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二人の自分 私と俺の夢世界~最強の女神様の化身になった私と、最高の魔法使いの魔術回路を埋め込まれた俺は、家族に愛されながら異世界生活を謳歌します~  作者: ソラ・ルナ
第四章 魔界編

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2話.魔界へ

 学園の卒業資格を貰った私は、魔王リンスレットさんからも招待されていた、魔界へと行く事にした。

 ちなみに、卒業資格を貰ったら、普通は即卒業って事になるんだけど……。


「いつでも好きな時に、来て頂いて構いませんからね蓮華さん、いえ蓮華先生。その時を楽しみに、お待ちしておりますから」


 そう、にこやかに理事長であるシオンさんから言われてしまった。

 元々卒業資格だけ欲しかったから学園に来たわけだけど……友達も増えたからね、時々は顔を出そうと思う。


 私は臨時講師を受け持っていたんだけど、それが生徒の皆や講師の先生方からも嘆願が集まって、臨時ではなく正規の講師になってしまった。

 いつ授業をするかは私の自由なので、それで良いんかいと思いつつ。


 生徒の皆には、母さんから教わった魔法・魔術の扱い方や応用方法、そして各種武器の扱い方も教えてあげた。

 まぁ、武器の扱い方に関しては、アリス姉さんが私と戦いながらの実演という感じだったけど。


 戦術や集団戦での戦い方などは、他の先生が担当してくれる。

 なら、私は個人間での戦力の底上げをしようと思ったのだ。

 そういう背景もあって、皆めきめきと実力を上げていった。



 で、生徒の皆からは蓮華先生って呼ばれるし、講師である他の先生方からもそう呼ばれるので、卒業資格を受け取る前から、もはや生徒として扱われてなかった気がする。

 成り行きとはいえ、どうしてこうなった。

 

 そして今、私とノルンは魔界に向かうべく港に来ている。

 皆そんな私達を見送る為に、わざわざ来てくれた。


 母さんや兄さんとはすでに話を済ませて、ここには来ていない。

 いや見送るってしつこかったけどね。他の皆も来るって言うし、母さんや兄さんが一緒に来たら、皆緊張してしまうからね。


 カレンとアニス、バニラおばあちゃんは王国近衛騎士隊長としての仕事もあるし、手紙を送っておいた。

 バニラおばあちゃんはともかく、あの二人は仕事を放り投げてこちらに来そうだったからね。


 明先輩は、バニラおばあちゃんの元で、次期ロイヤルガードの為の研修を受けに行っている。

 まぁ、それは表向きの理由で、単に娘である春花ちゃんと一緒に居たかったんだろうな。

 だから、ここには居ない。

 バニラおばあちゃんへ送った封筒の中に、二人に当てての手紙も入れているので、また読んでくれるだろう。


 そうそう、王国・ツゥエルヴの第一王女、リリアちゃんとも、割と頻繁に手紙のやり取りをしていた。

 なんせ、自分の状況を事細かに、毎日のように送ってくるんだリリアちゃんは。

 自分の娘のように思えて、とても可愛らしい。


 そんなリリアちゃんは、王女のマナーで四苦八苦しているらしい。

 私が魔界に行く事も伝えていて、こうして手紙でのやり取りが出来なくなるのを悲しんでいたけど、最後は私が元気に帰ってきてくれることを毎日お祈りしますって書いてくれていた。

 リリアちゃんなら、きっと良い王妃様に成ると思う。

 国を守る為に、ヤマタノオロチに立ち向かいに行くほどの子だし、正義感は人一倍だろう。


 ちなみに、アーネストは後任を探すのに必死だったりする。

 というのも、私の魔界行きに当然のようについてこようとして、皆に止められたのだ。


「嫌だっ!俺は蓮華と一緒に魔界へ行くんだぁぁー!!」


 と最後まで抵抗していたけれど……まぁ、最終的に折れていた。


「蓮華、俺も後から絶対に行くからな。今度はお前が先に色々知っておいてくれ」


 その言葉に苦笑したのは言うまでもないよね。


「ああ、了解」

「はぁ、本当は一緒に行きたかったんだけどな……くっそぅ、絶対にさっさと後任見つけてやる!」


 そう言って後ろを振り向くアーネストに、横を一斉に向く皆。

 それを見て、つい私は笑ってしまう。


「あははは!アーネスト、無理やりはダメだからな?優しくするんだぞ?」

「蓮華っ!お前わざとそんな言い回しにしやがったな!?」

「当然!」

「くっ!コノヤロウ……!」


 アーネストが本気で悔しがってるのが面白くて、私は更に笑った。


「もぅ、蓮華さんもアーくんも変わらないんだから。それより、気を付けてね蓮華さん。魔界には、私は行けない。それに、マーガリンの威光も、魔界には届かないから……」


 心配そうに言うアリス姉さん。

 アリス姉さんはアストラルボディなのだが、魔界のマナが合わないらしく、ついてくる事ができないという事だった。

 母さんや兄さんにも協力して貰って、試したけど……アリス姉さんが消滅しかけたらしい。

 私はその時学園に居たので、その話を聞いた時は冷や汗をかいたよ。


「レンゲ、私も本当はついて行きたいのだけれど……本当にダメ?」


 そうセルシウスがしおらしく聞いてくる。

 だけど、私は知ってる。

 大精霊は、普段その環境により、会う事ができない。

 自分に適した場所でしか、存在する事が難しいからだ。


 だから、召喚という形を取る。

 セルシウスはアストラルボディで、他の大精霊とは少し違うのだが、息苦しく感じるはずなのだ。

 しかし、地上の世界樹の近くなら別。

 世界樹の近くは、全大精霊が快適に過ごせる唯一の場所なんだ。


「だーめ、理由は言ったでしょ。皆と一緒に楽しい時間を過ごして。ね?」


 そうセルシウスに微笑みかけると、セルシウスは優しい表情をした。


「もぅ。私はそんな事より、レンゲと居たいのに……しょうがないわね。アーネストと同じで、レンゲは頑固だから」

「失礼だな!俺はそんな事ねぇぞ!?」

「おいアーネスト、それに失礼と言う事はだな、私に対して失礼なんだぞ?」

「蓮華には別に良いじゃん」

「コノヤロウ……!」


 なんてまた言い合いをしてしまう私達に、周りの皆は笑顔だった。


「ったく、アンタ達は放っておいたら延々と話しそうね。ほら、そろそろ行くわよ」

「あ、うん!待たせてごめんよノルン」


 綺麗な緑色の髪、ユグドラシルと同じ色。

 その吸い込まれるようなブラックダイヤモンドの瞳に、私は少し見惚れそうになる。

 本当に綺麗な子だ。


 私と同じ、世界樹から創られた存在。

 私は世界樹ユグドラシルから、ノルンは世界樹イグドラシルから、その体を創られた。


 ノルンは私と違って、元々の意思があったんだけどね。

 魔界には、そんなノルンと二人で行く事になっている。


「ま、私も船でって言うのは初めてだし、魔界の案内役じゃないって事は話したわよね?」

「うん、分かってるよ」


 そう、ノルンは魔界で確かに過ごしては居る。

 けれどそれは、魔界の魔王リンスレットさんの居城のみで過ごしてきたんだ。

 移動も、直接『ポータル』を使うから、本来はすぐらしい。

 なので、それ以外の知識は、ほとんど聞いただけとの事。

 まぁ私も似たようなもので、オーブ関連の王国しか知らないからなぁ。


「すまないな、俺もついて行ってやりたいんだが……」

「タカヒロさんまで行ったら、俺は泣くからな!」


 とまぁ、タカヒロさんはアーネストに引き留められていた。


「はは、大事な後輩を見捨てるのも後味が悪いしな。アーネストが行けるようになったら、俺も一緒に行かせてもらうさ」


 そう微笑んでくれるタカヒロさんに、私も笑顔で返す。

 タカヒロさんが来てくれるなら、凄く心強いからね。

 なんと言っても、あの魔王リンスレットさんの腹心の一人だし、その実力の高さは折り紙つきだ。

 以前のヤマタノオロチの戦いの時だって、タカヒロさんが居なければ、尋常じゃない被害が出ていただろう。


「ノルン、お前も知らない事だらけだろうけど、蓮華と一緒に勉強してこい」

「分かってるわ。蓮華が居なくても、元々私一人でも魔界を巡るつもりだったもの」

「そうか」


 そう言ってノルンの頭をなでるタカヒロさんの顔は、父親のそれだった。


「もう!子供扱いしないでってばっ!」


 頭を撫でられて嬉しそうにしたかと思えば、すぐにその手を払いのけるノルン。

 うーん、この年頃の子は気難しいからなー。

 なんてニヤニヤして見ていたら、ノルンに横腹をつねられた。


「こちょばいっ!?」

「笑った罰よ!」

「理不尽っ!」

「うっさい!」


 なんて言い合っていたら、アリシアさんが一歩前に出てきた。


「ふふ、私もしばらくは行けませんが、後で必ず行きますから。まぁ私は領地を持っていないので、私の領地で~とか言えないんですけどね」


 なんて、妖艶に笑ってくれる。

 この人はいつも、大人な色気を出しているんだよね。

 その正体は、魔王リンスレットさんのもう一人の腹心で、大罪の悪魔アスモデウスなんだよね。

 魔王リンスレットさんを支える、七皇と呼ばれる存在。

 その内の一人なんだ。


 で、アーネストに惚れている、ここ大事。

 でも、当のアーネストは滅茶苦茶嫌がっているんだけどね……。


「いや、お前は行って良いんだぞアリシア。タカヒロさんが居れば、何とかなると思うし……」

「酷いです会長!私がこんなにも尽くしていると言うのに、何が不満なんですか!?」

「お前のは何か裏がありそうで、純粋に怖いんだよ!!」


 と、まぁ完全に脈無しというか……。

 ノルンもタカヒロさんも、生暖かい視線と言うんだろうか、そんな目で見てるし。


「と、とにかく、行きましょ蓮華。今生の別れじゃないんだから、そんな湿っぽくする必要ないでしょ」

「あはは、だね。それじゃ皆、またね!」

「ああ!行って来い蓮華、ノルン!また後でな!」

「蓮華さん!私、諦めてないからね!これからそっちに行けるように、研究するんだから!」


 アーネストやアリス姉さんの言葉を皮切りに、皆いってらっしゃいと声を掛けてくれる。

 笑顔で見送ってくれる友達が、こんなに居る。

 その事が、とても嬉しかった。


 こうして、私とノルンは船に乗り、魔界へと向かう。

 地上と魔界は船でおよそ一週間の旅。

 もちろん、航海は海賊……じゃなくて、その道のプロの方にお願いしてるよ。

 手配は母さんがしてくれただけに、凄まじく腕の良い人達が集まっているんだろうなぁ。


 魔界は地上より、とてつもなく広いらしい。

 王国は七つだけど、街は点在していて、魔物も地上とは比べ物にならないくらい多いそうだ。

 そして、どの魔物も地上の魔物より大分強いとの事。

 目指すはリンスレットさんの居る魔王城なんだけど、ノルンと一緒に色々と街を周るつもりだよ。

 修練と、旅行を一緒に楽しむつもりだからね。

 ノルンも、初めての旅行にウキウキしている感じがして、微笑ましかった。

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