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二人の自分 私と俺の夢世界~最強の女神様の化身になった私と、最高の魔法使いの魔術回路を埋め込まれた俺は、家族に愛されながら異世界生活を謳歌します~  作者: ソラ・ルナ
第四章 魔界編

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88話.修行の終わり

「魔法怖い魔法怖い魔法怖い……」


 ガタガタと震えながらそう連呼しているのは、他でもない私。


「やりすぎちゃいましたかね?」

「ありていに言って、容赦なさすぎかと思います。我が主のトラウマになったらどうするんですか」


 死なないからって、むしろ死なないからこそ魔法の恐怖を身に染みて味わった。

 上級土魔法『ガイアクラッシャー』で岩に囲まれ動けなくされた後に、上級水魔法『タイダルウェイヴ』で土と水の混成で川のように流されて、最後に上級雷魔法『ライトニングノヴァ』で撃たれるという極悪三連コンボから始まり、ありとあらゆる属性を使った魔法を受け続けた。


 痛くないよ?痛くないけどやっぱり色々と感じるわけで。地割れを起こす中級土魔法『アースクェイク』と違って、いきなり身動きをとれなくなるくらい岩に囲まれるのは恐怖でしかない。で、そこに水の濁流ですよ?土ごと流すってどんな使い方するんですか。なんとか上に顔を出したのに、ピカッと光ったと思ったら雷が直撃とか酷いと思うんです。

 ジェットコースターに乗ってる時、あれを楽しいと感じる人と怖いと感じる人が居ると思うんだけど、私は間違いなく後者なわけでして。

 いくら精霊魔法じゃなく魔法にランクを落としてくれているとはいえ、滅茶苦茶だと思うんですよ。


 しかも、同じ魔法で相殺するまで続けさせられた。魔力は減らないけど、威力調節を間違うと相殺じゃなくなりユーちゃんに魔法が飛ぶ。

 そうすると、ユーちゃんから更に高い魔法が返ってくるの繰り返し。

 で、最終的に私の最大魔力で魔法を使う事になって、それを軽々と越えられて魔法を直撃しまくるという地獄絵図になった。

 最後の方、私は案山子(かかし)だったと思う。


「ユーちゃんなんて嫌いだ……」


 ガタガタと震えながらそう言ったら、ユーちゃんが滅茶苦茶慌てた。


「っ!?ご、ごめんなさい蓮華!悪気は無かったんですよ!?本当なんです!だからそんな事言わないで!?ね!?」


 勿論本気で言ったわけじゃないので、それを見て笑ったらユーちゃんも理解したらしく、微笑んだ。


「次はもっと色々な魔法を使いますね?」

「ごめんなさい嘘ですぅ……!」


 微笑みは可愛いのに悪魔だと思った瞬間でした。

 ユーちゃんは怒らせちゃいけない、そう思いました、まる。


 それからユーちゃんに修行をつけてもらいながら家では魔力コントロールのトレーニングを続けて、ユグドラシル流剣技を色々と身に付け、いよいよ明日で一年が経とうとしていた。


「蓮華、今日までよく頑張りましたね。まだまだ教えたい技がたくさんありますが、今回はこれくらいで良いでしょう。本来の時間軸に戻った時、体を慣らす為に少し自分で修練してくださいね」

「うん。ありがとうユーちゃん。……また、話せるよね?」

「会いたくなったら、ここへ来なさい。でも、この事は私と蓮華、それにソウルイーターだけの秘密。良いですね?」


 口元に手を当て、片目を閉じてウインクするユーちゃん。

 その可愛さに胸を射られつつも、コクリと頷く。


「それでは、最後の一日はゆっくりしてきなさい。かなり精神が摩耗しているはずですからね。次会う時、どこまで成長しているか楽しみにしていますね蓮華」

「うん!またねユーちゃん!」


 そう言って別れを告げて、私は世界樹……もとい、精霊樹から外へ出る。

 この止まった世界での生活も、残す所一日足らず。

 長いようで短い時間だったと思う。いやまぁ現実は1秒も経っていないんだったっけ。

 そう考えると変な感じなんだけど。


 魔力のコントロールは、ここに来る前と今じゃ月とスッポンだ。

 剣術の腕も磨けたし、新しい技も増えた。

 これなら、あの初音とも互角以上に戦えるはずだ。


「蓮華、期日は明日だ。良い具合に仕上がったな」


 家に帰り、牛乳を飲んで乾いていた喉を潤していたら、ミラヴェルにもそう言われた。


「分かる?」

「ああ。毎日見ていたからな。ここに来た頃のお前とは、もはや別人だ。強くなったな」


 ミラヴェルにそう言われると、嬉しさもひとしおだ。

 なんせ、ミラヴェルはほとんど褒めてくれないからね。


「その練度なら、元の世界の私も認めるだろう。後一日、ゆっくり休め。体は疲れていないと言っても、魂の摩耗が酷い」


 ミラヴェルにもユーちゃんと同じ事を言われてしまった。

 私はよく分からなかったけれど、どうやら本当に疲れていたらしく、その日の夜はすぐに眠ってしまった。


 朝、ミラヴェルに呼ばれて時間を告げられる。


「ミラヴェル、一年間、ありがとう。私だけだったら、こんなに上手くいかなかったと思う」

「気にするな。私も良い退屈しのぎになった。またいつでも来い、その時は歓迎しよう」


 そう言って初めて微笑んでくれた。

 ぐぅっ!?普段笑わない人の微笑みが、ここまで破壊力が高いなんて!?


「どうした蓮華?」

「な、なんでもないよ」


 心臓に手を置いて落ち着こうとしている私を見て、怪訝な顔をするミラヴェル。

 無自覚なんですね、分かります。


「時間だ。ではな、蓮華」


 その言葉を聞いた直後、私の意識が飛ぶのを感じた。

 目の前には、久しぶりに見る家族の姿。

 ああ、帰ってきたんだな。

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