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二人の自分 私と俺の夢世界~最強の女神様の化身になった私と、最高の魔法使いの魔術回路を埋め込まれた俺は、家族に愛されながら異世界生活を謳歌します~  作者: ソラ・ルナ
第三章 学園編

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217.VS八岐大蛇

 八岐大蛇の最後の頭は、今まで戦った頭とは比較にならない強さだった。

 炎・氷・雷を絶え間なく放ってくる上に、暴風で体の動きを制限され、重力の力で引き寄せられたり、地面に落とされそうになったりする。

 おまけに、召喚の力もあるようで、魔物達がどんどん増える。

 しかも、その魔物達の強さが、先程まで召喚されていた時よりも強くなっているようで、皆が押され始めた。


「アーネスト!皆を頼む!」


「蓮華……分かった、危なそうならすぐ戻る!」


「ああっ!」


 アーネストには皆の指揮を頼んだ。

 徐々に押され始める戦況を、なんとか打破しようと八岐大蛇に攻撃を仕掛けるが、硬い鱗に覆われたその表面に、傷をつけられない。


「くっ……!斬鉄さえ使えれば……!」


 そう小さく零した声を、ノルンが聞こえたみたいで、言ってくれた。


「蓮華、アンタにはアイツを倒す手段があるのね?」


「ノルン……うん、私の使える技の中でも、絶ち斬る事に関しては最強の技があるんだ。でも、この技は溜めが要るし、直線上に味方が居たら、巻き込んでしまう」


「オーケー、ならその時間は私が稼ぐ。アリシアは会長にも話して、戦線を移動させて」


「了解ですよノルン。蓮華さん、この位置からの後方、という事でよろしいですか?」


「うん、頼んで良いかな?」


「ええ、任せてください。こんな事で、以前のお詫びになるとは思っていませんが、力をお貸しします」


 そう言って微笑み、アリシアさんはアーネストの元へ行く。

 会話してる間も、八岐大蛇の攻撃は絶え間なく続いている。

 回避しながら、ノルンは言う。


「蓮華、私が絶対にアンタに攻撃は通さない。だから、安心してぶっ飛ばしなさい!」


「ノルン……うん!任せるよ!」


 八岐大蛇に視線を向けるノルン。

 その手に持つ剣は、タイムの花がモチーフにされている。

 花言葉は「活発」「行動力」そして……「勇気」という、ノルンにピッタリな花だと思う。

 その後姿を見て、私は嬉しくなる。

 あのノルンと、一緒に戦えて……私を信じて、力を貸してくれる。

 期待には、応えないとね!

 私はソウルイーターを鞘に納める。

 それを確認した八岐大蛇が、私を警戒するように声をあげる。


「その技は一度受けたな。撃たせはせぬっ……!」


 私目掛けてブレスを放つ。

 でも、私の前にはノルンがいる。


「させない為に、私が居るのよ。波動を、斬れ!『ルーンセイバー』!!」


 八岐大蛇によって放たれたブレスが、真っ二つに割れる。

 海を裂くって、こういう事を言うんだろう。

 簡単にとんでもない事をやってのけるノルンに感嘆しながら、私はソウルに魔力を込めていく。


「おのれ、イグドラシルの化身が、ユグドラシルの化身を守るか……!!」


 その言葉に、鼻を鳴らすノルン。

 つまらない、そんな態度に感じる。


「フン、馬鹿じゃないの。私はユグドラシルを守ってるつもりはないわよ。ま、結果的にそうだとしてもよ?私が今ここに居るのは、友達の為よ!」


 そんな、普段なら絶対に言ってくれないだろう言葉を、ノルンははっきりと言う。

 嬉しいな、ノルンもそう思っていてくれた。

 気持ちが、力になる。

 湧き上がる想いを、魔力に変えて。

 私の全身を光が包む。


「蓮華ー!皆は下がらせたぞっ!!」


 アーネストの声が聞こえる。

 私の直線上に居るのはノルン、そして八岐大蛇だけとなる。


「蓮華、アンタの力、見せてもらうわよ!」


 そう言って、私の後ろへ『ワープ』する。

 私は八岐大蛇へと視線を向ける。


「八岐大蛇!これが防げるものなら、防いでみろぉっ!!『ユグドラシル流居合術極の型・斬鉄』!!」


 音速を超える光速の衝撃は、八岐大蛇の首を上下に分断する。

 この居合術は、確実に物を『絶つ』奥義だ。

 元々の居合術と、ユグドラシルの剣技の複合技。

 必ず『絶つ』という性質は、ユグドラシルの力によるものだけど。

 音速は約340m/sだけど、光速は約30万km/sとなる。

 これは1秒間に340m進む、1秒間に30万km進む、という事なんだけど、その差なんと約88万倍。

 どれだけのスピードの差があるか、言葉にしたら分かってもらえると思う。

 その速さで放たれる衝撃を、避けるなんて不可能だ。

 上下に分断され地に落ちる瞬間、八岐大蛇が笑った気がした。

 地面に大きな音を立てて崩れ落ちた後、最後の頭が出た時と同様、凄まじい地響きが起こる。


「蓮華さん!気を付けて!次が、最後だよ!全部いっぺんに出てくるよ!!」


「なっ!?」


 その言葉に、生徒達全員衝撃を受ける。

 ウルズが去った後、アリス姉さんは戦いに参加しなくなった。

 恐らく、母さん達と同じように、何かあるんだろう。

 ユグドラシルも言っていた。

 ウルズは神だから、相手を自分がすると。

 そんなアリス姉さんからの警告。


「アーネスト!前線を下げさせてくれ!どこに出るか分からないし、全部出るなら、最悪避難させてくれ!」


 私はそう叫んだ。

 でも、皆は違った。


「蓮華様!俺達も戦わせてください!」


「私達も戦えます!蓮華様達の力に、ならせてくださいっ!!」


 皆、戦い続けて満身創痍だ。

 だと言うのに、目の前に死の可能性があるというのに、そう言ってくれる。

 誰一人、引こうとしない。


「……分かった。でも、危ないと思ったら退く事、それだけは守ってね皆」


「「「はいっ!!」」」


 だから、私の方が折れる事にした。

 皆、まだ目が死んでいない。

 士気も高い。

 あれだけの力を誇る八岐大蛇を見ても、逃げない、立ち向かう。

 私はここの生徒達が、国の未来を担うのなら、きっと大丈夫……そう思えた。

 地響きが続く。

 どこから頭が出現しても良いように、油断なく構える。

 すると、私の足元から、私を囲うように九つの頭が出現する。


「!!」


「「蓮華っ!!」 」


 九つの頭の双眸に睨まれる。

 八岐大蛇が口を開く。


「貴様さえ倒せば、私の勝ちだろう。私の糧となれ、レンゲ=フォン=ユグドラシル!!」


 全方位から迫りくる大きな口。

 私を飲み込むつもりなのだろう。

 避けられる隙間は無い。


 バクゥ!!


「蓮華ぇぇぇー!!」


「蓮華!?」


「「「そんな……!!」」


「ククッ……実に、あっけなかったな。しかし、私の頭を全て倒すとは恐れ入った。敬意を表し、貴様ら一人一人、丁寧に踏み潰してやろう……!」


「何があっけなかったんだ?」


「な、に……!?」


 自信満々に私を飲み込んだと思っている八岐大蛇の後ろから、普通に声を掛ける。

 皆、私が飲み込まれたと思ったのかな?


「「蓮華!!」」


「いや、あんなので飲み込まれるわけないじゃん。『ワープ』使えば後ろに回れるよ、残念だったね?」


 なんて笑って言ったら、皆が歓声を上げた。


「ククッ……やはり、貴様を倒すには、その身を粉々に砕くしかなさそうだな」


 九つの頭の双眸が、私を捕えて言う。

 普段なら、これだけ巨大な化け物に睨まれたなら、気圧されてしまっていただろう。

 だけど、ここには皆が居る。

 それが、私の心を強くする。


「やれるものなら、やってみなよ」


 私はそう言い、ソウルを構える。

 さぁ、これを倒せば終わりだ。

 明日を皆と楽しく迎える為に……倒させてもらうよ、八岐大蛇!



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