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二人の自分 私と俺の夢世界~最強の女神様の化身になった私と、最高の魔法使いの魔術回路を埋め込まれた俺は、家族に愛されながら異世界生活を謳歌します~  作者: ソラ・ルナ
第四章 魔界編

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24話.異世界の魔王と勇者達との出会い②

 時は蓮華達と出会う少し前――


「なぁ兄ちゃん、ここ異世界だよな?」

「あー……多分そうだろうなぁ。あの女神が飛ばす瞬間言ってたし」

「すまぬテリー、レオナ。まさか問答無用とはおもわなんだ……」

「あんの駄女神、人の話を聞きやしないんですから~」

「スラリンは人じゃ……」

「テリー様~?」

「……ナンデモナイデス」


 ロッテンベリクの街のすぐ傍の森。

 そこで話しているのは、異世界"ラース"へと飛ばされた者達だった。


「とにかく、まずは情報集めから……っ!!この気配は、魔物!?」

「ったく、この世界にも魔物はいンのかよ!ケイ、退魔術で結界は張れっか!?」

「ええと……はい!大丈夫ですお姉様!この世界でも問題なく力は使えるようです!」


 ケイと呼ばれた、獣耳の巫女服姿の女性が術式を発動させる。

 自分達の力を外に漏らさない為の結界である。


「結界、完了です!これで全力を出しても大丈夫ですお姉様!」

「オーケー!良くやったケイ!迎え撃つぞ兄ちゃん!」

「おうっ!ミレイユは下がっててくれ!」

「うむ!妾を守れ勇者よ!」

「ミレイユ様ももう戦えますのに、これですもんねぇ」

「妾が手を下すまでもあるまい?」

「うわー、魔王様みたいですミレイユ様~」

「魔王なんじゃー!!」


 そこへ、すでに傷だらけの魔物がヨロヨロと現れる。

 全身が何者かに噛み砕かれたのようにボロボロで、複数ある腕や足が、いくつか千切れかけている。


「ふむ……すでに、死にかけじゃな……」

「……タ……ノム……オ……レヲ……コロシ……テクレ……」

「「「!!」」」


 魔物だと思っていた者が、言葉を発した事。

 普通であれば、それに驚くかもしれない。

 けれど、この者達は違った。元から、魔物が言葉を話す世界に居たのだ。

 だから、驚いたのは別の事。


「何故、助けて欲しいと言わぬのじゃ?」


 ミレイユと呼ばれた美しい女性が、目つきを鋭くし問いかけた。

 その瞳には、強い意志を宿しているのが一目で分かった。


「オレハ……コンナチカラガ……ホシカッタワケジャ、ナイ……!オレガ、ホシカッタノハ……ナカマヲ、マモレルチカラ、ダッタ……!」

「お主……」

「ソノナカマヲ……オレガ、コロシタ……キヅイタラ、ナカマガ、モノイワヌカタマリ二……ナッテイタ……アノキメラニ……コロサレタラ、リヨウ、サレル……!タノ、ム……オレヲ……コロシテ、クレ……!」


 その姿は魔物でありながら、魂は人の心を持っている。

 気になる言葉もあったが、異世界の魔を総べる王であるミレイユは告げる。


「分かった。妾は魔王ミレイユ。その名において、お主を魂の牢獄から救おう」


 魔力がミレイユの体から流れ、その手には剣が創られた。


「その魂に、安らぎを――」


 ミレイユの剣が、魔物の心臓を突き刺した。


「ギャァァァァァッ!!あぁぁぁぁっ!!……あり、がとう……皆、すまない……俺の、せいで……」


 魔物だったその体は、人の形を取り戻し……静かに息を引き取った。


「ミレイユ様……」

「うむ、この世界……何か厄介な事件が起こっているのかもしれぬな……」

「!!兄ちゃん、こっちに向かってきてる魔力、分かンか!?」

「ああ、いきなり巨大な魔力が二つ……!」

「ケイ、結界は張ってたんじゃねぇンか!?」

「ちゃ、ちゃんと張ってましたよぅ!絶対に力は漏れてないはずですぅ!」

「ケイちゃん~、声は~?」

「あっ……」

「……ケイ、後で覚えとけ」

「ひぃんー!ごめんなさいー!」

「どうやら、逃げる暇は無いようじゃな」


 そんな言い合いをしている5人の元へ、女神の化身達が現れる。

 こうして、運命は交わった――





「はぁぁぁぁっ!!」


 私が繰り出す剣撃を、全て防ぐ二人の男女。

 高校生の様な彼と、女子高生の様な彼女。今の私と、歳はそう変わらないんじゃないかと思った。

 まだ若いのに、凄く強い。

 剣の腕は、私より下だと思う。

 駆け引きとか、そういうのがまったくない、純粋な剣閃だ。

 だからこそ、不思議だった。何故、こんな実直な剣を繰り出せるのに、あんな酷い殺し方を?もしかして、別の――


「隙、ありっ!!」

「ぐっ!!」


 考えていたら、死角から良い蹴りを貰ってしまった。

 少し後ろに下げられたけれど、そこまでのダメージじゃない。


「うっそだろ!?割と本気で蹴ったンだけど……ケロッとしてやがる……」

「うん、凄いな……玲於奈のあの蹴り受けたら、俺なら1時間は立ち上がれない」


 確かに凄い威力だったけど、私には打撃耐性があるし、その受けたダメージもすぐに回復していってるからね。

 絶え間なく受けたら別だけど、そうやって時間くれるなら、私にダメージは蓄積しないよ。


「なら、これならどうですぅ~?」

「!?」


 気が付いた時には、すぐ後ろに何かが居た。

 透明の……スライム!?


「飲み込んで差し上げますねぇ~」


 全身を液状の何かが包み込む。

 息が出来なくなり、視界も悪くなる。

 スライムって確か、火に弱かったよね?

 声には出せないので、心の中で呼びかける。

 イフリート、頼むよ!

 呼んだ瞬間、私を包んでいた液状の物が離れるのを感じた。


「きゅぅぅ……!な、なんてものを呼ぶんですかぁ~!?」

「す、スラリン!大丈夫なんじゃな!?」

「まさかスラリンでも抑えられないなんて……!」


 燃え盛る炎の魔神……大精霊イフリートが、目の前に膝をついていた。


「我が弟子蓮華よ、よくぞわしを呼んだ!」

「うん、ありがとうイフリート。でも弟子じゃないからね」


 ちゃんとそこは否定しておく。


「だ、大精霊!?超上位種族ではないかっ!?」

「イフリートって事は火だよな、だからスラリンが離れたのか」

「あんな化けモンまでいンのかよ……!」


 驚いているようだけど、戦いはこれからだ。


「イフリート、森を燃やさないように調節できる?」

「フハハハ!そんな事は朝飯前よ!弟子との共同戦線とは胸が躍るのぅ!」

「いや、私も居るんだけど……」


 様子を見ていたノルンが、控えめに声を掛けてきて笑ってしまった。


「ちょっとは落ち着いたの?」

「うん。剣を受けてね、分かったんだ。彼らの剣はまっすぐだった。人殺しの剣じゃなかったよ」

「「「!!」」」


 その言葉に、5人が驚いた顔をした。

 まぁ、そうだろうね。いきなり襲いかかってきた相手が、そう言うんだから。


「なら、なんでまだ続けるわけ?」

「え?うーん……楽しかったから?」

「アンタね……」


 いやだって、この人達凄く強いんだよ。

 身内以外でこんなに強い相手、久しぶりなんだもん。

 悪い人達じゃないって、会話を聞いてても分かるし、ある種の直感だ。


「えっとね、間違ってたら言って欲しいんだけど……そこの彼と、そこの彼女。日本人じゃない?」

「「なっ!?」」

「あっ、やっぱり。知らない人に聞いたら、何言ってんの?って感じなんだけど、二人の反応は違うもんね」

「え、えっと、もしかして貴女は……」

「さーて、話を聞きたかったら、私に勝ってからかなー。私達が勝ったら、君達の事教えて貰うよ。ついでに私達の事も教える。君達が勝ったら、私達の事を教えるよ。ついでに君達の事も聞かせてくれたら嬉しいかな?」

「アンタね……それ……」


 うん、どっちに転んでも私にとって良い展開というか同じなんだけど、どうだろう。


「ぷはっ!アハハ!兄ちゃん、私はなンかこの人気に入った。話を聞く為にも、全力で相手してやろうじゃン?」

「玲於奈……。そうだな、俺達も聞きたい事だらけだし……やってやるか!」


 後ろの3人も同意してくれたみたいだ。


「ノルン、様子見はそれくらいで良いよね?」

「はいはい、いざとなったらアンタを止めようと思ってたんだけど……本当にアンタは私の予測の斜め上を行くわね」

「あはは。イフリートも良い?」

「フハハハハ!!任せよ蓮華!わしの拳の威力、魅せてやろうぞ!」


 相変わらず元気なお爺ちゃんだ。

 紫色の拳法着がこんなに似合う精霊、他にきっと居ない。


「それじゃ、第二ラウンド……行くよ!」

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