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二人の自分 私と俺の夢世界~最強の女神様の化身になった私と、最高の魔法使いの魔術回路を埋め込まれた俺は、家族に愛されながら異世界生活を謳歌します~  作者: ソラ・ルナ
第四章 魔界編

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50話.放課後(違)デート(違)

「つーわけで、俺と蓮華は街に遊びに行くからなアリシア」

「そんな、会長!?」


 魔界に戻ってから、アスモに開口一番にそう告げるアーネスト。

 アスモはまるでこの世の終わりの様な表情になっていて、物凄く不憫だ。


「ど、どどどどうしてですか!?それなら私も行きます!」

「いやお前は無理だろ。そいつらに教える事まだまだあるだろ」

「で、ですけど!」


 尚も食い下がろうとするアスモに、アーネストは無情にも言った。


「アリシアは学園の経歴に、出身国魔界って書いてるよな?」

「え?は、はい。リンの首都、イウルーンと書きました」

「なら、自国の事でって理由になるから、まだここに残ってても大丈夫なわけだ。けど、俺はそうはいかねぇ。今日で二日目だし、蓮華が倒れたからって理由もあるから、今日までは学園を離れてても大丈夫だ。けど、流石に三日連続はまずいってのは分かるだろ」

「そ、それは……って、ええ!?蓮華さんが倒れたんですか!?」


 アスモが本当に驚いた顔をして、私を心配そうに見てきたので、答える。


「大丈夫、今はもう母さん達が治療してくれたからね。心配してくれてありがとうアスモ」


 そう笑顔で言ったら、安心したのかアスモもホッとしたのが分かる。


「つーわけで、俺がこの街に居れるのは今日で一旦最後だ。なら、蓮華と街を見てまわりてぇんだよ」

「な、なら私も今日一日くらい街を見て回ります!明日以降も居なきゃならないなら、一日くらい遅くなっても大丈夫ですよね!?」


 アスモが更に追い縋るけど、続くアーネストの言葉に撃沈した。


「何言ってんだ。お前が長い間居ないと俺が困るだろ。早く片付けて、戻ってこいよ?」

「~っ!!」


 アスモの顔が真っ赤だ。この無自覚たらしめアーネスト。

 レヴィが物凄く笑ってるし、生徒会の皆も流石に気付いたらしい。

 皆生暖かい目で二人を見ているし、気付いていないのはレオン君にリタちゃん、それに当の本人であるアーネストくらいだろう。


「うぅ、分かりました。会長の為に!一刻も早く終わらせて見せましょう!」

「お、おお?頑張ってくれよ。そんじゃ蓮華、行こうぜ?」

「あ、ああ。ええと……ノルンは」

「私はついでにアスモデウスの話を横で聞いておくわ。これからの事に役立ちそうだし、アンタも会長もこの手の事は知らないんでしょ?なら、私が知っておいた方が良いでしょ」


 私達の今後の事も視野に入れてくれているノルンに、頭が下がる。

 本当は私も参加した方が良いんだろうけど……昨日聞いて分かったのは、分からない事が分かりました。

 なんとなくは分かるんだよ?でも、分かった気になっているというかね……頭の良い人ってやっぱり違うなぁって思うわけでして。


「はぁ、アンタが今何を考えているか、手に取るように分かるわ。人には得手不得手があるんだから、苦手な事は任せりゃいいのよ」


 そう横を向いて言うノルンに、私は思わず笑ってしまった。


「ありがとノルン。それじゃ皆、勉強頑張ってね!」

「蓮華!私も行くぞ!」

「レーヴィーアーターン……?」

「ヒィッ!?」


 般若のようになったアスモが、レヴィを子猫のように持ち上げた。

 アスモの方がレヴィより体が小さいので、異様な光景だ。


「それでは会長、一日でも早く終わらせるためにビシバシ行きますので、お任せくださいね!」

「お、おう。頼んだぜ……?」


 アーネストの顔が心なしか引きつっていた。

 そして、城の外に出る。


「ふぅ~、そういや二人きりって久しぶりだな蓮華」

「そうか?……そうだな。でもなぁ、お前と二人きりって、情緒もへったくれもなくないか?」

「お前が言うな!良いじゃねぇか、なんの気兼ねも無く話せる奴なんて、俺にはお前くらいなんだぜ?」

「えー。アーネストは誰に対しても変わらないじゃないかー」

「いやまぁ、そうなんだけどよ。それでも、個人ごとに感じる感情は違うぜ?」


 そうなのか。アーネストは私と違って、誰に対しても分け隔てが無い。

 私も女性になった以上は、丁寧な言葉遣いを気にしてはいる。

 だけど、そうするとどうしても、地では話せなくなる。

 でもアーネストだけは、そんな地の私で話ができる。

 母さんや兄さん、アリス姉さんは、そんな私も認めてくれているけど……どうしても、地で話せるのはアーネストだけなんだ。


「それによ、女性と話すの未だに苦手なんだよなー」


 アーネストが両手を頭の後ろで組んで、空を見上げながらそう言った。

 私はその言葉に反応してしまう。


「うっそだろ!?お前が!?」

「なんでそこで驚くんだよ。お前だって苦手だろ」

「いや、そうなんだけど……お前あれだけ女生徒の皆に声掛けられておきながら……」

「全部断ってんのも知ってるだろ」

「も、もしかして、それが理由で?」

「まぁ正直それもある」


 ……開いた口が塞がらなかった。

 お前、それだけ立場もあって力もあってモテてるのに、苦手だから断ってきたって、おい……。


「ならアスモは?」

「あー、あいつはなんつーか……口うるさい姉貴?みたいな?」

「……」


 開いた口が塞がらないパートⅡ。もうお前、なんでそんなにめんどくさいの!?

 それでも私の元か!しかし、ここで私がアスモの気持ちを言うわけにはいかない。

 それはあくまで、アスモが自分の口で言うべき事だから。


「はぁ……まぁいいや。それで、どうするんだ?」

「どうするって、決まってんだろ?」


 そう言うと、アーネストは私の手を取って、走り出した。


「お、おいアーネスト!?」

「街の探検だっ!ついでに露店巡りして、買い食いと行こうぜ!」

「!!ははっ!分かった、楽しもうか!」

「おうっ!」


 そうして私達はレヴィアスの街を駆け回り、露店で売っている食べ物を買って食べたり、珍しいアクセサリーなどを買ったり、元の日本でもあった射的のゲームとか魚すくい(金魚ではなく)をやったりして、夕方になるまで遊んだ。


「はぁ~、楽しかったな蓮華!」

「ああ、私もかなりリラックスできたよ。ありがとなアーネスト」

「ばっか、なんで礼を言うんだよ。こんなの当たり前の日常だろ」

「はは、そうだな。でもさ、色々あって……こんなにはしゃげたのは久しぶりだったから」


 そう言ったら、アーネストは少し沈んだ顔をした。


「そうだよな、お前は今女の子なんだもんな。すまねぇ、俺は……」

「謝るなよアーネスト。お前が私を女の子扱いしてないのは知ってるし、お前に女の子扱いされたら気持ち悪い」

「お前な!?」

「あはは、だからそれで良いんだよアーネスト。お前はお前のままで居てくれ。お前がそうしてくれたら、私はこのままで居られる」

「蓮華……」

「さ、戻ろうアーネスト。実は病院の事も話さないといけないし、私も明日はアスモの話に加わるつもりだからな」

「そっか。俺は生徒会の事もあるし、後任達の事もあるから、明日は流石にこれねぇけど……出来るだけ早く、お前と一緒に旅ができるようにする。だから、それまで楽しんでろよな!」

「ああ、ありがとアーネスト」


 こうして、楽しい一日が終わった。

 アーネストは地上に帰り、今日は私もレヴィの城で泊まる事にした。

 久しぶりに、リフレッシュできたな。

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