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二人の自分 私と俺の夢世界~最強の女神様の化身になった私と、最高の魔法使いの魔術回路を埋め込まれた俺は、家族に愛されながら異世界生活を謳歌します~  作者: ソラ・ルナ
第四章 魔界編

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25話.異世界の魔王と勇者達との出会い③

 雷が剣へと落ちる。

 バヂバヂと音が鳴り響く剣を構え、彼女が言葉を発した。

 その表情は、とてもイキイキとしているように見える。


「自己紹介が遅れたけど、私の名前は御剣(みつるぎ) 玲於奈(れおな)。お察しの通り、日本人」

「私は蓮華。蓮華=フォン=ユグドラシルだよ」

「え?蓮華サンは日本人じゃないン?」

「あはは、言ったよね?詳しい事は……」


 ソウルを彼女に向けて構える。

 玲於奈ちゃんはそれを見て、笑みを深めた。


「良いね。蓮華サンの強さはさっき見せてもらったし、手加減はいらなそうじゃン?だから、こっちも最初から最強のスキルで行かせて貰うよ」


 その言葉と同時に、横で剣を掲げた彼の剣にも、雷が落ちる。


「俺は御剣(みつるぎ) 照矢てりや。蓮華さんなら分かるだろうけど、玲於奈は妹なんだ」

「そっか、兄妹で異世界召喚されたんだね。だから二人とも雷属性の魔法を使えるのか」


 その言葉に、二人が顔を見合わせた。

 どうしたんだろう?


「ま、手の内は明かせねぇンよ。行くぜ蓮華サン!『ギガストラッシュ』!」

「合わせる玲於奈っ!『ギガントブレイク』!」


 二人が私の元へ突撃してくる。

 玲於奈ちゃんは剣を逆手に持ち、横薙ぎに雷を纏わせた剣を振るってくる。

 一方照矢君は、剣を両手で縦に構え、そのままの体制だった。

 斬撃がクロスするその瞬間に、私もソウルを振るう。


「『地斬疾空牙』!」


 零距離でのカウンターだ。

 剣が交わった際の衝撃が、腕を痺れさせる。


「マジ、かよっ……!私と兄ちゃんの合体技でも、通じねぇンかっ!?」

「まだだ玲於奈……!このまま押し切るっ……!」


 二人の振りぬく力が強くなる。

 そこで、私は力を抜く。


「「なっ!?」」


 剣を振り抜き、無防備になった所へ一撃を入れた。


「がっ!?」

「ぐぅっ!?」


 二人は吹き飛ばされ、空に体が投げ出される。


「お姉様っ!!」

「テリー!レオナ!?」

「うわ~、お強いですねぇあの人~」


 なんか一人、凄くのほほんとした声が聞こえたけど。

 後方に飛ばされた二人は衝撃を受け流し、綺麗に着地した。


「くぁ~!やるじゃン蓮華サン!こんな強い人初めてじゃン!」

「あはは、楽しそうだね玲於奈……」

「うしっ!こんなモンいらねぇっ!」


 え。玲於奈ちゃんが、剣を投げ捨てたんですけど。


「悪いね蓮華サン、私はコッチのが得意でさ。一応証拠に……よっ!」


 玲於奈ちゃんが地面に拳を放つ。

 その瞬間、地面が凹んだ。いやいや、オーラで拳を包んでもいないし、魔力で覆ってもいない。

 あれは、単純な力だ。


「ええと……玲於奈ちゃん、化け物?」

「ンなっ!?これでも16歳の乙女なンですけどっ!?心外なンですけど!?」

「いやだって、16歳の女子高生はパンチで地面を凹ませないよ……」

「ンな事ねぇよ!周りの皆、剣とかハンマーとか使って地面ボコボコにしてたって!」

「うん……武器を使ったり、手を魔力で覆うとか、魔法や魔術で肉体強化したり……そういうのしてたら分かるんだけど……玲於奈ちゃん、それ素だよね?」


 衝撃を受けたのか、青い顔をしている。

 もしかして、異常を異常と思ってなかったんだろうか。


「あ、あの、お姉様。私の胸を揉む時は優しくしてくださってるじゃないです、か?」

「時と場合と内容を考えて喋りやがれこの駄狐がぁぁぁっ!!」

「ひぃぃん!?お姉様を慰めようとしたんですよぅ!?」


 あまりの事に一瞬眩暈がした。

 む、胸を揉んで……良く見たら、巫女服から零れ出るくらい大きい。 


「ま、まぁケイの言った事はおいておくにしても、じゃ。この世界では、肉体的強さは魔力によって補うようじゃな。先程から気になっておったのじゃが、空気中に何か漂っておるでな」

「!!貴女には見えるんですか?」

「うむ。妾はミレイユ。お主らからすれば、異世界の魔王じゃ」

「「魔王!?」」

「そして私は、そんな魔王様に仕えるメイドです~」

「スーラーリーンー」

「コホン。もぅ~、皆さん正直者なんですから~。まだ何も分からない状況で、素直にこちらの事をペラペラ喋ってどうするんですか~」

「「「「うっ」」」」


 なんとなくだけど、力関係が分かってしまった。

 だって分かりやすいし……それに、お互いの事を信頼しているのが見て取れた。

 うん、この人達なら……大丈夫かな。


「いきなり襲いかかってきた私を信じてとは言わないけど、それはその人を皆が殺したと思ったからなんだ。それは、本当だよ」

「じゃが、それは真実じゃぞ?」

「うん、そうなんだろうね。でも、理由があったと思う。それを、この戦いの後に話してほしいな」


 そう言ったら、5人が微笑んでくれた。


「ン、蓮華サンはやっぱり信用できると思うンだよな。直感なンだけどさ。私こういうの、外した事ないンだよね」

「玲於奈の人を見る目は信頼してるよ。その玲於奈が言うからってだけじゃないけど……俺も、信じても良いと思う」

「わ、私はお姉様がそう決めたなら、それに従います!」

「ふむ……そうじゃな」

「もぅ~。これじゃ私が悪者みたいじゃないですか~ぷんぷんです~」

「ごめんごめんスラリン、そういうつもりじゃないって。スラリンの事は信頼してるんだから、拗ねないでくれよ」

「後でオムライス作ってくださいね~?」

「そんなもんで良ければ、喜んで」

「あ、兄ちゃん私の分も頼むかンな!」

「はいはい」


 ちょっと話をすると和気藹々とするこの人達に、私は表情が緩んでしまう。

 なんだろう、家族って感じがする。

 兄妹の二人は当たり前だけど、全員そう感じるんだ。


「で、続きすんの?私とイフリートも攻めて良いわけ?」


 痺れをきらしたのか、ノルンが問いかけた。

 イフリートも待ちきれないといった感じだ。


「当然!こっちから行かせて貰うかンなっ!」

「我が弟子とばかり遊んではつまらんぞ!わしと戦ええええいっ!!」


 玲於奈ちゃんの突撃に合わせ、イフリートが飛び出した。

 右ストレートを右ストレートで合わせ、衝撃波が飛んだ。


「っとぉ!?爺サン、なンて力してやがるっ!!」

「フハハハハ!娘、中々良い力をしておるではないかっ!」

「ざけンなっ!これからだっての!!」


 イフリートと玲於奈ちゃんが、凄まじい速度で拳と蹴りを繰り出している。

 女子高生VSお爺さんという、なんとも言えない構図なんですけども。

 まぁ、あっちは放っておこう。イフリートだけじゃなく玲於奈ちゃんも笑ってるし、楽しそうだから。


「俺、あの玲於奈とまともにやりあってるのを見たの初めてだよ……」

「あの者は人型をしておるが、火の大精霊じゃろうからな。大精霊は、契約者の扱える力で出せる力が変わるはずじゃから、その者がそれだけの強さという事じゃ」

「へぇ~……蓮華さんはやっぱり凄いんだな」

「この世界もそうかは、分からぬのじゃがな」


 赤い、吸い込まれそうなくらい綺麗な瞳に見つめられる。

 この世界で色々な人と出会って、綺麗な人もたくさん見てきた。

 ミレイユと呼ばれたこの人も、その中でも上位と言って良いくらい綺麗だ。


「私の事は蓮華と呼んでくれていいよ」

「では妾の事も、ミレイユと呼ぶ事を許そう。異界の者達よ、素晴らしい力じゃな。一手、妾達に付き合って貰うのじゃ」

「当然、私も一緒ですからね~。もう主に言われちゃいましたが、改めまして~。スラリンと申します~。ミレイユ様が呼び捨てで良いと仰られておりますので、私の事も呼び捨ててくださいね~。あと私スライムですので、擬態は得意なんですよ~」

「スラリンは魔物だけど、俺達の仲間なんだ。当然、俺も一緒に戦うよ」


 照矢君とスラリンが前に立ち、ミレイユが後ろか。


「さて、それじゃやろうかしらね。蓮華、後ろの魔王行かせて貰って良い?」


 きっと、ノルンは魔王に思う所があるんだろう。

 私は頷き、前を向く。

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― 新着の感想 ―
[一言] 久しぶりにミレイユ達の戦闘が読めて楽しいです♪ それにしても玲於奈ちゃん……大精霊の中でも戦闘狂なイフリートと殴り合えるとは…… 流石勇者様ですね(;'∀')
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