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二人の自分 私と俺の夢世界~最強の女神様の化身になった私と、最高の魔法使いの魔術回路を埋め込まれた俺は、家族に愛されながら異世界生活を謳歌します~  作者: ソラ・ルナ
第四章 魔界編

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87話.ユグドラシル先生の授業

 光が収まり、そこには精神の世界で見たユグドラシルが居た。

 白いドレスのような服を着ていて、まさに女神様って感じだ。


「お話するのはこれで二度目ですね蓮華さん」

「え!?」

「ふふ。私は分離した思考ではなく、本人なのです蓮華さん」

「なっ!?」


 ど、どういう事!?私の中に居たユグドラシルじゃないって事!?


「そうですね、蓮華さんはこの場所の事をミラヴェルからなんて聞きましたか?」

「え?えっと、世界樹って……」

「まずそこが違います。この樹の正式名称は精霊樹と言います。言葉の通り、精霊達の住む大樹なのです」

「!!」


 世界樹じゃなく、精霊樹!?そっか、だから各属性のフロアがあったのかな?


「そして、この精霊樹と世界樹は繋がっているのです。今は蓮華さんの中に潜ませた私の思念体に、本体である私が乗り移っている状態ですね」


 事も無げに話してるけど、それは凄い事なんじゃないだろうか。聞いてるだけだと、そうなんだって感じではあるんだけど。


「まずはあの時、きちんとお礼ができる時間がありませんでしたから、もう一度言わせてください。妹を救ってくれて、ありがとう蓮華さん」


 貴族の令嬢がするみたいに、優雅にカーテシーをするユグドラシル。

 綺麗すぎて見惚れてしまった。


「蓮華さん?」

「あっ!?い、いや、気にしないでくださいっ!それに、イグドラシルとはもう友達になりましたから!友達を助けるのは当然というかなんというかっ」

「ふふ、ありがとう蓮華さん」


 慌ててしどろもどろになっている私に、ユグドラシルは優しく微笑んでくれた。

 それを見ると、慌てていた心が落ち着いてくるのが不思議だ。

 なんだろう、ユグドラシルと話していると太陽に包まれているような……干したお布団に寝転がった時の様なあったかさを感じる。


「それで、蓮華さんの状況は思念体から知識を受け取りました。私の力は第二段階まで解除したのですね。その段階で制御が難しくなって、今に至るわけですか」

「うん。あの時は時間も足りなくて。学園……ひいては地上がピンチだったから」


 ヤマタノオロチとの戦いは、今でもはっきりと覚えている。

 最後は皆の力に頼らざるをえなかった。


「成程。では蓮華さんには、私の剣術を色々と教えてあげましょう。まだ『斬鉄』しか使えていませんよね?」


 うぐっ。そうなんだよね。ユグドラシルの『エターナルウインド』や『エターナル』は剣術じゃないし、『斬鉄』だけ教えて貰った。

 それでも破格の性能だったんだけど。


「あの技は極論、斬れない物はないのですけど……蓮華さんの腕ではまだ使いこなせていませんからね。ヤマタノオロチの再生能力すらも、本来斬れますからね?」


 うそぉ。あれだけ苦戦したの、単純に私の力不足とか!


「ユグドラシル先生!色々とご指導ご鞭撻の程、宜しくお願い致しますっ!」


 私は新入社員の時、上司の方々に挨拶した時の様な口調でつい言ってしまった。

 そしたら、ユグドラシルはふんわりと、まるで花が咲いたような笑顔で笑った。


「あはは。なんですかそれ。蓮華さんは面白い言葉を使うんですね」


 綺麗なのに可愛い。この人、いやこの女神が私の元とか本当なの?

 私は絶対にここまで綺麗じゃないし可愛くないと思う。


「そういえば、ユグドラシル先生」

「ユーちゃんで良いですよ?」

「ユグドラシ……」

「ユーちゃんで良いですよ?」


 何故繰り返した。


「ゆ、ユーちゃん」

「はい、なんですか蓮華さん」


 くっ、この(したた)かさ!


「えっと、私の事も呼び捨てて貰って良いですから。その、アーネストやノルンもここに来ていると思うんですけど、ユーちゃんと会ってるんですか?」


 そう聞いたら、変わらず優しい笑みを浮かべて答えてくれた。


「ふふ、ノルンさんにはイグドラシルが会いに行っていますね。アーネストさんにはミラヴェルがつきっきりで相手をしてあげているみたいですよ」


 え、なにそれずるい。ミラヴェル私には付き合ってくれなかったのに。


「蓮華にはソウルイーターと私が居ますし、ノルンさんにはイグドラシルが居ますからね。アーネストさんにもネスルアーセブリンガーが居るようですけど、女神につきっきりとは差があるでしょう?だからですよ蓮華」


 私の心情を読み取ったのか、苦笑しながらそう言うユーちゃんに、私は赤面してしまった。


「それでは蓮華。まずは魔法についておさらいしましょうか。剣術はその後で教えますからね」

「あ、はいっ!」


 そうして、どこからともなく出てきた黒板と机に椅子。

 え、本当に教室みたいにやるの?

 周り樹木だらけだから、違和感が半端ない。


「一度これやってみたかったんですよね」


 ノリノリである。

 ユーちゃんってこういう性格だったのか。

 いや、普段から見え隠れはしてたんだけどね、思念体の方で。


「さてさて。席につきましたね?では授業をはじめます」


 ノリノリである、再。

 そういえば、ヴィクトリアス学園では途中から講師の方になっちゃって、生徒扱いされなくなったからなぁ。


「魔法について学んできたと思いますが、人が魔法を使う時に使っている物はなんだと思いますか?それでは蓮華さん、答えてください」

「はい先生!魔力です!」

「正解です、蓮華さん。花丸をあげますね」

「わーい!……ってこのノリずっと続けるんですか!?」


 途中からまたさん呼びに戻ったあたり、なんというか役になりきっているというか。


「だってやってみたかったんです」


 なんて口を尖らせるユーちゃん。あざと可愛い。

 ってそうじゃなくて。


「普通にお願いします……」

「ええー。仕方ないですね、分かりました。先程の問いの答えですが、正確には人は魔法を使っていませんからね。人は精霊に魔力を渡し、使って貰っているだけなんです」

「え……」


 その見解は初めて聞いた。

 続きを早くと目に込めて見ていると、ユーちゃんは笑って続きを教えてくれる。


「ふふ。人が精霊に魔力を送り、精霊は送られた魔力をいくらか受け取って魔法を発動させます。そして、魔術の伝導率に似ているのだけど、精霊も送られる魔力の中から、数%から数十%を不必要な物としてマナに還してしまいます。これで魔法の威力が変わってしまうわけですね」


 そ、そんな内情があったのか!初めて知ったよ!


「それが一般の、普通の魔法です。ですが、蓮華は違います。それが何故かは、もう分かりますね?」

「私の魔力は、マナだから?」

「正解です。蓮華の魔力はマナそのもの。なので精霊達は、全てを受け取り全てを行使します。だから魔法の威力が桁違いに高いのです。この一段階上の魔法の事を精霊術、私は精霊魔法と呼んでいます」


 精霊魔法……!ノルンから聞いた魔法だね。


「まだ今は普通の魔法の段階ですが、この半年でかなり魔力を制御できるように成っていますし……そう遠くないうちに、精霊魔法を使えるようになるでしょう。焦らなくて良いですよ蓮華」


 柔らかい声色でそう言ってくれるユーちゃんに笑顔で返す。

 アーネストが魔術の最高伝導率で、私が魔法の最高伝導率なわけか。

 そして多分、ノルンもそうなんじゃないかな?それともノルンは何か違うんだろうか。

 回復魔法が使えない、と言っていた点も気になる。


「それから蓮華は、創造魔法という力も使えるようになります。今はまだ無理ですけどね」

「そ、想像魔法!?」


 イメージした物を実体化した!とか言えるあれだろうか。


"我が主、妄想する想像ではなく、無から創りだす創造だと思います"


 そんな事を考えていたら、剣に戻ったソウルから突っ込まれた。

 わ、分かってたよ?


「そちらは心層域での私の思念体に勝って、引き継いでくださいね」

「今ここで教えてくれないの!?」

「覚えても仕方ないですからね」


 ばっさりでした。

 うぐぅ、仕方ない。

 そして、黒板と机と椅子が消えた。

 黒板は何の為に用意したの?使ってませんよ?

 雰囲気を味わいたかっただけですよね知ってます。


「それでは蓮華、残りの時間は私の剣術の習得と、魔法のおさらいをしながら戦いましょうか」


 最強の女神と言われているユグドラシルからの、まさかの実戦式指導を受けられる。

 その事が驚きと共に、嬉しさがこみ上げてくる。


「はい!よろしくお願いします!」

「ええ。時間の許す限り、教えてあげますね。ここでなら死にませんし」


 あれ?なんか最後に怖い事言った?

 そして私は、訓練に関しては鬼だと思っていた母さんが、まだ優しかった事に気付く事となったのだった。

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