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二人の自分 私と俺の夢世界~最強の女神様の化身になった私と、最高の魔法使いの魔術回路を埋め込まれた俺は、家族に愛されながら異世界生活を謳歌します~  作者: ソラ・ルナ
第四章 魔界編

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21話.家族へ相談

 ユグドラシル領にある母さんの、ううん、私の家に帰ってきた。

 母さんや兄さん、アリス姉さんにもみくちゃにされたけど、ああ……帰ってきたんだなぁって思ってしまう。

 それくらい温かい気持ちになれる、私の居場所だから。


 それから、膝に寝転がってくる猫みたいなアリス姉さんの頭を撫でながら、事情を説明した。

 ちなみに、兄さんが私の隣で頭をずっと撫でてくるんだけど、恥ずかしいからそろそろやめて欲しい。

 母さんもそれを羨ましそうに見るのはどうなの。

 視線がチラチラと私の頭の上にいってるの、気付かないと思いましたか。


「良いなぁロキ、それにアリスも。私もレンちゃんに直接癒されたいのにぃ」

「母さん?」

「き、聞いてる、聞いてるからねレンちゃん!?えっとね、リンに言えば一番簡単だと思うよ?」


 実際、そうなんだろう。

 魔界の王であるリンスレットさんが厳命すれば、守らないわけがない。

 それこそ国家権力そのものなんだから。


「……レンちゃん、例えばなんだけどね。これはレンちゃんの友達がって意味ではなく、聞いてね?」

「うん」

「今まで力の無かった人が、突然何物をも通さない無敵の盾を手に入れたとすると、どうなると思う?」

「え?勿論、安心するんじゃ……」

「そうだね。でもね、人の感情はそこで終わらない。自分が安全になると、次は欲が出てくるの。相手はどうあっても自分を傷つける事ができない。そうなると……今度は他者に対して攻撃的になるの。だって、自分は安全なんだから。何しても、何も返されないから、怖くないの」


 母さんの言いたい事が分かる、分かってしまう。


「もちろん、そんな者ばかりなら、こんな世界滅ぼしてるけどね」

「母さん……?」

「レンちゃんのように力に溺れない、優しい者だっている。だけど、皆が皆そうじゃない。だから、ルールという秩序が必要になってくるの。力を持った者が安易に力を振るわないのは、それ以上の力を持つ者を恐れるからなの」

「そう……だね。つまり、魔界に新たなルールが必要って事なんだね」

「そういう事だね。単純な方法ならあるんだよ?その病院に、光魔法以外の魔法を打ち消す結界を張っても良いし、そこで務める者達に、強力な結界効果を持つ護符を身に付けさせても良い。けれど、その力を得た者達が、他を害しない保証はどこにもないよね?」

「うん……」

「だからね、レンちゃん。頼る事は悪い事じゃない。もっと、私達を頼って良いんだからね?こうして相談してくれて、私は嬉しいよ?」

「……ありがとう、母さん。私、思いつきで行動しちゃって……穴だらけなんだよね。恥ずかしいよ」

「ふふ、レンちゃんの魅力は、その行動力だと思うな。思う事はあっても、それを実行に移そうと動ける人は、少ないよ?大丈夫、レンちゃんには私達がいるんだから。ね?」

「うん、母さん!でも、それならどうしたら良いかな……?」

「簡単よー。悪い事ができない雰囲気にしちゃえば良いの」

「え?」

「そうですね、街に強力な支配者がいるというだけでも、雑魚は黙るものですよ」


 今まで黙っていた兄さんが、口を開いた。

 その顔はなんとなくあくどい顔をしているような……。


「魔界はリンに任せてるから、私達は口出ししないけど……あまりにもアレなら、ねぇロキ」

「そうですね、ちょっと手が出てしまっても、問題はありませんねマーガリン。なぁに、証拠など残しはしませんとも」

「「ふふふふふ……」」


 どうしよう、二人の化け物が悪だくみをしているようにしか感じない!


「ストップ、ストップだよ!これは私達がなんとかしようって思ってるんだから、滅茶苦茶な事しちゃダメだよ!?」

「「えー」」

「母さん!兄さん!」

「「はい……」」


 うぐぅ……ショボーンとする二人に、罪悪感が込み上げてくるけど我慢だ。


「あは、あははははっ!もう蓮華さんってば面白すぎ!あははは!」


 なんて笑ってるアリス姉さんだけど、膝に振動がきてこしょばいです。


「お話は聞いてたけど、病院を建てるって案は良いと思うよー?それに、治安もそこまで悪いわけじゃないんでしょ?まぁ全部の街をって話なら変わってくるけど、とりあえず様子見で少しずつ普及させていくつもりなら、最初にマーガリンが言った方法で良いんじゃない?蓮華さんの信用する人をまずは連れて行くんでしょ?」


 アリス姉さんの言葉に、母さんも頷く。


「そうだね。最初はそれで良いと思う。魔界全土に広げるなら、そこからはリン達魔界の支配階級の仕事よ。だから、案自体は良いと思うよレンちゃん」


 そう言って立ち上がり、私の元にまで歩いてきて、頬を撫でてくれる。

 優しい表情で私を見つめるその瞳に、私は顔が真っ赤になってるのを自覚する。


「その、結界とか魔道具は手伝って貰っても良いかな?」

「ふふ、もちろん。認証式の魔道具として作っておいてあげるね。魔界に連れて行く時に、私も一緒に行ってあげるから」

「母さんが!?」

「うん、顔を覚えておきたいからね。ロキも行くでしょ?」

「そうですね、その時は行きましょうか」


 うわ、母さんと兄さんが一緒に行くとか凄いな。

 と思っていたら、膝の上のアリス姉さんが頬を膨らませている。

 どうしたんだろう?


「むー!私も行きたいよぅ!」

「「アリスは無理だから」」

「蓮華さん、二人が苛めるよぅー!!」

「よしよしアリス姉さん、と、とりあえず腰を思いっきり抱きしめるのは止めて頂けるとぉぉぉぉっ……!」

「あっ!ご、ごめんね蓮華さん!?」


 相変わらずの力に、安心するような痛すぎて麻痺しているような、変な感覚に襲われている私だった。

 とりあえず、病院についてはこれで良いかな。

 思いがけず、久しぶりに家族に会えて気分もリフレッシュできた。

 魔界に戻って、レヴィアタンさんの住む首都、レヴィアスへと向かおう。

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