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二人の自分 私と俺の夢世界~最強の女神様の化身になった私と、最高の魔法使いの魔術回路を埋め込まれた俺は、家族に愛されながら異世界生活を謳歌します~  作者: ソラ・ルナ
第四章 魔界編

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54話.病院③

 母さん達に病院の運営の事について報告する為に、ユグドラシル領へノルンと二人で帰ってきた。

 ミアちゃんとイシスちゃんを学園に送ってからね。それから、母さん達にこれまでの経緯を説明した。


「成程ねー。うんうん、順調そうじゃないレンちゃん。それで、病院はどこに建てるつもりなの?」

「それなら、ギルドの横に建てて貰おうと思ってます。そこが一番便利だと思いますから」


 母さんの質問に、ノルンが答える。

 でも私はそれに疑問が浮かんだので、ノルンに聞く事にした。


「えっと、それだと利用し辛くなる人達がでないかな?ほら、冒険者ってガラの悪い人だっているし、お年寄りの方とか子供とか……」


 日本の感覚でそう言ってしまったんだけど、ノルンは気にした風でもなく教えてくれた。


「大丈夫よ。むしろ歳のいった見た目よぼよぼの爺さん婆さんって事は、それだけ経験もあるし魔力も高いのよ。わざわざ強者に絡みに行かないわよ」


 そっか、魔族だと年齢が上の人ほど強かったりするのか。

 それだと心配いらないのかな?いやでも、家庭を守ってる奥さんとか、子供とかが気軽に利用できないんじゃ困るし……。


「まぁアンタの懸念も分かるけど、その点はこれで解決するわ」


 そう言ってノルンが取り出したのは、長方形の薄いプレートだった。


「なにそれ?」

「病院を利用するしないに関わらず、これで魔力登録するの。載るのは名前だけだけど、追加でメモを記入する事ができるわ」

「えっと?」


 それがなんだっていうんだろう?


「例えばね、病院の前で迷惑な奴が居たとして、そいつの名前をこのプレートのリストに表示させて、メモの所にした事を記入させるの」

「ふむふむ?」

「で、この病院の規定に、病院の敷地内で迷惑行為をする者に一切の治療行為を行いませんって明記するの。後は、それを表に看板でも立てて皆に分かるようにしておけば良いのよ」


 な、成程。確かにそれなら、皆大人しくしているだろうね。

 だって、自分が怪我をして助けて欲しい時に、以前の自分が病院に迷惑をかけていたから治療して貰えないだと、泣くに泣けない。

 元の世界じゃ考えられない事だけど、魔界だとそれが成立するんだね。

 自業自得、という事か。


「確かにそれなら、ギルドの横の方が利用率も高いだろうし、皆大人しくしそうだね」

「でしょ。それと、単なる怪我の治療だけの場所ってのも味気ないし、本を読んでゆっくりできるスペースとかどう?」


 おお、ネットカフェみたいなスペースを取り入れるって事か!


「良いねノルン!それならついでに、軽く食べたり飲んだりできるようにもしようよ!」

「そうね……本には防護魔法を掛けて、水に濡れても汚れないようにしておけば良いし、それも良いわね」


 ノルンと盛り上がっていたら、母さんと兄さんの生暖かい視線に気づいて、コホンと咳払いをする。


「あれ、もっと続けてて良いのよレンちゃん」

「ええ。楽しそうな蓮華を見ていると、嬉しいですね」


 くぅ~、この二人は!


「ほんと、愛されてるわね蓮華」


 なんてノルンに言われた。分かってるけど、恥ずかしいんだぞぅ。

 ちなみに、アリス姉さんは冥界に向かったみたいだ。

 行動が早くてビックリだよ。

 ただ、場所が結構遠いらしく、アリス姉さんでも数日は帰ってこれないらしい。

 まぁあのアリス姉さんの心配はするだけ無駄だろうし、元気に帰ってくるだろうけど。


「それで、すぐに病院を作るの?」

「あ、ううん。皆にも準備は要るだろうし、レヴィアタン領の法が施行されてからって考えてるよ」

「そっか。それじゃレンちゃんは、次はどうするの?」

「そうだね……闇の大精霊か、光の大精霊と契約をしに行こうかな。ノルン、レヴィアスから近いのはどっちかな?」

「それなら光の大精霊ね。どっちも結構遠いけど、終わったら『ポータル』使えば時間短縮できるし」


 成程、決まりだね。


「なら次は光の大精霊の元へ行く事にするよ!」


 そう言ったら、母さんが挙動不審というか、目線が泳いでいる。


「どうしたの母さん?」

「あー……えっと……。うん、レンちゃんなら大丈夫!かな?」


 どういう事ですか母さん。

 そんな不安げに言う母さんは初めてなんですけど?


「母さん?」


 じーっと母さんを見つめる。


「う……その、ね?レンちゃん」


 じーっと更に見つめる。


「うぅ、分かったよぅ、言うよぅ。レンちゃんにそんなに見つめられたら、言うしかないじゃなぁーい……」

「ククッ……」


 兄さんが横を向いて、笑ったのを見逃さない。

 けど、今はそれは置いておく。


「えっとね……レニオンはその、潔癖症って言うのかな?そういうのなんだよねー」


 どういうのなの。

 潔癖症って、汚いのは無理とかそういうの?

 汚物は消毒だー!とか言っちゃう系なの?


「私、基本清潔にしてるよ……?」


 ちゃんとお風呂も毎日入ってるし。


「あー……うん、そういう事じゃないんだよねぇ……。というか、レンちゃんをそういう意味で不潔なんて言う奴が居たら、私が消すからー」

「ええ、そんな奴はこの世界で生きる資格を放棄したと見て、魂すら輪廻に帰さず滅してあげましょう」


 うん、なんか怖い事二人が言ってる。

 この二人の怖い所は、その言葉を有言実行しそうな所だ。

 冗談が冗談に聞こえない。乾いた笑いをする私の横で、ノルンが青い顔していた。


「ま、まぁ大丈夫だと思うよー。それでね、レニオンの場所なんだけど……確かに魔界の洞窟の奥に居るって事になってるんだけど、実際はそこに居ないんだよねー」

「え?」

「地上から魔界に海を渡って行ったと思うけど、その海の上に、不可視の天空城があるんだよー」

「ラ○ュタが!?」

「「「?」」」


 しまった、これが分かるのはアーネストや転生組だけか!

 でもこの感動を伝えたいー!まさかラピ○タがこの世界に実在しているなんて!


「えっと、レンちゃんが何を言っているのか分からないけど……その天空城にレニオンは住んでるから、『フラート』の魔法を使って、飛んでいくしかないよー」


 成程。でもその程度の障害、実物大のラピュ○を見る為なら全然苦にならないね!


「ありがとう母さん!私早速行ってくるよ!」

「あ、レンちゃん!?」


 私は家を飛び出していった。いざゆかん、天空城へ!


「行っちゃった。レンちゃん、不可視って言ったの忘れちゃってるよね?」

「ええ。それだけ天空城に思い入れがあったのでしょう。目を輝かせていましたからね。実に愛らしい」

「だよねだよね!多分、そう時間をかけずに戻ってくると思うから、その間にお菓子でも作っておいてあげようかしら」

「ふむ、では私も手伝いましょう」

「そうね、お願いしようかしら。ノルンはどうする?お客様だし、ゆっくりしていって良いよ?」

「あ、いえ。私はまだレヴィアスで用があるので、これで戻ります。蓮華にはよろしく言っておいてください」

「そう?分かったわ。また気軽にいらっしゃいね」

「はい、ありがとうございます」


 などといったやり取りがあった事などつゆ知らず、私は見つからない天空城を夕方まで探し、渋々諦めをつけ、家に帰った。

 家に帰ったらノルンはすでにいなくて、一人で突っ走った事を猛省した。

 母さんと兄さんの作ってくれたお菓子はとても美味しかったんだけど、そのまま晩御飯まで食べる事になって、お腹が限界を迎えたのは言うまでもないよね。

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