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二人の自分 私と俺の夢世界~最強の女神様の化身になった私と、最高の魔法使いの魔術回路を埋め込まれた俺は、家族に愛されながら異世界生活を謳歌します~  作者: ソラ・ルナ
第四章 魔界編

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71話.ニガキの提案

「お初にお目にかかります、蓮華様。私はDMS団首領のニガキと申します。今日は、蓮華様に協力したいと思い、参りました」


 その言葉を聞いて、私は確かめずにはいられなかった。


「えっと、失礼だけど、違ってたら言ってね?お兄さんにDr○チガキって人居たりしない?」

「ぶほっ!?ゲホッ!ゴホッ!」


 思いっきりむせた。ビンゴだ、絶対この人転生者だ。

 知らない他の皆はきょとんとしているからね。


「も、もしかして、蓮華様も!?」

「うん、そうだよ。面白かったよね、幽○白書」

「~っ!蓮華様……!」


 元の世界の漫画で、一気に距離が近くなった私達。

 漫画やアニメで繋がれるのは、元の世界だけだと思っていたけれど。


「コホン、失礼致しました。その、蓮華様。私の名前に霊界探偵のお話は関係ありませんので……」

「あはははっ!そっか、ごめんね。それで話って?あ、そこに座って良いからね」


 立たせておくのも悪いので、ソファーに座るように勧める。

 ニガキさんは腰かけて、こちらを真剣な表情で見つめてきた。


「蓮華様、まずは謝罪をさせてください。大精霊様の名を利用した事、誠に申し訳ありませんでした」


 そして、深々と頭を下げる。

 でも、名を利用ってどういう事だろう?


「ちょっと待って。私としては、何もされた覚えがないのに謝られても、許すも許さないも無いんだ。まずは、教えてくれるかな?」

「はい。実は……」


 それからニガキさんが語る身の上話は、とても心を打った。

 横で話を聞いていた皆も、しきりに頷いている。

 魔物が家族だった。そしてその魔物は、ニガキさんを守る為に、ニガキさんを外へと出した。

 ニガキさんが家族とまた過ごせる世界にしたくて、魔物と共存する世界を目指している。


「そして私は、仲間を集める為に……大精霊様の名を利用したのです。謝って済む問題ではないと、重々承知しております」

「待った待った。私は話を聞いて、大精霊の皆を利用したと思ってない。だから、謝罪はいらない。自分を育ててくれた魔物達の為に、共存する世界にしたい……その為に、大精霊の力を名前だけとはいえ、借りた。うん、全然悪いと思わないよ私は」

「ですが蓮華様……!」


 尚も食い下がってくるニガキさん。

 なら、証拠を出そう。ニガキさんの信仰している大精霊を呼ぼう。


「ドライアド、出てきて」

「はぁい~。呼んだ~れんげちゃ~ん?」

「な、ぁ、えぇぇっ!?」


 ニガキさんが凄まじく驚いた顔をして、言葉にならない言葉を発している。

 ドッキリ成功だろうか。

 私が言っても聞かないのなら、本人に諭させてやれば良い。


「ドライアド、少し前の記憶を私の中から見れる?」

「れんげちゃんが開いてくれるなら~」

「うん、良いよ。ここ少しの時間だけね」

「は~い~」


 そうして、ドライアドに触れる。

 ドライアドは目を瞑り、私の記憶を覗いてるのが分かる。

 そうして少し経ったら、ドライアドは目を開けた。


「そっか~、良い子だね~にがきちゃん~」


 ドライアドは、固まっているニガキさんの頭を撫でた。

 ニガキさんの顔が真っ赤に染まる。


「あ、え!?ど、ドライアド様!?」

「良いんだよ~。頑張ったんだね~。えらいえらい~。人間にだって~、悪い子は居るよ~?人間よりも、良い魔物だって居るよ~。仲良く、出来たら良いね~」


 のんびりとして、おっとりした声でそう言うドライアドに、ニガキさんは涙を零した。


「はいっ……はいっ……!俺、必ず皆とまた、笑って暮らせる生活を手に入れて見せます……!」


 それは、ニガキさんの本心だというのが分かる。

 ドライアドは、そんなニガキさんの頭を、ずっと撫でていた。

 ミアちゃんは貰い泣きしてしまっている。

 ロジャー君、ゴミが目に入っちまったとか、目を背けてもバレバレだからね?ホントもう、良い人が集まったよね。


 それから少し経って、ドライアドが戻った後。

 ニガキさんが話を戻した。


「蓮華様、俺が……ゴホン、私が今日ここに来たのは、蓮華様が病院を開業された事に協力できないかと思ったのです」

「病院を?あ、それとニガキさん、話しやすい方で良いよ?」


 そう言うと、ニガキさんは笑ってくれた。


「では、俺と言わせて貰いますね。蓮華様も、俺の事はどうぞニガキと呼び捨ててください」

「うーん、私の事は様づけなのに?」

「そ、それは……勘弁してください蓮華様」

「あはは、分かったよ。それじゃ、間をとってニガキ君って呼ぶね。組織の首領にそれも失礼かな?」

「とんでもない。蓮華様ならば、俺の事をなんと呼ぼうと誰も気にしませんよ」

「そっか、ありがとう。それで、協力っていうのは?」


 私と同じ世界出身の彼なら、私の思いもよらない方法を提案してくれるかもしれないと、少し期待していた。

 まさか、予想をはるかに飛び越えて凄い提案をしてくれるとは、思っていなかったけれど。


「私達の組織で創った魔者達を、使って頂けませんか」

「魔物を?」

「はい。ですが、漢字は違います。モンスターの事を、魔物と呼びますが、私達の創ったのは魔の者。人間を呼ぶ時に使う者、の方です」


 そう、言ってきたからだ。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 大精霊特訓を始めてから、さらに神様っぽくなってしまわれた……、レンちゃん、あなたはどこまで行くんだい。 [一言] 元から人外の気配だったレンちゃんが、ここに来てさらに人外度を増してる……見…
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