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二人の自分 私と俺の夢世界~最強の女神様の化身になった私と、最高の魔法使いの魔術回路を埋め込まれた俺は、家族に愛されながら異世界生活を謳歌します~  作者: ソラ・ルナ
第二章 大精霊編

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33.漆黒の翼

 アーネストが家に帰った後。

 私達も移動するかと思ったのだが、私は前回、オーブの場所まで馬車で行った為、道を全く知らない事を思い出す。


「ディーネ、オーブの祠の場所までの道って分かる?」


 ダメ元で尋ねてみたけれど。


「私が人間の世界の配置など、詳しいわけがないでしょう?」


 と返されてしまった。

 うーむ、ディーネも道を知らないなら、街の人に聞くしかないんだけど。

 今の状態で街に戻るとなるとなぁ。

 服装こそいつものに着替えたけれど、顔は知られちゃってるし。

 仮面を被るか?街中で仮面をつけて歩く……。

 うん、想像しただけで凄くシュールだ、やめておこう。

 悩んでいると。


「認識阻害の魔法を使えば良いのでは?」


「ああ!その手があった!流石ディーネ!」


「いえ、レンが……なんでもありません」


 なんか気になる所でセリフを止められた気がするけど、気にしない。

 それじゃ、情報を集めるならギルドだよね。

 冒険者ギルドの方に行ってみる事をディーネに伝え、向かう事にした。

 幸い、シリウスの王都案内で色々場所は聞いたし、王覧試合までの間、探索しまくったので割とこの王都の地理には詳しくなっていたりする。


 カランカラン!


 扉を開けると音がする。

 こちらを見る者が結構いるけど、興味を失ったのかすぐに顔を戻す。

 おお、認識阻害の魔法の効果は抜群だな。

 私を私って認識してたら、きっとこんな態度じゃなかったろう。

 空いている席を探してたら。


「王覧試合、凄かったよな。特に大将戦、あの二人の剣捌き、ヤバすぎだろ」


「だな、それにあの美少女の魔法も凄かったし、それを全部剣で防ぐとかとんでもねぇよ。流石はマーガリン様のご子息様とご息女様だな」


 なんて所々で話しているのが聞こえる。

 うがー!むずかゆいー!

 下を向いてぷるぷる震えている私。

 そんな私を見て笑っているディーネ。


「そういえばよ、ここ最近、マナが落ち着いてきただろ?なんか噂では、すっげぇ美少女が解決してくれたって話だぜ?」


「ああ、その噂は俺も聞いた事あるな。確か、あのシリウス様が警護にあたってたんだろ?」


「あ、それ私も聞いたわよ。ロイヤルガードのシリウス様が直々に警護にあたるんだもの、きっと凄い方なんでしょうね」


 なんて話も聞こえる。

 人の口には戸がたてられないとは言うけど、王国の一部の関係者しか知られてない事が、漏れてて良いんだろうか。

 まぁ、オーブとか詳しい話は知らないみたいだけど。

 って、そこで思った。

 オーブの場所とか聞けないじゃん。

 ど、どうしよう。

 シリウスに聞くのが一番手っ取り早いんだけど、仕事で忙しいだろうしなぁ……特に今は。

 悩んでいると、私と同じくらいに見える青年達の話声が聞こえた。


「なぁ、この依頼受けようぜ。街道に最近現れた魔物の討伐。討伐ランクもCだし、俺達でも倒せそうだろ?」


 あのパーティのリーダーだろうか、背中に大剣を背負った青年が言う。


「で、でも僕達、まだこの間ランクDに上がったばかりだよ?一応一つ上までは受けられるけど、危険じゃない……?」


 気弱そうな青年が答える。杖を持っているし、魔道師だろうか。それとも魔法使いかな?


「もぅ!私達なら大丈夫よ!ゴブリンやコボルトなら、今まで何十体も倒してきたじゃない!」


 ツインテールの、いかにもツンデレキャラみたいな女の子が言う。

 討伐依頼、それも街道って事は、オーブのある祠へ行く道かもしれない。

 私が行って勝手に倒してしまうと、その依頼が終わってしまうんだよな多分。

 そうすると、これからの若手の未来を閉ざす事になるかもしれない。

 それは私の望む所じゃないし……。


「レン、まさか協力するつもりですか?」


 とディーネが聞いてくる。


「まぁ、何か情報が聞けるかもしれないしさ。ほんのちょっと、手伝うだけだよ」


 その言葉に、やれやれと言った顔をするディーネ。


「では、私は少しの間戻っていますね。またレンだけになったら、呼んでください」


 そう言って消えるディーネ。

 やっぱり、基本人間の事は好きじゃないのかな。

 嫌いってわけでもなさそうだけど、まだ精霊の事を良く知らないしなぁ……。

 ま、それは今後考えて行けば良いか。

 青年達に声を掛ける。


「ねぇ君達。その討伐依頼を受けるなら、私も連れて行ってくれないかな?」


「「「!?」」」


 私の言葉に驚いた顔をする三人。


「ね、ねぇ、傍に来るまで全く気付かなかったんだけど、アンタ達は気付けた!?」


「い、いや。全然気配すら感じなかったぜ……」


「ぼ、僕も。この人、もしかしたら凄い方なんじゃ……」


 と言っているのが小声だけど丸聞こえだ。

 大丈夫かこいつら。


「えーと、街道の先に私は用があってね。途中までで良いから、護衛として雇えないかと思ってね」


 その言葉に女の子が食いつく。


「護衛!なら、討伐と二つの依頼になるわね!一気にポイントを稼ぐチャンスよグレク!」


 大剣を持った彼はグレクと言うのか。


「おお、そうだな!コレンも乗り気なら、俺は構わねぇぜ!」


 で、ツインテールの女の子はコレンか。


「二人が良いなら、僕も。ただ、討伐がちょっと不安なんだけど……それに、護衛って、僕達だけで大丈夫なの……?」


 不安そうに言っているから、少し言っておくか。


「ああ、護衛として雇うけれど、私もある程度は戦えるから、守るより攻めに専念して貰って良いよ」


 その言葉に喜ぶ三人。


「よし!なら受注するぜ!っと、遅くなったけど、俺はグレク。んでこいつがアッシで、女の子がコレンだ。よろしくな」


 グレクにアッシ、コレンか。

 ん、覚えた。


「私は……」


言おうとして悩んだ。蓮華と言ってしまって大丈夫だろうか、と。


「「「私は?」」」


 まぁ良いか。


「蓮華っていうんだ。よろしく」


 その言葉に。


「おー!あの王覧試合の人と同じ名前とか、珍しいな!」


 あれ、同一人物なんだけど、そう思われていないっぽい?


「ホントホント。まぁ、あの蓮華様はすんごい美少女だしね。アンタも割と良い方だと思うけど、あの蓮華様ほどじゃないもの。名前を言い辛かったのも分かるわ、同名の方があんなに凄い方じゃね」


 なんか言いよどんだのも、好意的に解釈されてしまった。

 ま、良いか。


「こ、こらコレン、失礼だよ。ご、ごめんね蓮華さん。その、蓮華さんもとっても可愛いと思うよ」


 と、赤くなりながら言う。

 無理して言わなくても。

 でも成程。

 認識阻害の魔法を掛けたままだから、私を私と見えないのか。

 これは助かるな。

 消費魔力も大した事ないし、大抵掛けておくかな。

 知り合いには限定的に解除できる方法とかあるかな、またディーネに聞いておこう。


「それじゃ、受付に行こうぜ!蓮華さんもついてきてくれよな!」


「ん、了解」


 そして受付の前で待つ事10分程。

 ようやく前の人が居なくなって、受付の前へ。

 以前は母さんが居たから直だったけど、普通そうだよね。

 ってあれ、受付の人がすんごく驚いた顔してるんだけど、どうしたんだろう。


「あ、あの、少しお待ち頂けますか?」


 と言われ、四人とも頭を傾げる。

 すると私にだけ聞こえるように言う。


「あ、あの、蓮華様。認識阻害の魔法を掛けていらっしゃるようですが、私共ギルド職員には、マーガリン様より看破のマジックアイテムを付与されている為、効果がないのです」


 げ、そうだったのか。

 でも不正を防ぐ為の処置なんだろうな。


「えーと、内緒にしてもらって良いですか?ここには、一旅人として来たので」


 と伝える。


「か、畏まりました。その、蓮華様に護衛など必要なさそうですが、依頼されるのですか?」


 ああ、王覧試合を見た後だもんなぁ。


「うん、それに討伐依頼、マナが落ち着いてから出てきた魔物なら、少し気になるからね。彼らで対処できなければ、私の方で対処しとくよ」


「それは……ありがとうございます。蓮華様がついていてくれるなら、安心ですね。依頼料の方は、ギルドで出させて頂きますので」


「え、いやそれは悪いよ」


「いえ、蓮華様には新人の安全を守って頂くのですから、当然の事です。本来であれば、蓮華様に支払わなければならない所です」


 そう言われては、何も言えない。


「ん、了解。それじゃ、頼むよ」


「はい、お任せください蓮華様」


 とニッコリと微笑む。

 受付さんの営業スマイルなのは分かっているけど、可愛いものだね。


「それでは皆さん、依頼は受理されました。ランクDパーティ『漆黒の翼』は、街道に潜む魔物の調査、出没するようであればこれを討伐。死体をできれば残し、ギルドに持ち帰ってください。そして街道を進む蓮華様の護衛となります。質問はありますか?」


「護衛って、どこまでなんですか?」


 当然の質問だな。


「ああ、一度ここまで一緒に戻るから、大丈夫だよ。だから、ここまで帰ってきたら、依頼も達成だよ」


 その言葉に嬉しそうにする三人。

 まぁ、ほとんど確実に達成できる依頼が一つ舞い込んだみたいなものだしな。

 最悪、討伐できなくても、私の護衛の方は達成できるんだから。


「それじゃ、よろしくな三人共」


 そう声を掛けて、向かう事にした。


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