218.集結!
暴れまわる巨大な九つの頭。
アーネストがネセルを巨大化させ、一つの首を分断する。
しかし、それもすぐに再生されてしまう。
「くそっ、マジかよ!?」
「アーネスト、再生の頭だ!」
「分かってる!けどな蓮華!最後の九つ目の頭は、全部の能力を持ってるんだろ!?」
そういう事か。
アリス姉さんが言っていた、最後の頭の能力は不明だと。
それは、全部の能力を秘めていたからか。
再生の力を持つ頭を倒しても、他の再生の能力を持つ頭が生きていたら、復活させてしまうのか。
「これ、全部一気に倒さないとダメって事か!?」
「そうなるな!」
そんな滅茶苦茶な!
「アーネスト、『オーバーブースト』を皆にかけられるか!?」
八岐大蛇の魔法を避けながら、アーネストに問いかける。
こうなったら、皆で力を合わせるしかない。
「無茶言うな!?俺の回路が焼けきれるわ!」
それもそうか……。
魔法と魔術には対象指定と、範囲に効果を及ぼす範囲指定がある。
『アタックアップ』や『スピードアップ』といった魔法、魔術は対象指定だ。
『オーバーブースト』に至っては、その対象が基本的には自身のみ。
いくらアーネストの回路が凄まじく強固でも、複数同時に使えば回路がパンクを……いや、待てよ?
複数同時、に……同時に使うと、流石のアーネストの回路でも……母さんは、あの時なんて言っていた?
並列、そう……アーネストの回路は、単回路じゃなく、母さん専用の回路、『原初回廊』だ。
数多の回路があるんだ。
「アーネスト!忘れたのか!お前の回路は、母さん譲りだぞ!」
「!!」
「一つの回路に拘るな!一つの回路に一つの魔術か魔法、それで対象をマルチ(複数)にできないか!?」
「そういう事か!オーケー、やってみるぜ蓮華!」
アーネストが目を瞑る。
意識を集中させているのが分かる。
「よし!行けるぞ蓮華!」
「流石だアーネスト!頼む!」
「おおっ!皆、今から全員に強化魔法と強化魔術を重ね掛けする!逆襲すっぞ!!」
「「「おおぉぉぉぉっ!!」」」
「行くぜ!『オーバーブースト』ォォッ!!」
アーネストが普段唱えない言霊を唱える。
魔術だけでなく、魔法も行使しているからだろう。
私も自身の力が湧き上がるのを感じる。
さて、ここからは私の出番だ。
アーネスト、お前の力、更に跳ね上げてやるよ!
「皆!今から更に効果を重ね掛けするよ!体の調子が一気に変わるから、注意して!」
私の言葉に、皆が驚いているのが分かる。
それはそうだろう。
普通、魔法か魔術の効果を受けている上から、更に同じ効果の重ね掛けはできない。
自身のみであれば、同じ回路を使う事により可能であるが、通常はできないのだ。
だけど、ユグドラシルの専用魔法である『エターナル』は別だ。
これは、ユグドラシルいわく必殺技の一つなのだから。
「万物万象、全ての力の源を司る悠久の力よ、その力を引きだせ!『エターナル』!!」
魔法、いや必殺技を発動させる。
瞬間、ヴィクトリアス学園広域に光が降り注ぐ。
「な、なんだ、これ……!?傷が、癒えて……力が、湧き上がる!?」
「凄い……これが、蓮華様の力……!」
「今なら、どんな魔物でも倒せる気がするぞ!」
「いける、いけるぞ……!」
皆の士気が最高潮になる。
ノルンが私の横に飛んできた。
「まったく、アンタはどこまで凄いのよ」
なんて呆れ顔で言ってくる。
その言葉に苦笑しながら、ノルンにソウルを掲げる。
キン
と小気味良い音がする。
ノルンが、剣を合わせてくれた。
「行くわよ蓮華。一気に倒すわ!」
「うん、ノルン!」
先程まで押されていた戦況が、一気にひっくり返る。
生徒達は魔物達を次々と倒していく。
それを見届け、私達は八岐大蛇へ飛ぶ。
「これで、終わらせるっ!!」
「ククッ……調子に乗るなよっ……!」
凄まじい火球を放ってくるが、今の強化された私には止まって見える。
「当たるかっ!」
ソウルで火球を斬り裂き、破壊する。
そのまま八岐大蛇の首へ、一撃を入れる。
先程まで弾かれた攻撃も、今回は通った。
「ぐっ!?この身に届くか……!」
だけど、やはり手が足りない。
このまま私が本体であるこいつを倒したとしても、他の頭が復活させてしまう。
アーネスト、ノルン、それにアリシアさんが同時に倒してくれたとしても、残り5つの頭が残る。
魔物達を殲滅してくれている皆に頭まで担当してもらう事はできない。
どうする……!
そこへ、願ってもない救援が来てくれる。
「遅れてすまない!途中で救援にきてくれた皆のお陰で、早めに全て片付けられた!」
「今から俺達もこちらに加わるよ!」
「私も、頑張ります……!」
「タカヒロさん!明!それに春花ちゃんも無事だったか!」
アーネストが呼びかける。
「蓮華お姉様、後はこちらだけですわ!」
「倒して、しまいましょう……!」
「カレン、アニス……!」
タカヒロさん達とカレンにアニス。
そして……フードを深く被り直し、こちらを見て微笑む彩香ちゃん、もとい奏音ちゃん。
「蓮華さん、八岐大蛇を倒すまで、ですからね?」
そう言う奏音ちゃんに笑顔で頷く。
これなら、いける!
「猪口才な蠅が増えたか……良いだろう、ならばこちらも遊びはここまでだっ!」
ビキビキビキッ……!
八岐大蛇の全身に、亀裂が走る。
それは全ての首を覆い、表面の皮や鱗が零れ落ちた。
金色に光り輝く、その体。
「キング〇ドラかよ……」
「あれ首3つだろ……」
そんな事を言うアーネストに突っ込みをいれる。
脱皮かい……。
しかし、その身から放たれる魔力は、先程までの比じゃない。
これは、強化された今の私達でも互角かもしれない。
「皆、油断はしないで!行くぞぉっ!!」
「「「「おおおおおっ!!」」」」
こうして、八岐大蛇との第二ラウンドが、始まった。




