグドラシル、アーネストとリヴァルさん、そしてノルンとイグドラシルの実戦形式の特訓を再開した。

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