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二人の自分 私と俺の夢世界~最強の女神様の化身になった私と、最高の魔法使いの魔術回路を埋め込まれた俺は、家族に愛されながら異世界生活を謳歌します~  作者: ソラ・ルナ
第四章 魔界編

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108話.戦いを終えて

「皆、大丈夫だった?」


 周りを見渡せば、皆傷ついてはいるものの、重傷者は居ないようで安心する。


「「蓮華お姉様っ!!」」

「おぐぅっ!」


 さっきマテをしたせいか、勢いよく飛びついてくる二人を受け止める。

 まるで犬のようとか言ったら失礼だけど、可愛いので許してほしい。


「「蓮華お姉様蓮華お姉様蓮華お姉様ー!!」」

「あは、あははっ!髪がくすぐったい、くすぐったいから!」


 尚も頭をぐりぐりとこすりつけてくる二人。

 さっきは犬のようって思ったけど、その仕草は猫だった。


「蓮華さん、あの人は放っておいて良いんですか?」


 照矢君がアーネストの方を見て言う。

 私は笑顔で応えた。


「うん、あいつらが私以上に強くない限り、アーネストが負ける事はないと思うよ」

「あの人蓮華サン並みに強いン!?」


 照矢君と玲於奈ちゃんが驚いた顔をしてアーネストの方を見ている。

 特訓を別々でしてるので、今のアーネストの実力は分からない。

 だけど、あのリヴァルさんと毎日死に物狂いで戦ってるアーネストだ。

 滅茶苦茶腕を上げてるに決まってる。

 私もユーちゃんと毎日戦ってきたけど、うかうかしてたらアーネストに置いていかれてしまう。

 それだけは許せないからね!


「ま、あっちは放っておいて良いよ。それより、アルスさんが後詰をしてくれてたみたいだし、もう大丈夫って伝えに行こう。ほら、そういうわけだから二人は離れなさいね」

「「ええー」」

「ええーじゃありません」

「「はーい」」


 まったく、こういう所は年相応の女の子なんだけど。


「なンか、蓮華サンと一緒に居ると、印象が全然違うンだけど」

「キリッとしててかっこよかったのに、なんていうか今は年頃の女の子って感じがするね」


 玲於奈ちゃんが微笑みながら言って、照矢君が同意していた。

 私もそう思うけどね。


「お姉様ぁー!」

「おっと!?なンなンケイ!?」

「お姉様お姉様お姉様ー!」

「だぁー!だからなンなン!?引っ付くなうっとおしい!」

「私達も姉妹の仲の良さを見せつけましょうー!」

「姉妹じゃねぇかンなっ!!」

「ひんひん!?」


 ハルコさんが玲於奈ちゃんに抱きついて、玲於奈ちゃんはそれを引きはがそうと頭を押してるけれど、ハルコさんは力強く抱きついているのか、まったく剥がれない。

 それを照矢君達は笑って見ている。多分、いつもの光景なんだろうな。

 ちなみに私達別に姉妹じゃないんだけど。いやカレンとアニスは双子の姉妹だけど。


「さ、先に行ってるねー」


 少し声のトーンを落としてそう言って歩き出すと、玲於奈ちゃんが慌てた。


「ちょ、蓮華サン待って!?私ら置いてかないで!?いい加減離れろケイ!」

「ふぇぇんお姉様の浮気者ぉー!」

「なンでそうなる!?って別になンか遠慮する事もねぇンだけど!?」


 後ろでぎゃいぎゃいと騒いでいる二人は放っておいて、アルスさんの元へ。


「蓮華様、お疲れ様でした」

「「「「「お疲れ様でしたっ!!」」」」」


 アルスさんを筆頭に、騎士団の方々が皆一斉に自身の胸に手を添え、礼をしてくれた。

 私としては、民達の安全を第一に、そして戦っている皆がいつでも撤退できるように待機してくれていた皆にこそ礼を言いたい。


「皆さんもお疲れ様です。守ってくれて、ありがとうございました」


 なので、お礼を言って頭を下げる。

 中にはそれに驚いている人達も居たみたいだ。

 本来、貴族の位が高い者が、下の者に頭を下げる事はないんだったっけ。

 でも私は根っからの平民の子なので。母さんからも好きにして良いってお墨付きだからね。


「事後処理は俺達にお任せください蓮華様。皆ご苦労だったな。だが、もうひと頑張り頼むぞ」

「「「「「ハッ」」」」」

「蓮華様、俺達はこれで失礼致します。シリウスは俺が責任をもって屋敷まで送っておきます」

「うん、ありがとう。今日はもう遅いから、また明日顔を出すって伝えておいてくれるかな?」

「それはシリウスも喜ぶと思います。今日は本当にありがとうございました。それでは」


 ぺこりともう一度頭を下げ、アルスさんは騎士団の皆さんと共に、この場から離れて行った。


「蓮華さん、少し良いですか?」


 すると、照矢君が真剣な表情で見つめてきた。


「告白なら悪いんだけど……」

「いや違いますからね!?確かに真剣な顔作りましたけどね!?」

「テリー!!」

「だから違うってばっ!?」


 アーネストに対するノリみたいに、少しからかったらミレイユが悪乗りしてしまった。


「あはは、ごめんごめん。私って真剣な場が苦手で。それで、どうしたのかな?」

「とてもそうは見えないんですけどね……。ゴホン、その、この世界ってダンジョンとかってあります?」

「ダンジョン?」


 ダンジョンって言うと、あのダンジョンだよね。

 いやどのダンジョンだよってツッコミは置いといて。


「はい。俺達、さっきの奴に手も足も出なかったんです。これでも元の世界じゃかなり戦えたんですけど……このままじゃ、俺達はお荷物になってしまう。だから、レベル上げしたいんです」


 レベル上げときたか。

 正直、この世界にレベルという概念がある事を失念していた。


「蓮華さんはベースのステータスを上げてるんですよね。街の人達もレベルはあんまり高くなかったですし。けど俺達は、そういうのできないんです」


 う、うん?どういう事だろう?


「兄ちゃん、毎回はしょりすぎなンだって。私達とシステムが違うんだろうし、最初から言った方が良いじゃン?」

「そ、そうだな。ええと……例えば、俺達は走ったり腕立て伏せをして筋肉をつけようとしても、そのまま持久力が上がったり筋肉がついたりせずに、EXPっていう経験値が入るんです」


 EXPって、ゲームとかであった次のレベルまでってやつだよね。

 え、そういうのなの!?


「驚かれると思いますけど、俺達の居た世界ではそうだったんです。で、それがこの世界でも適応されてるみたいで……俺達が強くなるには魔物を倒すのが早いんです」

「だから、そういう魔物が多そうなダンジョンとかないかなって思ったンだよね」


 成程。

 でも生憎と私はそういう事に詳しくないんだよね。

 あ、魔界にはワルドモンスターっていうダンジョンがあるんだっけ。


「魔界には、ワルドモンスターっていうダンジョンが複数あるみたいなんだけど……」

「「魔界!」」

「確か、今は魔界には行けないんじゃったなぁ……」

「「あ……」」


 ミレイユに言われて理由を思い出した照矢君と玲於奈ちゃんが、ほぼ同時に喜んで悲しむのでちょっと笑ってしまった。

 流石兄妹だね。


「あら蓮華お姉様、地上にもありますわよ?」

「え?」


 意外な所で、カレンからフォローが入る。


「地上にもワルドモンスター居るの?」

「いえ、そうではありませんわ。魔界には魔物としてのダンジョンですが、地上には昔から、13の遺跡としてのダンジョンがありますの」


 なにそれ、初耳だ。


「地下深くまで続いており、未だに最下層まで行けた者はおりません。どこに繋がっているかも不明。中には魔物が定期的に湧くので、地上に溢れ出ないよう騎士団が浅い層を掃討し間引いておりますの」


 成程……しかし、13って事はもしかして……。


「ねぇカレン、13って事は、1つの国に1つあったりする?」

「ふふ、流石蓮華お姉様。その通りですわ」


 やっぱり。でも数が1つ多いけど……もしかして最後の1つはユグドラシル領にあったりするのかな。


「13のダンジョンのうち、12はそれぞれの国が1つずつ管理しております。そして13個目は、ヴィクトリアス学園にありますわ」

「!!」


 まさかの学園だった!もしかして、結界が一部解除されてる場所があったけど、あそこかな。あの雨が降る場所。


「カレン、そのダンジョンに入るには、許可ってやっぱり要るよね?」

「冒険者であれば普通に入れますので、大丈夫ですわ」

「おお!」

「ならいけるじゃン!」


 カレンの言葉に、照矢君と玲於奈ちゃんがハイタッチする。

 でもダンジョンか……正直私も興味ある。


「ねぇ皆、そのダンジョンなんだけど、最初だけ私も付き合っても良い?」

「「「「「!?」」」」」


 あれ、皆が凄く驚いた顔してる。なんでだろう?


「おい蓮華!なんか面白そうな話してんな!俺も混ぜろよ!」


 気付けばアーネストが、さっきの二人を縄でグルグル巻きにして、引きずりながらこちらにきた。

 ちょ、なにしてんの。


「……捕獲したのか、アーネスト」

「おう、話色々と聞き出せるかもしれねーだろ?」


 成程、昔のアーネストならそのまま倒してた気がするけど。


「先の事を考えてるだなんて、成長したんだなアーネスト……」


 涙がホロリと出てしまった。


「だからお前は俺のおかんか!?」


 アーネストにまた突っ込まれてしまった。


「アーネスト、頼みがある」

「な、なんだよ?」


 急に真剣になった私に、戸惑うアーネスト。

 気にせず続ける。


「リヴァルさんを説得するの手伝ってくれ」

「お前考えなしかよ!?」

「アーネストも面白そうな話って言ったじゃないか!?」

「そりゃ言ったけどな!?」


 私とアーネストがいつも通りぎゃいぎゃいと言い合っていたら、照矢君達がポカーンとしていた。


「ノルンさんが言ってたの、これか」

「印象が変わるって、今なら分かるじゃン。なンつーか……ガッコ行ってた時のダチとの会話思い出すじゃン」

「あれが蓮華の素なのじゃろうな。気を許せる者が居るというのは、大切な事じゃ。妾もそれは良く分かるのじゃ」

「ボッチだったミレイユ様が、今はテリー様と妹様に恵まれましたからねー」

「ボッチじゃないのじゃー!!」

「ひんひん!私をナチュラルに省くのやめてくださいー!」


 うん、相変わらずあっちも仲が良いよね。


「そんで蓮華、紹介してくれんだよな?」

「ああ、分かってるよアーネスト。とりあえず今日は自己紹介だけして、一旦帰ろう。あんまり遅くなると母さん達に気付かれるかもしれないし」

「そうだな。まぁ母さん達の場合、もう気付いてるかもしんねーけど」


 う、それは否定できない。


「蓮華お姉様、もう帰ってしまわれるのですか!?」

「もっとお話、したいです!」


 二人が引き留めてくるけど、正直物凄く眠たい。

 さっきは緊張感とかで眠気は全く無かったんだけど、今は終わった安堵感からか、一気に眠気が襲ってきた。

 いつもならもう眠ってる時間だし。


「また明日、シリウスの家で。ね?」

「「うぅー」」


 なおも渋る二人の説得がちょっと大変だったけど、皆にアーネストを紹介して、また明日シリウスの家で話をしようという事で、一旦お開きになった。

 さて、リヴァルさんに明日とダンジョン行く間の特訓の休暇を貰えないか聞かないと。

 リヴァルさん、認めてくれるだろうか……。

お読み頂きありがとうございます。

諸事情により、2021年4月まで休載致します。

楽しみにして下さっている方には申し訳ありませんが、しばらくお待ちください。


※2021/03/10追記

休載の期間を一ヵ月間延長致します。

諸事情の期間が一か月延びた為です。

楽しみにしてくれている方は本当にごめんなさい。

また書けるようになれば更新していきたいと思いますので、お待ちいただければ幸いです。

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