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二人の自分 私と俺の夢世界~最強の女神様の化身になった私と、最高の魔法使いの魔術回路を埋め込まれた俺は、家族に愛されながら異世界生活を謳歌します~  作者: ソラ・ルナ
第四章 魔界編

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30話.夜のお茶(食事)会

 ポケットハウスの中に入ってから、まず仮の部屋を複数作る事にした。

 作るって言っても、兄さんも居るわけで、私はまたもや何もしていないんだけどね。


「こンな家あったら、もう家から出ない自信あンだけど」

「専用の部屋にくつろぎスペース、台所に加えて、カジノ部屋なんて場違いな部屋まであって、訓練場所みたいな部屋に加えてゲーム部屋まであるし……俺も多分、引きこもっちゃうなこれは」


 玲於奈ちゃんと照矢君が、色々な部屋を覗いて感想を言ってくれたけど、それ作ったの私じゃないからね。

 私が言ったのは休める部屋と台所とお風呂くらいだったのに、後のは母さんとアリス姉さんが色々と……。

 ともあれ、どれくらい一緒に居る事になるかも分からないので、とりあえず4つの部屋を割り振った。

 スラリンはミレイユの枕になるという事だったので、1つ部屋を減らしたんだ。

 うん、変な事言ってるのは分かってるんだけど、そうなんだから仕方がない。

 なんでも、スラリンは魔物かつ魔王らしいのだ。


 ミレイユも魔王だけど、スラリンはミレイユが魔王に成る前の魔王だったらしい。

 というのも、兄さんがスラリンに対して質問した事で判明したんだよね。

 あれは、皆の部屋割りを終わった後、テーブルをソファーで囲ったくつろぎスペースでお茶を飲んでいる時。

 レオン君とリタちゃんの話も聞いて、お礼を言った後に、無茶をしないように注意した後の事だった。

 スラリンが皆にお茶を入れていると、兄さんが突然言ったんだ。


「貴方も神族に近い存在のようですが、何故魔物の体を取っているのです?」

「う"ぇ"!?」


 スラリンが変な声を上げた。

 ミレイユや照矢君に玲於奈ちゃん、ハルコさんも驚いた顔をしている。


「ななななななんの事ですぅ~!?」

「ふむ、周りの者もどうやら知っているようですね。という事は、魔物の体を取っているのではなく、魔王として存在していたという方がしっくりきますか」

「な、何者なんですか~、貴方は~」

「そうですね、貴方達からすれば、異界の神と思えば良いでしょう」

「「「「「!?」」」」」


 まぁ、うん、そうだよね。

 でもね兄さん、そう紹介してしまうとですね。


「それじゃ蓮華サンも神様なン!?」


 そう思っちゃうよねぇ、知ってた。まぁ、女神ユグドラシルの化身なわけで、神様と言えば神様になるけど。

 でもそれを言ったらノルンだってそうだし。


「ええと、私は……」

「もちろんそうですよ」

「兄さん、ちょっと黙ってて」


 私はとても良い笑顔で言ったと思う。


「は、はい」


 兄さんがとてもしおらしくなったのを見て、皆が吹き出した。


「もぅ~、一体どういう関係なら、そうなるんですか~!」

「あははっ!全くじゃ!蓮華の兄、ロキと言うたか?凄まじい力を持つ蓮華よりも、更に圧倒的な力を有しておきながら、その蓮華に言い含められておるとは……!」

「あー、私はちっと分かンかも。要は、兄ちゃんだからじゃン?」

「玲於奈、そういう分かり方はどうかと思うんだけど……」


 照矢君が苦笑しているけど、その理解で良いと思う。


「つまり、お姉様と私のような関係という事ですねー!!」


 言いながら、横にいるハルコさんが玲於奈ちゃんに抱きついた。


「爪の先ほども当たっちゃいねーンだよ!離れろケイ!!テメェは毎回毎回抱きつく癖をなンとかしやがれ!そのでけぇ脂肪の塊をぶつけてくンじゃねぇ!!」

「そんなー!私はお姉様一筋ですのにー!」

「グイグイとその脂肪の塊を押し付けてくンな!嫌がらせかっ!人の話を聞けぇ!!」


 この短い間だけど、分かる。この二人はずっとこんな感じなんだろうな。

 だって、その顔は幸せそうに笑ってるから。(もちろんハルコさんの方)

 玲於奈ちゃんも本気で嫌なら、いくらでも方法はあるはずなのに、力づくでは引きはがしていない。

 きっと、信頼しているんだと思う。


「これ以上その邪魔なモンを当ててくンなら、今日こそ今生のお別れさせてやンよ!!」

「みぎゃっ!?ぎにゃぁぁぁぁっ!!皆の前では絞っちゃダメですお姉様ぁぁっ!?」

「含みのある言い方すンじゃねぇぇぇっ!!」

「みぎゃぁぁぁっ!?」


 玲於奈ちゃんがハルコさんの胸を鷲掴みにして、握りつぶした。

 ハルコさんは本気で痛そうだけど……うん、きっと信頼してるからだよね。


「えっと、話を戻して良い?」

「ケイの事は気にしなくて良いのじゃ」

「玲於奈もいつもの事だからね……」


 ミレイユと照矢君のフォローに、やっぱり……と思いながら、話を続ける。


「私は地球という星の日本という場所から、この世界ラースに召喚されたんだ。ただ、本来召喚されたのは一人だったんだけど……一つの魂を、2つに分けられたんだ。そのうちの1つが私」

「ちょ、ちょっと待って蓮華さん。それって、もしかして……」


 照矢君が血の気の引いた、青ざめた顔で言うのを、遮って答える。


「うん。想像通り、私は元の体とは違う。元の体は、もう一人の私がそのまま。私はこの世界で創られた体に魂を融合したんだ。だから私は、この世界の住人と言えるね」

「ンだよ、それ……!そんな勝手な事、許されンかよ……!」


 二人が私のおかれた状況に、憤ってくれた。

 良い子達だと思う。ミレイユやスラリン、ハルコさんも気まずそうな顔をしている。

 おっと、誤解させないようにしないとね。


「ありがとう。でも誤解しないで。私は、望んでこの世界に居る。私を召喚した人はね、私を、私達を帰してくれようとしたんだ」

「「「「「!!」」」」」

「でも、私は、私達は自分の意志で、この世界に残る事を……違うかな。この世界で生きる事を決めたんだ。その選択に後悔はないし、素敵な家族や友人に囲まれて、私は幸せなんだ」


 それが伝わるように、できるだけ落ち着いて、ゆっくりと話しかけた。

 皆、私の思いが伝わってくれたのか、笑ってくれた。


「そか、蓮華サンも私達と同じって事じゃン?」

「だな。その気持ち、俺達も分かります。俺達も、自分の意志で……ミレイユ達と一緒に居る事を選びましたから」


 そっか、この二人も……。

 私は自然と笑顔になるのを止められなかった。

 二人も、ううん皆も笑ってくれた。


「だから、兄さんと血は繋がっていないけど、家族で兄さんなんだ」

「成程ね。それじゃ蓮華サンとロキサンは結婚できるって事かぁ」

「それはないかなぁ」

「ええ、それはないですね」

「あ、あれ、意外に冷静な返しが来ましたねお姉様」


 いやだって、ねぇ。

 兄さんは兄さんであって、夫にしたいなんて思った事がない。


「蓮華は私の宝物ですからね。妹のように愛する事はあっても、妻という意識はありませんね。もちろん、蓮華が望めば構いませんが」

「そこは構ってよ。兄さんは兄さんであって、ありえないからね?」

「ふふ、もちろん分かっていますよ蓮華」


 というやり取りをして、お茶で喉を潤していたら、玲於奈ちゃんから恐ろしいツッコミを受けた。


「あー、そういう事か。なンつーか……蓮華サンとロキサン、年季のいった夫婦みてぇじゃン?」

「ぶふぅっ!」


 お茶を吹いてしまった。

 いきなりそんな事言われたら、しょうがないじゃないか。


「おっと、蓮華。はしたないですよ」


 ハンカチで口元を拭われる。

 うぅ、恥ずかしい。


「あぁ……更になンとなく分かった。蓮華サンのイメージ、人によってコロコロ変わりそうじゃン……」

「一応言っておくけど、コイツは家族といる時で、更に会長……じゃなくて、アーネストと一緒にいる時は、更に砕けるわよ」

「「「「「これ以上!?」」」」」


 ノルンの言葉に、また皆が驚いた。

 レオン君とリタちゃんは、もはや容量オーバーなのか、口をパクパクさせている。

 なんでそんな事で驚かれるのか、よく分からないけれど。


「ええと……そんな事ないよ?」

「アンタ、自覚ないとは言わせないわよ」


 それは、まぁそうかもしれない。

 でも誰だって、人によって接し方は変わると思うんだよ。

 アーネストは特に、何も気にしなくて良いから楽なんだよね。


「アーネストって、もしかして蓮華サンのもう一人の自分って事なン!?」

「蓮華さんは女性だけど、アーネストって名前からして、男性ですよね!?」


 なんて色んな質問に答えつつ。

 それからたわいない話を続けてから、途中でスラリンと照矢君と一緒に料理を作って、簡単な夜食を食べてから今夜はお開きとなった。

 意外にも玲於奈ちゃんは家事全般ダメで、兄の照矢君は料理が得意との事だった。

 スラリンは独特な調理の仕方で、教わる事が多かったよ。

 照矢君は、私より手慣れた感じだったけど、大体は一緒だった。

 ずっと作ってきたって感じだ。

 ご飯を出した時の二人の反応が面白かった。


「「こ、米ぇぇっ!?」」


 2人揃って叫んだのが印象的だったよ。うん、異世界によっては、米が無かったりするもんね。

 この世界では転生者が割と居るから、普及してるんだよね。

 普通の値段で売ってるし、平民貴族関係なく、誰でも手軽に食べられる。

 うまいうまいって言いながら食べる照矢君と玲於奈ちゃんを見て、心が和んだ。

 皆にも概ね好評だったし、機会があればカレーでも振舞ってあげよう。

 インスタントカレーみたいに、お湯で温めるだけで完成のカレーも作っておこうかな。

 さて、明日は母さんの所に行って、話を聞いてみよう。それじゃ、おやすみなさい。

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