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二人の自分 私と俺の夢世界~最強の女神様の化身になった私と、最高の魔法使いの魔術回路を埋め込まれた俺は、家族に愛されながら異世界生活を謳歌します~  作者: ソラ・ルナ
第四章 魔界編

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99話.大精霊達の意思

 蓮華達がリヴァルと特訓を開始した頃、ユグドラシル領の大精霊達が集まっている家では、話し合いが行われていた。


「まさかレンがあんなに成長するなんて……」

「いや、そこじゃないからねウンディーネ」


 ウンディーネが蕩けた表情で言うのを、ヴォルトが呆れた表情で突っ込む。


「ミラヴェル様からも聞いたけれど、この目で見てもまだ信じられないわね」

「ま、まぁ蓮華様の見た目の話は良いとしやして、問題は未来の改変でさぁ」


 ソファーに腰かけ、足を組み変えながらウンディーネに相槌を打つセルシウスに、ノームが話の方向を変える。


「別に禁じられてるわけじゃないから、良いんじゃない?」

「我が盟友、マイロードの為ならば、力を惜しむつもりはないぞ!」


 レニオンとカオスは、歴史の改変も特に問題視しておらず、蓮華達に力を貸す事に異存は無かった。


「うむ、わしも構わん!そもそも、弟子の力にならずして何が師匠か!」

「イフリートは自称師匠だと思うけどね……あ、俺も勿論姉御の味方するよ?」


 イフリートが腕を組みながら、さも当然という態度でそう言う。

 サラマンドラもまた、イフリートにツッコミながらも自分の意思を伝えた。


「僕も異議なし。というか、全員の意思を確認する必要なさそうだけどね?レンちゃんが気に入って、皆ここに居るんでしょ?」


 シルフの言葉に、集まっている大精霊達は一様に頷く。


「私も~、れんげちゃんの~、力になりたい~」


 いつも通りおっとりとした話し方で、されど力強く言うのは、木の大精霊ドライアドだ。


「レンゲ、イッショ、アッタカイ。レンゲニワルイコトスルナラ、ユルセナイー」


 小さいお人形のような姿をしているヴィーナスも、蓮華を想い憤慨しているのが分かった。


「わらわもなのじゃヴィーナス!勿論ルナも同じ想いなのじゃ!」


 日の大精霊アマテラスは、月の大精霊ルナマリヤと文字通り一心同体である。

 朝昼はアマテラスが、夕夜はルナマリヤが表に出る。

 今はまだ朝の為、アマテラスが表に出ている。

 しかし、二人は心の中で会話ができる為、その意思を伝える事が可能なのである。


 全員の意見を聞き、ミラヴェルは目を瞑る。

 その姿を大精霊達が全員見守る。

 しばらくして、ミラヴェルは目を開けた。

 その瞳に見つめられた大精霊達は、体を硬くする。

 大精霊達の中で、一階位上位の存在。

 時の大精霊ミラヴェルと空の大精霊サクラ。

 この二人の大精霊は、精霊王であるアリスティアと対等の存在であり、大精霊達のまとめ役を担っていた。

 大精霊達も緊張する相手なのだ。


「そうか。お前達の意思は確認した。では、問題は無いと認める。サクラには私から伝えに行こう。リヴァルから渡された魔道具で、未来の私からある程度の情報は得られたが、すでに過去は変わっている。臨機応変に対応していかねばならない。くれぐれも油断はするな、以上だ」


 そうまとめ、ミラヴェルは家を後にする。

 残された大精霊達は、緊張の糸がきれたかのように脱力する。


「はー、僕ミラヴェル様の前だと緊張するんだよね。嫌いじゃないんだけど、少し苦手なんだよねー」


 そうシルフが零すのを、他の大精霊達は苦笑して聞いていた。


「ソロモンの指輪による神々の使役、か。アリスティア様すら敗れたのだから、相当よね。でも、今回は奇襲は成功しない」


 セルシウスの言葉に、全員が力強く頷く。


「私達もそろそろ、力をつける時期だと思うわ。イフリートの部屋が丁度良い場所だったわよね?」


 その言葉に、イフリートは豪快に笑う。


「フハハハハ!うむ!こんな事もあろうかとぉ!」

「いや、イフリートは完全にただの趣味でそうしたよね?」

「そうとも言うな!」

「そうとしか言わないじゃん!?」


 イフリートとサラマンドラの言い合いは今に始まった事ではないので、皆スルーである。


「それじゃ、今日から私達も訓練しましょうか。蓮華の力になる為に」


 そうして、全員がイフリートの部屋へと移動する。

 火の大精霊の部屋だからと、火に包まれているというわけではなく、闘技場をイメージしたその部屋に、ウンディーネやセルシウス、ドライアドといった女性の姿をかたどった大精霊達は若干引いていた。


「今回は役立ったけれど……自分の部屋をこんな風にするとか、何考えたらできるのかしら……」

「頭が痛くなってきました……」


 セルシウスとウンディーネが共にそう零し、他の大精霊達も頷いていた。

 しかし、イフリートは特に気にした様子もない。


「フハハ!ここで心身共に鍛え上げれば、魔神共に遅れなど早々とるまい!」


 その言葉に、先程まで愚痴を言い合っていた大精霊達も表情を変える。


「では、早速開始しましょう。まずは苦手な属性同士で戦いの勘を取り戻しましょう。幸い、世界樹がすぐそこですから、マナ切れになる事はないでしょう」


 ウンディーネの言葉に、それぞれ相手を決め対峙する。


「まぁ、こうなりますよね。久しぶりにその脳筋を綺麗に水で流してあげます」

「フハハハハ!わしの火で蒸発させてくれるわ!」


 ウンディーネとイフリートが対峙し、セルシウスとサラマンドラが対峙するといった具合だ。


「うぇぇ、セルシウスの姉御と戦うとか、俺苦手なんだけど!?」

「不利だから戦うんでしょ」

「そういう属性的な事じゃなくってぇ!?」


 サラマンドラの悲鳴にも近い叫びは、セルシウスには届かない。

 こうして蓮華の知らない間に、大精霊達もまた、訓練を始めた。

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