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二人の自分 私と俺の夢世界~最強の女神様の化身になった私と、最高の魔法使いの魔術回路を埋め込まれた俺は、家族に愛されながら異世界生活を謳歌します~  作者: ソラ・ルナ
第二章 大精霊編

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31.大将戦

 コッコッ


 舞台中央で相対する。


「……」


 とてつもない威圧感を感じる。

 こいつ、やっぱり只者じゃない。


「ソウル、手加減なしだ」


 そう告げ、構える。

 相手も構える。

 二刀流、か。

 アーネストと同じ……。

 審判の試合開始の合図が聞こえる。


「……行くぞ」


 言葉と同時に右に飛ぶのが視えたので、合わせる。


「そこだっ!」


 ギィン!


 刃と刃の鍔迫り合い(つばぜりあい)になる。

 くっ……こいつ、私よりパワーが上かっ……!


「でやぁっ!!」


 ギィンッ!


 刃を払い、距離を取る。

 が、逃してくれないか!


「甘いぞっ!」


 ギィン!!


「っ!」


 瞬時に私の場所まで現れる。

 速い!

 ならば、近接で魔法をぶつけてやる。

 避けられるか!


「『ヴォルケイン・メテオスォーム』!!」


「なにっ!?」


 火と無属性の合成魔法、無数の火隕石を召喚する魔法だ。

 これなら避けられないだろっ!


「……」


 奴が剣を構える。

 まさか……!


「『二刀疾空・連装牙』ァッ!!」


 ズドドドドドォッ!

 ドゴンドゴンドゴンドゴン!!


 二刀から放たれる無数の衝撃波が、隕石に当たる。

 その瞬間、凄まじい音を立てて隕石が破壊されていく。

 うっそだろ!?


 ドゴオオオオオン!!


 そして、最後の隕石の塊が破壊された。


「どうした、もう終わりか?」


 平然と聞いてくる。


 ゾクゾクッ……!


 体が震えた。

 これは、嬉しさだ。

 アーネスト、お前以外に、凄い強者が居たよ。

 でも、お前に報告するのに、負けたなんて言えないからな。


「良いね、お前……最高だよ。勝ったら本当の名前、教えてもらうからな」


 私は笑っている。

 仮面で見えないだろうが、相手もそれは同じだ。

 そして、私は相手も笑っているだろう事が分かる。


「勝つのは俺だ」


 互いに武器を構える。


「「行くぞっ!!」」


 ギィィィンッ!!



-シリウス視点-



 信じられなかった。

 目の前の、光景が。

 まさかあの蓮華様が押されているなんて、想像もできなかった。

 パワー、スピード、共に蓮華様を上回っているように見える。

 まさかテンコーガのインペリアルナイトに、あの蓮華様に迫る強さを持つ者が居るなんて……凄いと思うと同時に、悔しかった。

 何故なら、蓮華様はきっと笑っている。

 強者と出会えた事による喜びだ、私にも覚えはある。

 剣を志す者なら、誰しもが思う事。

 私は、インペリアルナイトに成った。

 それからも修練を怠った事は無かった。

 けれど、ある種の国の頂点に立てたという達成感から、少しの虚無感もあったのも事実。

 そんな折、オーブの案内の命を国王陛下より賜り、蓮華様と出会えた。

 その強さに、心奪われた。

 その美しさに、捕らわれた。

 その心に、心酔した。

 この方の元に居たいと、そう思った。

 国に仕えるべき身である事は分かっている。

 けれど、どうしようもなく、心が求めてしまう。

 そんな蓮華様に認められたであろう相手が、どうしようもなく羨ましく、悔しかった。

 だが、その蓮華様が今……押されている。


「『ヴォルケイン・メテオスォーム』!!」


 蓮華様が無詠唱で最高峰の魔法を唱えた。

 凄い……あれは私の知る『ヴォルケイン・メテオスォーム』ではない。

 あそこまで巨大な隕石が、あんなに多く降り注ぐなんて、普通ではありえない。

 これは避けられない。

 いや、むしろ当たったら死ぬのではないか?

 マーガリン様がいらっしゃるから、守ってくださるとは思うけれど……。

 そんな事を考えていたら、あの男が武器を構える。

 まさか、なんとかできるというのだろうか。


「『二刀疾空・連装牙』ァッ!!」


 目を疑った。

 蓮華様が召喚した魔法を、悉く破壊している。

 もはや、言葉にならなかった。

 国王陛下はもちろん、観客もみな、言葉を失い場を見守っている。

 蓮華様とあの男の戦いは続く。

 鍔迫り合いの音が響く。

 私は、いつしか二人の戦いに見惚れていた。



-シリウス視点・了-



 ギィィィィンッ!!


 ズザァッ!


「くっ……!」


 後方に弾き飛ばされる。

 パワー、スピード、両方共私より上。

 更に二刀による絶え間ない攻撃。

 強い、ゾクゾクする。

 私はすでにかなりの斬撃を受けてしまっている。

 ソウルを持つ右手も感覚がなくなってきた。

 一方、奴はまだ余裕そうだ。


 チャキ!


 奴が刃を私に向ける。


「やるな、お前は強い。だが、勝つのは俺だ」


 チャキ!


 私もソウルを奴に向ける。


「言ってろ。勝つのは私だ」


 とはいえ、このままだとジリ貧だ。

 だから、言う。

 ソウル、お前の力を貸してくれ、と。


“その言葉を、お待ちしておりました、我が主!”


 嬉しそうな声が頭に響く。

 その瞬間、ソウルから凄まじい魔力が吹き荒れる。


 ゴオォォォォッ!!


「何っ……!?」


 奴が驚いている。

 無理もない、私だって驚いているんだ。


“我が名はソウルイーター。我が主の武器となり、盾となるモノ成り。これより、主の力と成ろう!”


 そう、この場に居る全ての者に聞こえるように宣言した。

 その瞬間、ソウルの魔力が私に上乗せされる。

 私の全身を、ソウルの魔力が包む。

 凄い、魔力強化の何十倍もの効果だ。

 これなら、いける!


「行くぞ、インペリアルナイト!」


 私が叫ぶ。


「面白い、こちらも全力で行かせてもらう!」


 奴も叫んだ。

 その瞬間、奴から尋常じゃない力を感じた。

 奴もこれだけの力を隠していたのか……面白い、本当に面白い!


 互いの姿が消える。


「だぁぁぁぁっ!」


「おおぉぉぉぉっ!!」


 ギギィィィィン!!


 衝撃波が舞う。

 互いの服を斬り刻むが、お互い剣撃を止める事はない。


 ギィン!ギィン!!ギギィン!!


「「おおぉぉぉォォッ!!」」


 互いが一瞬硬直する。


「これが避けられるかっ!『金翅鳥王二刀(こんじちょうおうにとう)・終ノ剣』!!」


 剣を大上段にとってきた。

 その隙、逃すものかっ!


「『斬刃閃鉄牙ざんじんせんてつが』!!」


 斬り込んでくる刃を半身で避けながら、カウンターを狙った技なのだが、避けきれなかった。


「がっ……!」


「ぐぅっ……!」


 後方に吹き飛ばされ、地面に転がる。

 だが、私の魔力を込めたカウンターも届いていたようで、奴も吹き飛び地面に転がっている。

 そこに、審判からの宣言が下された。


「そこまで!両者場外!よってこの勝負、引き分けとする!」


 ワァァァァァァッ!!


 割れんばかりの歓声が聞こえる。

 フラフラとソウルにもたれかかりながら、立ち上がる。

 奴も立ち上がったようだ。

 お互い舞台中央へ歩み寄る。


「ふぅ……引き分けとはな。やるじゃないか、ロイヤルガード」


「こっちのセリフだ。お前みたいに強い奴が居るなんて、思わなかったよ、インペリアルナイト」


 お互いに、微笑んだ気がした。

 そこで……。

 ピシッ!

 パリィィィン……!

 仮面が割れた、私の。


「え……」


 時が、止まった。

 いやこれ、まずいよね?私、おもいっきり正体ばれちゃったんですけど!?

 と思っていたら。


「美しい……」


「あんな可憐な美少女が、あれ程の戦いを……」


「カッコイイ……!」


 等々、聞こえてきた。

 あれ、なんか反応が予想と違う。


「蓮華様ぁーーー!!」


 シリウスが走って抱きついてきた。

 ちょ、ちょっと!?


「蓮華様、蓮華様!凄かったです!引き分けでしたが、本当に凄い戦いでした!」


 なんて言いながら抱きしめてくる。


「ちょ、ちょっとシリウス!?」


「凄いです蓮華様ぁ!」


 ダメだ、話を聞いてくれない上に離してくれない。

 これ、良いのかな、なんて思っていたら。


「先程の戦いの女の子は、私の娘、レンゲ=フォン=ユグドラシルです。此度の戦いに参加させたのは、お披露目も兼ねています。その強さは、今皆様方の目にした通り。そして……アーネスト、仮面をとりなさい」


 と母さんが言った。って、え……?今なんて?


「はいはい、母さん。これで良いかい?」


 今目の前に居た、インペリアルナイトの服装をした、月光仮面を名乗っていた男は。


「な、ななな、なな……!」


「はは、ビックリしたか蓮華?母さんと、最後にばらそうって計画してたんだぜ?大成功だな」


「アーネストォ!?」


 もはや驚きすぎて、なんと言っていいのやら。


「そして、レンゲと戦っていた男性は、アーネスト=フォン=ユグドラシル。蓮華の兄であり、私の息子です。お披露目と言った意味、お分かり頂けたかしら?」


 と母さんが続ける。

 そこかしこで、私達を称える声が聞こえる。

 っていうか!


「アーネスト!おま、私って知っててあんな本気でやったのかぁ!!」


「いやごめんって。蓮華も俺って知らない方が、本気で戦えたろ?」


 ぐっ……それはそうなんだけど。

 っていうか、なんで私がこの試合に出る事を知ってるんだ!って考えていたら、召喚していないのに、ディーネが出てきた。


「クス、私が教えたんですよ。面白い展開になったでしょうレン」


「ディーネの仕業かぁー!!」


 私が叫んだのは言うまでもない。



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