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二人の自分 私と俺の夢世界~最強の女神様の化身になった私と、最高の魔法使いの魔術回路を埋め込まれた俺は、家族に愛されながら異世界生活を謳歌します~  作者: ソラ・ルナ
第四章 魔界編

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19話.ギルドの依頼

「コキュリケ草摘んできたぜ!次の依頼くれっ!」

「こっちはマナリーフ草摘んできた!こっちも次くれ!」

「はいはい!ちょっと待ってくださいね!」

「ぐぁぁっ!また低級ポーションじゃねぇかっ!」

「おま、いくら素材が一杯あるからって、低級量産してんじゃねぇ!!」

「お前だって目の前の瓶全部低級じゃねぇかっ!」


 という声を聴きながら、私もせっせと仕事をしている。

 え?なんの仕事かって?

 ――錬金術の先生です、はい。


 あの後、夜まで宴会が続き、ギルドカードも受け取ってはい次の街、とはいかず。

 まずは冒険者の皆が錬金術の基礎知識を得て貰う為に、『転写』という魔法を掛けて行った。

 私の中にある錬金術の基礎知識を、一時的に覚えて貰う為だ。

 錬金術だけに使える魔法ではないけどね。


 ただ、これは一日で効果が切れる。

 だから、反復して覚えて貰い、『転写』の効果が切れても作れるようになるように、練習して貰う事にした。

 皆魔族というだけあって、錬金術に必要な魔力は十分に持っていた。


 問題なのは素材だ。

 幸い、この街の外にはポーション作成に必要な素材は山ほど生えていた。

 なので、ギルドの依頼として、素材を取ってきてもらう事にしたのだ。

 採集依頼という奴だね。

 難易度は低いけど、取れば取るだけお金になる。

 そしてその素材は、巡り巡って自分の為になるんだから、力も入るってものだろう。


「蓮華先生!中級ポーションが出来ましたっ!」

「どれどれ……うん、良い出来だね。慣れてきたら、そのまま上級ポーションまでいけそうだね」

「本当ですかっ!?」

「うん。後はそうだ、素材を少し変えて、キュアポーションを作るのも良いね。こっちは、毒とか麻痺を治してくれるポーションなんだけど、素材が一部違うだけで、基本の作業である『薬効抽出』『不純物浄化』『成分固定』『昇華』『封入』の流れは一緒だからね」

「頑張りますっ!」


 皆に教えて周ってるうちに、ここでも先生と呼ばれるようになってしまった。

 私より年上の方からそう呼ばれるのは、くすぐったくもあり……未知の物に取り組んで、目を輝かせてる人達を見ると、可愛く思えたりもして。

 ……おじさんとか見て可愛いと思う私は、もしかしてヤバいのでは……!


「蓮華先生。集まってきた素材、こちらに置いて構いませんか?」


 おっと、新しく配属されたギルドの受付嬢の……えっと……そうだ、マチルダさんだ。


「大丈夫です。ありがとうございますマチルダさん」

「ふふ、仕事ですから。それにしても、凄いですね蓮華先生は……こんなに、皆を動かしてしまうんですから」

「あはは……私の力ってわけじゃないですよ。皆が、皆の事を想っているからこそ、だと思います」

「そう、ですね。私、ここに派遣されて良かったです。ここでなら、楽しく働けそうです。実を言うと、アンジェラス様の依頼とはいえ、少し不安だったもので……けれど、そんな不安はすぐに消し飛びました。私、頑張りますね!」


 そう笑顔で言って、受付に戻るマチルダさん。

 うん、私も頑張ろう。


「蓮華お姉ちゃん!依頼達成しました!」

「たくさん取れたよ!」

「レオン君、リタちゃん。お疲れ様、マチルダさんの所に持っていくんだよ?」

「「はいっ!」」


 そうして駆けていく二人を見守る。

 マチルダさんが笑顔で対応してくれている。


「ふぅ、こっちは落ち着いた?」

「ノルン、そう見える?」


 今もポーション作りを皆が頑張っているのを見る。

 不慣れながらも、一生懸命取り組んでいるのが分かる。


「ま、レシピはあるんだから、後は『昇華』の大事さに気付けばなんとかなるでしょ」


 流石にノルンは詳しい。

 そう、錬金術も魔法と同じで、イメージする事が大切なんだ。

 家を建てる事になった時に、設計図が必要なように。

 薬草にはどういう成分が含まれているのか、それが人体にどういう風に作用するのか、しっかりと『想像』して、効能を『昇華』させる。

 『転写』によって知識は与えたけれど、それをイメージ、『想像』する事はまた違う。

 その点で、成分に差が出てしまうんだ。


 こればかりは、言葉で説明してもしょうがない。

 皆の中に基礎はある。

 後は反復して覚えて貰うしかない。

 どういった時に上手く出来たか、どうしていたら、上手くいかなかったか、考えて欲しい。

 幸い、素材はいくらでもある。


 アンジェさんは時を操る事が出来る為、種からでも一気に成長させられるらしいので、狩り尽くしてしまっても問題ない。

 いや問題大ありなんだけど、今回に限り見逃してほしい。

 なんせ、これからこの街を起点に、広げていくつもりだからね。

 皆には私の役をしてもらうつもりだ。

 だから、大事な基盤である皆に教えるのに、手は抜かない。


「ノルン、そっちはどう?」

「レオンにリタの事?問題ないわね。あの歳でって考えるなら、大した物よ。秘めた魔力も高いし、扱い方を教えれば戦力になると思うわ」

「そっか、それは何よりだね。私達と離れてもやっていけるようには、鍛えてあげないと」

「そうね。それじゃ、次は私達もポーション作りに入るから、頼むわよ蓮華先生?」

「勘弁してよノルン……ノルンに教えられる事なんて、ホント何もないんだから……」

「あはは。分かってるってば。私も手伝うわよ」

「助かるよ」


 そうして、ギルドの依頼としてポーション作りの素材を集めて貰い、作成していった。

 冒険者達は素材集めとポーション作りを交代で行い、その日を終えた。

 翌日は『転写』なしで作成して貰ったが、半数くらいの人は作る事ができたので、まずまずといった所かな。

 作る事ができなかった人には再度『転写』をかけ、作れた人にはそのまま練度を上げて貰う事にした。


 そうして数多く出来た低級ポーションは、各家庭に配る事によって、住民の皆に物凄く喜ばれた。

 元の世界だって、何かあった時の為に救急箱とか置いていた。

 それが出来たんだから、良かったと思う。


 もちろん依頼料も掛かっているし、いくつかは無料でプレゼント、残りは格安でギルドで買えるようにした。

 ポーションを買いに来ると同時に、何か依頼をする事がしやすいようにだ。

 まずは気軽に足を運べるようにする事、それが大事だと思ったから。

 ギルドと街の住民の距離が縮まる事によって、結束力が高まると良いな。


 そうして、今日も今日とてギルドに足を踏み入れる。

 すると、玄関の掲示板に、こんな内容の紙が貼ってあった。


――――――――――――――――――――


何でも討伐依頼


依頼対象:魔物なら何でも


依頼内容:何でも良いのでとにかく倒して、持ってきてください。


――――――――――――――――――――


 なんだこれ。

 不思議に思って、受付嬢のマチルダさんの元へ向かった。


「これは蓮華先生にノルン先生、ようこそおいでくださいました。それにレオンさんにリタさん。おはようございます」

「おはようございますマチルダさん。先生はやめてくださいってば」

「ふふ、善処致しますね蓮華先生」

「……まぁ良いです。それより、表の依頼は?」

「あれですか?実は、一週間後にある祭りでたくさんの食材が必要なんですよ。指定するよりも、適当に倒して頂こうと思いまして」


 ぶっとんでますね魔界のギルドは。

 ギルドマスターがいないから、止める人も居ないわけか。


「あ、それなら。ノルン」

「そういえば、色々あって忘れてたわね。魔物を出す部屋に案内して貰っていいかしら?」

「畏まりました。ミリル、少しの間受付変わってもらって良い?」

「はーい!私が行っても良いよ?」

「嫌よ。蓮華先生やノルン先生とお話できる時間を、譲るものですか」

「ちぇー。良いなぁマチルダさん」

「ではでは、こちらへどうぞです」


 そうにこやかに笑うマチルダさんだったけど、まぁ気にしなくて良いか。

 そして案内された場所で、ノルンがアイテムポーチを開く。

 山積みされる魔物の死体。

 これには流石に、マチルダさんもポカーンと口を開けた。


「あ、あの、これだけの、量を?」

「ああ、少ないわよね。安心して、まだ半分くらいだから」

「はん、ぶんっ!?ブクブク……」

「マチルダさんっ!?」


 マチルダさんが倒れた。

 弱い魔物だったし、そんな凄い事でもないんだけどな……。

 ノルンだって驚いてなかったし、普通だと思うんだけど。


「な、なんですかこの量はー!?」


 続いて来たギルド職員の方々も、次々に同じ事を言う。

 でも、街に来るまでに襲い掛かってきた魔物倒しただけなんだけどなぁ。

 それを説明したら、また驚かれた。

 普通、そんなに魔物は襲い掛かってこないんだとか。


 何か、魔物をおびき寄せるような物を口にしたのでは、と言われたので、船で食べたイカ料理とタコ料理の事を話した。

 すると、それが原因との事だった。

 なんとあの海の魔物は、魔物を引き寄せるフェロモンを含んでおり、食べると数日魔物が近寄りやすい体質になるのだとか。

 あの海賊達のせいかいっ!と心の中で叫んだ。


 まぁなにはともあれ、魔物の数はどうにかなったみたいで、玄関の依頼書はすぐに撤去されたのだった。

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