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二人の自分 私と俺の夢世界~最強の女神様の化身になった私と、最高の魔法使いの魔術回路を埋め込まれた俺は、家族に愛されながら異世界生活を謳歌します~  作者: ソラ・ルナ
第四章 魔界編

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45話.レヴィアタン領について

 アーネストの生徒会長室に集まり、レヴィアタン領の現状を皆に伝えた。

 すると、アリシアさんとタカヒロさんが盛大に溜息をついた。


「おいアスモデウス。いくらなんでもここまで酷いとは聞いてないぞ」

「私だって知らなかったのよ。だって、何の問題も上がってこなかったのよ?」


 アリシアさんとして学園に居るけれど、アスモデウスさんは本来レヴィと同格の責任者の立場だし、タカヒロさんに至っては魔王軍参謀なわけで。

 仲間の事で頭を抱えてるんだろうな。


「一応、私とノルンで街や集落を見てきたけど、それぞれが機能してちゃんと生活してたよ。ただ、やっぱりギルドで悪さする奴らがいたり、街でも好き勝手してる奴らがいるのを見かけたね」

「ふぅ、すまないな蓮華。それは俺達の方でなんとかしないといけない問題だ。報告助かった、リンスレットにも伝えて……」

「待ってタカヒロさん。良い機会だから、レヴィと一緒に一から整備していきたいと思ってるんだ。もちろん、私やノルンだけじゃ無理だから……知識を借りたくて、皆に相談に来たんだ」


 学園に来た目的を話す。


「つってもよ蓮華。お前が手を出すのは良いのか?なんつーか、魔界には魔界のルールっつうのかな、そういうのあんだろ?」


 アーネストが至極真っ当な事を言うので、驚いてしまった。


「アーネスト、大きくなったんだな……」

「お前は俺のおかんか!?つか、こんな事で感動されても嬉しくねぇ!」


 皆が苦笑する。冗談はこれくらいにしておこう。


「勿論分かってるよアーネスト。命令を下すのはレヴィだからね。私達は裏方だよ。あと、そのままレヴィの領で働いてくれる人を見つけたいんだ。私達がずっと居るわけじゃないし」

「それは助かりますけど、魔界のレヴィアタン領からも出さないといけませんよ蓮華さん?」


 アリシアさんがそう言ってくるのに同意しつつ、レオン君とリタちゃんについても話す。


「成程……元々レヴィアタン領の住人なら、良さそうですね」

「アーネスト。生徒会に政治に詳しい人で、地上で働く事に固執してなさそうな人って居ない?」


 そう聞いたら、アーネストは溜息をつきつつ、答えた。


「あのな蓮華。レヴィアタン領の最高幹部に成れるって事だろ、その話。誰だって飛びつくぞ、その話を聞いたら」

「え、そうなの?」


 周りを見たら、皆うんうんと頷いた。

 あれ、分かってなかったの私だけなの?


「え、ええと……なら、アーネストが任せても大丈夫って思える人、居る?」

「お前な……。はぁ、分かった。俺の方で当たってみるわ。多分、すぐOKしてくれると思うぜ。何人くらい必要なんだ?」

「何人くらい必要そう?」


 流れるようにオウム返しでノルンの方へ振る。


「アンタね……。私も詳しいわけじゃないのよ。官僚って事よね。でも大勢居てもまとまらなかったら面倒だし、5人くらい居たら良いんじゃないの」

「5人だってアーネスト」

「聞こえてるわ!伝言ゲームしてんじゃねぇぞ蓮華!」

「あはは、ごめん」


 アーネストに突っ込まれたので、苦笑して返す。

 だって分からないんだから、聞くしかないじゃないか。


「うーん、5人でも少ないですけど、最初限定でそうしましょうか。ただ、魔界の領の統治は、地上と違って楽だとは思いますよ」

「そうなの?」


 私のイメージでは、めんどくさそうとしか思わない。

 何を決めるにも話し合いが必要だし、承認が要るはずだし。


「ああ蓮華、魔界は領の支配者が決まってるだろ?だから、決めたらこうするって伝えるだけだからな」

「え」

「反論があるなら、支配者に立ち向かえばいい。倒せば支配者は入れ替わるから、自分の好きな政策を施行できるんだからな。ま、これが魔界は力が全てって言われる象徴なわけだ」


 それはなんとも……。なら、よりちゃんと考えないといけないね。

 私は政治については、ほとんど知らない。

 国家を運営する組織が複数必要で、主義も色々とあったはず。

 けれど、魔界ではそういった物は必要なくて、君主制に近いのかな。

 君主制、貴族制、共和制、民主制、独裁制とあったんだっけ?民主主義とか権威主義とか、もう色々あって覚えていないけど。


「今のレヴィアタン領は、レヴィアタンによる庇護を受けながら、その対価を払っていない状態だ。これは権利だけ主張し、義務を放棄しているに等しい。この体制を続けていれば、いずれ領内で台頭する者が出てくるだろうな」

「全領じゃなく、レヴィアタン領の一部をよこせって感じで、レヴィアタン領の取り合いが起こるって事か」


 タカヒロさんの言葉に、アーネストが反応する。

 タカヒロさんは頷き、危機感を露わにしていた。


「レヴィアタンは強いが、大罪の悪魔達に及ばなくとも、強い魔族はたくさん居る。そいつらが手を組めば、厄介な事になるだろうしな。今のうちにしっかりとルールを作り、支配者が誰なのかを知らしめる必要があるだろう」

「そういえば、街道とかはレヴィの指示で作ってたんじゃないのかな?」

「蓮華さんは魔界で戦争がずっと続いてた時の事、知っていますか?」

「うん、聞いた事だけは……」

「ふふ、なら予想できると思います。今はリンの仲間達で分割してますけど、昔はそれぞれに支配者が居たんですよ。その支配者が、自分の支配する街は整備していたんです」

「あ、成程。その名残って事?」

「そういう事ですね。ですので、レヴィアタンが何かを行ったという事は、聞く限りではないでしょう」


 そう言うアリシアさんは、なんだか疲れた顔をしている。

 やっぱり、仲間がそんなんで、心労が堪ってるんだろうか。


「法の整備が急務だな。アスモデウス、幸いお前はどこも担ってないんだし、最初だけ手伝ってやったらどうだ?」

「え"」


 タカヒロさんの言葉に、アリシアさんが変な声を出して、ちょっと笑ってしまった。


「生徒会の仕事は、他の奴にも割り振れるだろ?けど、レヴィアタン領の問題は、リンスレットの問題でもある。手を貸しても良いだろ?」

「そ、それは、でも……」


 珍しくアリシアさんの歯切れが悪い。

 すると、アーネストがそれを見てニヤッと笑って言った。


「ああ、今俺達の後任を育ててるんだけどさ、そいつらに任せてみようぜ。んで、俺もレヴィアタン領に行くから、お前も手助けしてやれよ」

「行きます!会長も行くのなら!」


 脊髄反射で答えを反転させたアリシアさんに、私とタカヒロさん、それにノルンまで笑うのを我慢している。

 当の本人は気付いていないのか、なんか顔を引きつらせている。

 アーネスト、お前鈍感系主人公じゃないんだから、分かってるんじゃないのか?


「お、おお。行くのかよ。嫌がってたんじゃねぇのか……」


 うん、気付いてないなこれは。ていうか、今のもアリシアさんが嫌がってると見て、誘ったのが裏目に出た感じか。


「というかアーネスト、お前も行くのか」

「当たり前じゃん。こんな面白そうな事に俺を混ぜないつもりかよ」

「良いけど、ちゃんと正式に行って良いって事になってないんだから、ちゃんと帰れよ?」

「分かってるって!そんじゃ、ちょっと人を見繕ってくるぜ!」


 そう言って、アーネストは会長室から出て行った。


「なんか予想外な事になったわね蓮華」


 ノルンが苦笑しながら、ソファーに腰かける。


「あはは。ま、あいつが来るなら騒がしくなるのは確実だね」

「俺も行ってやりたいんだが、アスモデウスにそれは任せる。俺は生徒会の方を見ておく事にするさ」

「任せたわよタカヒロ。私はちょっと買い物に行ってくるわ」

「今からか」

「ええ。だってこれから少しの間とはいえ、会長と一緒なんですよ?」

「お前、いつも一緒に居るだろ」

「それは副会長としてだもの」

「……そうか……まぁ、頑張れ……」

「?……とりあえず、すぐ済ませるから、会長が戻ってきたら待つように言っておいてね。じゃないと、会長は平気で私を置いて行こうとするので」

「「「………」」」


 そのセリフに涙が出そうになった。

 アリシアさん、そこまで分かっていながら、何故……!


「わ、分かった。ちゃんと引き留めるし、あれなら蓮華が言ってくれる」

「うん、絶対に先に行かないから、大丈夫だから……」

「え、ええ、お願いしますね……?それじゃ、行ってきます」


 首をかしげながら、不思議そうな顔をして、窓から外へ飛んで行った。

 そこから行くんかい。


「ノルン、アリシアさんって……」

「ごめん蓮華、言わないであげて」

「……」


 アリシアさん、どうしてアーネストなんですかね。

 不憫すぎて胸が一杯になった私は、アイテムポーチから飲み物を取り出して、皆に配って飲んだ。

 イチゴジュースで甘いはずなのに、ほんのり苦いのはなんでだろう。

 それからアーネストとアリシアさんが戻って来るまで、私達は静かに待っていた。

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― 新着の感想 ―
[良い点] アーネストだけが気づかない系w そしてアスモデウスが相変わらず慎重すぎるというか。 これはなんか一生無理な気配しかしない、やっぱり。 [気になる点] 前々回あたりの回復ジュースもそうだっ…
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