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二人の自分 私と俺の夢世界~最強の女神様の化身になった私と、最高の魔法使いの魔術回路を埋め込まれた俺は、家族に愛されながら異世界生活を謳歌します~  作者: ソラ・ルナ
第一章 オーブ編

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24.大精霊

「なんでここにウンディーネが?」


「水精霊の集まるこの祠に、水の大精霊の私が居る事が不思議なのレン?」


「水の、祠?」


「レン、貴女各精霊の祠へ向かっていたんじゃないの?件のアーネストも向かっていましたよね?確か今は日と月の祠へ向かっていたはずですが」


 その言葉に、頭を傾げる私。

 それを見て察したのか、バニラおばぁちゃんが言う。


「レンちゃん、もしかしてぇ、もしかしてだけどぉ……今まで、オーブに魔力を込める時、属性を意識してなかったとかぁ、ないわよねぇ流石にぃ」


「……」


「レ、レンちゃん?」


「レン、貴女まさか……」


「えぇと……何も気にせず魔力込めてたよ……?」


「「……」」


 なんだろう、大精霊とハイエルフが変なものを見たって顔してるんだけど。


「もしかしてぇ……レンちゃんは世界樹の化身だからぁ……オーブに必要な魔力だけをオーブが勝手に受け取ってぇ、受け取られなかった魔力は、そのまま外へ還元されたのねぇ。ほら、レンちゃんの魔力って、言っちゃえば世界に満ちているマナだからぁ」


「あぁ……成程、確かにそれなら納得ですね。流石ハイエルフの貴女は見識が深い」


「お褒めにあずかり光栄ですわぁ、大精霊、ウンディーネ様ぁ」


「ふふ、貴女はレンが心を許している方のようですし、ウンディーネと呼び捨てて構いませんよ」


「あらぁ、嬉しいわぁ。ありがとうウンディーネぇ。アタシはバニラ=ハーゲンダッツ、バニラって呼んでくださいねぇ」


「分かりました、バニラ」


 なんか大精霊とハイエルフが仲良くなってる。

 説明してくれないのかなぁと、じーっと見ていると、こちらに気付いたのか、バニラおばぁちゃんが言ってくる。


「え、えぇとねぇレンちゃん。昨日話してくれた最初のオーブの場所は木の祠でぇ、次の祠が火の祠だったのよぉ?」


 そうなんだ。

 まったく気付かなかった。

 いやだって、木の祠なのに湖みたいなのあったし、いやむしろだからあったのか。

 でもカレンにアニスと行った場所は暑くなんて……あぁ、砂漠だったなそういえば。

 ずっと氷の魔力纏ってたから忘れてたよ。


「それでねぇ、その属性に適した魔力を注入しないといけないんだけどぉ……レンちゃんは全属性扱えるからぁ、全属性の魔力を注入しようとしてぇ、オーブが勝手に適した魔力を吸い取ってぇ、他の属性の魔力は外に拡散してたってわけぇ、多分だけどねぇ」


 成程……だから時間が掛かったのかな。


「レン、それより木の大精霊と火の大精霊とは会わなかったのですか?」


 とウンディーネが聞いてくるけど。


「オーブの場所には魔物が居たし、片方は魔神なんて名乗る奴が居たしで、会えなかったよ」


「「!?」」


 その言葉に驚くウンディーネにバニラおばぁちゃん。


「魔神……レンちゃん、よく無事だったわねぇ」


「確かに強かったけど、言うほどじゃなかったよ?アーネストのがよっぽど強いし」


 その言葉に沈黙する二人。

 どうしたんだろう?と思っていると。


「レン、貴女は強くなりたいですか?」


 って真剣な表情でウンディーネが聞いてきた。

 そりゃ、なれるならなりたいけど……一朝一夕で強くなれるのは、本当のチートを得た人達だけだろう。

 ……私やアーネストもあんま変わらないか。


「うん、無謀にならないくらいの、勇気と評価される程度には」


 クスリ、とウンディーネが微笑んだ気がした。


「レン、何故バニラの風の魔力が、今のレンより強いか分かりますか?」


「え?」


 確かにバニラおばぁちゃんの魔法は強かった。

 それこそ、魔力量は私より少ないはずなのに、私以上に。

 疑問が顔に出ていたのだろう、ウンディーネが続ける。


「バニラはハイエルフです。種族として、風の大精霊の加護を得ているのです。それは、古の約束からなる加護なのですが、その由来は今は置いておきましょう」


 約束からの加護……あ、もしかして!


「もしかして、私と友達になってくれたウンディーネは、それも加護にあたる、とか?」


 もしそうなら、最初にバニラおばぁちゃんが言っていた事も分かる。


「えぇ、そうです。レンは、私の加護を受けています。元が世界樹なのですから、好意的に取られないはずもないのですけれどね」


 そうなんだ。

 よく分からないけれど。

 でも、そもそも加護について知らない。


「その加護っていうのは、実際どんなものなの?」


 だから、聞いてみる事にした。

 ウンディーネが答えてくれる。


「例えば、同じ属性の魔法を使う場合に、消耗が抑えられ、威力が増大します。更に、相手がそれを苦手とする場合、また同属性の場合にも、こちらは与えるダメージが増加しますね」


 威力上昇に与えるダメージの上昇か、似てるけど異なる効果だな。

 ゲーム好きだったからよく分かる。

 でも、属性有利に与えるダメージが増えるのは分かるけど。


「同属性の相手にもダメージが増えるの?」


 それが不思議だった。

 ウンディーネがなんでもない事のように答えてくれる。


「ええ、そうです。その属性の長との繋がりがある者と、ただその属性である、という者とでは、上下関係とでも言いましょうか、それが明確に出るのですよ」


 なんか世知辛いセリフがきた。

 上下関係て。


「例えば、私の加護を得たレンは、同じ水属性の相手に非常に有利に戦えます。覚えがありませんか?レンは湖に居る巨大な魔物を、容易く倒せませんでしたか?」


 あ!そういえば居たなぁそんなの。

 あれ、ウンディーネの加護があったから、余裕だったのか。

 っていうか、なんでウンディーネはそんな事を知っているのだろうか。

 でも、加護って凄いんだなぁって思っていたら。


「まぁ、あの程度の相手であれば、仮に私の加護が無くてもレンなら余裕だったと思いますけど」


 私の感動を返せ。


「最初に言ったレンが好意的に取られないはずがない、という言葉に戻りますが、世界樹は私達精霊の生みの親とも言われています。ですから、どの精霊も、世界樹の事を好んでいます。その化身足るレンの事をどう思うかは、分かるでしょう?」


 そう微笑むウンディーネ。

 成程、そういう背景があったのか。

 そういえば、水属性には派生属性として氷属性があって、2つ目のオーブに向かう道中でお世話になってたけど、それも大精霊は違ったりするのかな?


「ねぇウンディーネ、氷の大精霊ってやっぱり居るの?」


「えぇ、もちろん居ますよ。属性には必ず精霊の上位である大精霊、そしてその上に、精霊王の位が存在しますね」


 精霊王……そんな存在までいるのか。

 ウンディーネはにこやかに笑って続ける。


「精霊王は、全属性の魔法が使える存在です。ですが、今は空位。位はあれど、その存在は居ません」


 あれ?なんか話の流れが怪しくなってきたような?


「レン、強くなりたいのでしょう?なら、全大精霊と契約を結ぶのです。それが一番の近道ですよ?」


 それは分かる、分かるんだけど。

 なんだか全属性を使えるという所に引っかかりが……。

 微笑んでいるウンディーネに、聞いてみる事にした。


「ねぇウンディーネ。仮に、仮にだよ?私が全大精霊と契約したら、精霊王に成るとか言わないよね……?」


 視線を逸らすウンディーネ。

 おい。

 おいったらおい。


「ちょ、嫌だよ!?精霊王とかそんなのになりたくないよ!?」


「大丈夫ですレン、位を頂くだけで、特別何もする必要なんてありませんから」


「それもう認めちゃってるよね!?成るって言ってるよね!?なんでさっき目を逸らしたの!?」


 滅茶苦茶慌ててる私だったが、笑い声が聞こえてきて振り向く。


「あっはは。レンちゃんってば。あははは」


なんでそんなに笑ってるんですかバニラおばぁちゃん……。


「良いじゃない、精霊王。レンちゃん、願ってもない力を得るチャンスよぉ。精霊王の力を得られればぁ、どんな困難にだって立ち向かえるわぁ。それに、全精霊が力を無条件で貸してくれるわぁ。それって、とんでもなく凄い事でぇ、きっと、レンちゃん以外には出来ない事よぉ」


 なんて、凄く真剣な表情で言ってくれるバニラおばぁちゃん。

 そうだな……私が決めた、母さんや兄さんに迷惑をかけない生き方に、必要かもしれない。


「……分かったよ。その、ウンディーネは力貸してくれるんだよね?」


 その言葉に、クスっと笑って。


「当たり前です。私はレンの友達なんですから」


 と、言ってくれた。

 その言葉に嬉しくなりながら。


「ありがとう」


 と笑顔で言った。

 そんな私達の会話を聞いているのかどうか分からないけど、結果的にずっと無視されている魔物が奥に居るんだけど、気にしない。

 だって、それに気付いてるウンディーネとバニラおばぁちゃんが、瞬殺する未来しか見えないんだもの。




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