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二人の自分 私と俺の夢世界~最強の女神様の化身になった私と、最高の魔法使いの魔術回路を埋め込まれた俺は、家族に愛されながら異世界生活を謳歌します~  作者: ソラ・ルナ
第四章 魔界編

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18話.光魔法と錬金術

 ギルドの一室、本来素材を鑑定したりする部屋で、私とノルン、レオン君にリタちゃんだけで集まった。

 他の皆はまだ食事をしている。

 食事と言うか、宴会なので今日一日終わらないんじゃないかな。

 街の人もやってきて、そのまま参加って事になって、人がどんどんと増えているのだ。

 皆、思う所があったんだろうな。


「さて、私達の行動指針を説明するね。まず、私は大精霊と契約をする事が一つの目的なんだ」

「「大精霊様と!?」」


 二人が驚くのも無理はない、と思う。

 私からしたら普通なんだけど、普通の人は大精霊と会う事すら難しいらしいから。

 ……うん、ちょっと前にノルンに言われた普通の定義って言葉が圧し掛かるのはなんでだろう。


「それで、最終的には……うーん、話しちゃって大丈夫?ノルン」

「良いんじゃない。というか、最後まで一緒に行動するかどうか、まだわかんないわよ?」

「あー、うん。だからこそというか……」


 一時的に一緒に行動する人に、ノルンの素性を明かしても良いのかどうかと思ったんだけど。


「この子達を連れてきたのは私だし、それで何か起こっても責任は私が持つわよ?」

「あはは、そうじゃないよノルン。それを言うなら、それを認めた私も同じでしょ。そうじゃなくて……」


 魔王であるリンスレットさんの娘。

 それは、地上で言えば私は特別公爵家の娘と見られるのと同じなんだ。

 ノルンは城にずっと居たから、姿は知られていない。

 アンジェさんのような一部の魔族には知られているみたいだけど、それも限られるだろう。

 でも、リンスレットさんの城に行くのが目的と話すなら、話は別だ。

 それには理由が付随するのだから。


「そういう事か。そうね……レオン、リタ」

「「はいっ!」」

「私にはある秘密があってね。それを話せば、アンタ達に少し制約が生まれるわ。だから、それを受けたくなければ……」

「「聞きたいです!」」


 一片の迷いも無く、そう言う二人。

 これは、私の心配は無用だったかもしれない。


「はぁ、まだ全部言ってないでしょうが。聞かなければ、とりあえず一緒に居るのには何の……」

「「大丈夫ですっ!!」

「……」


 沈黙するノルンに、私は笑ってしまった。

 だってさっきから、ノルンは話を言いきれていない。


「あは、あははっ!ノルン、ごめん。この子達なら、大丈夫そうだね」

「純粋すぎて逆に心配になるわよ。ったく……アンタ達、私達には良いけど、なんでもかんでもすぐ信用するんじゃないわよ?中には、アンタ達を騙そうと親切を装ってくる奴だっているんだから」

「大丈夫です、ノルンお姉ちゃん。僕達、そういう悪意はすぐに分かるんです」

「はい……"(さと)り"って、ご存知ですか?」

「「!!」」


 確か、相手の心を読む事ができる力、だったかな?

 これはスキルでも魔法でも、魔術ですらない。

 ある種族が持つ先天的な力だと教えて貰った。

 一部の神が所持しているらしいけど、同クラスの神には効かないらしい。


「あ、ノルンお姉ちゃんや蓮華お姉ちゃんには効きませんでした。ごめんなさい……」


 効かないという事は、試そうとしたんだろう。

 だから、謝ったのは分かる。


「そっか、でもだったらどうして、信じようと思ったの?」

「ノルンお姉ちゃんは、行動に迷いがありませんでした。僕達の為に、真剣に怒ってくれました。そして蓮華お姉ちゃんは、そんなノルンお姉ちゃんの事を信頼しているのが分かりました。ノルンお姉ちゃんも、です。そんな姿を見て、この方達なら……信じても良いと、思いました」

「ノルンお姉ちゃんも、蓮華お姉ちゃんも……今まで出会ったどんな人よりも、優しくて、傍に居てあったかくなれました。私、信じたいって、思ったんです……!」


 二人の心からの言葉だと分かった。

 ノルンと頷き合い、決める。


「ありがとう。約束するよ。私は、私達は二人の信は裏切らないと。これから、よろしくね」


 そう言って、二人の頭に手をポンポンと触れて、撫でる。

 サラサラとした髪が柔らかく、二人がとても良い笑顔で応えてくれるので、私も嬉しくなった。


「アンタ達は戦乱の時代に生きていたのなら、その勝利者は知ってる?」

「あ、はい。捨てられていた新聞を読みましたから……魔王、リンスレット様、ですよね?」


 私はずっこけそうになった。

 新聞て!魔界に新聞て!


「そうよ。その娘が私」

「「お、王妃様っ!?」」


 二人の言葉を聞いて、更にずっこけそうになった。

 ノルンがなんとも言えない表情をしている。


「なんでよ。皇女、でしょうが」

「「あっ……」」


 二人も言い間違いに気付いたのか、顔を真っ赤にしている。

 可愛いなぁもう。


「で、私達は今、そのリンスレットの城に向かいながら、旅をしてるってわけよ」

「そうだったんですね。なら、蓮華お姉ちゃんはノルンお姉ちゃん……じゃなくて、ノルン様の御付きの方って事ですか?」

「違うわ。あと、様は要らない。普段からそう呼んだら意味ないでしょ。それと、地上の事はアンタ達も知らないだろうから言っておくけど、立場で言うなら蓮華も私と変わらないわよ」

「「☆●∥Д◎¥!?」」


 なんか二人がもう声にならない声を上げていて、笑いを我慢できなくなってきた。


「ぷっくくっ……ま、まぁノルンも言ってるけど、様とか要らないからね?」

「「は、はい……」」


 二人がなんか見るからに恐縮しちゃってるんだけど、どうしようかなぁ。

 なんて考えていたら、ノルンが言った。


「で、制約の話になるんだけど……」

「「分かってます!絶対誰にも言いません!」」


 二人が姿勢を正して、王族にするそれで言った。

 ノルンがそれを見て、溜息をつく。

 まぁ、言いたい事は分かるので、黙っておく。


「人の話は最後まで聞くように、教わらなかったのかしらねぇ?」


 二人の頭に手を置いて、ぐりぐりとするノルン。


「「あうぅぅ……」」


 二人はされるがままである。


「ま、アンタ達にはこの方が良いかしら。それじゃ命令するわね?私達には友達として接する事。王族とか心の片隅に置いとけば良いわ。むしろ忘れて良い。リンスレットの城になんで行くのかの理由が、これを話しておかないと言えないから話したのよ」


 ノルンがあっけらかんと言うので、二人がポカーンとしている。


「私も友達として接して貰えたら嬉しいかな。で、最初に戻るけど、最終的にはリンスレットさんの城に行くのが目的だけど、その間に色々とする事があってね。二人にも、それに付き合ってもらう形になるよ。もちろん、ノルンから聞いたけど、無理強いするつもりはないし、何かやりたい事を見つけたら、いつでも別れて良いからね」

「……っ……僕……あり、がとう、ございます……!」

「……ノルンお姉ちゃん、蓮華お姉ちゃん……その、逆に、ずっと一緒にとかは、迷惑、ですか……?」

「うん?それならそれで、歓迎するよ」

「ま、この旅の間くらいならね。ちゃんと自立はして貰うからね」


 私とノルンの言葉に、二人は笑顔になる。


「「はいっ!!」」


 良い返事に、私も笑顔になっているのが分かる。


「それじゃ、アンジェさんからの依頼の話と……」


 と話を続けようとしたら、部屋の扉をノックする音が聞こえた。


「どうぞ」


 そう言うと、入ってきたのはアンジェさんと若い男性だった。

 両腕に小さな子供を抱えている。

 外傷はないみたいだけど、ぐったりとしていて顔色が悪い。


「お話中、申し訳ありませんレディ。宜しければ、緊急依頼を受けて頂けませんか」

「聞きます」


 即決する。

 問答の時間も勿体ないと判断した。


「感謝を、レディ。実は、この者の子供が、毒を受けましてな。市販の治療薬では効果が無く……かといって、私共では光魔法は使えず……」


 成程、私は光魔法が使える。


「分かりました。少し見せてもらえますか?」

「お、お願いします……!」


 その子を寝かせて貰い、症状を見る。

 今にも心臓に到達しそうな紫色の染色体が見える。

 時間が無い!


「『メディカルホーリー』!」


 この子の全身を、優しい光が包む。

 今にも心臓に届きそうだったモノが、徐々に消えていく。

 そうして全て取り除いた後、全身の肌の(つや)が戻ったのを確認する。


「ふぅ……これで大丈夫だと思います」

「レッグ!もう大丈夫なのか!?」

「パパ……うん、さっきまであった息苦しさも、体の怠さも、感じないよ!ありがとうお姉ちゃん!」

「あぁっ……!ありがとうございますっ!ありがとうございますっ!!」

「どう致しまして。これからは、何かあればギルドに来てくださいね。きっと、解決してくれると思いますから」

「はいっ……!」


 そう言って、二人は出て行った。

 何度も何度も、こちらに頭を下げて。

 その姿を、リタちゃんは見ていた。

 その瞳に、何か熱を感じたのはきっと、気のせいじゃないと思う。

 その証拠に……


「蓮華お姉ちゃん、私もその魔法……使えるようになりたいです……!」


 なんて、言ってきたからね。


「うん、後で教えてあげるね。それとアンジェさん、市販の薬では効かなかったのは何故ですか?」

「それが……実は、この街には、無いのです……」

「なっ!?」

「回復薬であるポーション類を作れる者がおらず。魔族は、光魔法を使えませぬからな……」


 レヴィアタンが統治を放置している影響が、こんな所にもあったのか。


「病院とかも、ないわけか……。うーん、錬金術なら教えれるんだけどなぁ……」

「それは本当でございますか!?」


 ポロッと零した言葉に、アンジェさんがくいついてきた。


「え?は、はい。母さんから習ってますし、作り方のレシピも覚えてますよ……?」

「蓮華嬢!もし宜しければ、それを売っては頂けませぬか!?」

「えぇ!?」

「もちろん秘伝の法なのは承知しております!値段もいくらであっても構いませぬ!」

「い、いや、別にそんなの無料で良いですよ。この街病院とかも無いんですよね?それに、錬金術の簡単なのなら、皆覚えられるはずですから、ギルドの皆にも覚えて貰えば、死亡率を下げれるんじゃないですか?」


 なんて思った事を言ったら、アンジェさんが震えている。

 なんで!?


「おぉ、おぉぉぉ……蓮華嬢は神が使わせた女神……!この爺、感動致しましたぞ!錬金術の法は一子相伝、それを公開するなどと……!しかし、無料はいけませぬ!それを発見する為の努力と知識の結晶には、それ相応の対価を支払うべきなのです!」

「えぇぇぇ……」


 別にそんな大した物じゃないし、良いんだけど……と思っていたら、ノルンにポンッと肩を叩かれた。


「言ったでしょ、常識を覚えろって。魔界は命の価値は低いけど、だからって死んでほしいわけじゃないの。けれど、魔族は基本光魔法は使えないし、他国と交流も無い。だから、知識は停滞しているし死亡率も高いの。そんな中で、アンタは一石を投じたのよ。いわば、魔界での革命よ?」

「嘘ぉっ!?」


 私は心底驚いたと同時に、これから錬金術の普及に忙殺されるとは、この時は思ってもいなかった。

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