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二人の自分 私と俺の夢世界~最強の女神様の化身になった私と、最高の魔法使いの魔術回路を埋め込まれた俺は、家族に愛されながら異世界生活を謳歌します~  作者: ソラ・ルナ
第三章 学園編

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216.避難した者達

-ユグドラシル領・外周-


 広大なユグドラシル領。

 その外周は、緑豊かな草原だった。

 今その草原は、たくさんの人々で溢れかえっている。

 様々な種族が集まり、互いに助け合ってここまで来た。

 今、頭上にはヴィクトリアス学園での戦いが映し出されている。

 今回、避難する元凶となった存在、八岐大蛇。

 その凶悪な姿を見て、気絶する者も居た。

 立体ビジョンのように、今目の前に居るかのように映し出されるその姿。

 その巨大さに、皆一様に言葉を無くした。

 誰かがポツリと零した。


「こんな化け物に、勝てるわけない」


 その言葉は波紋のように広がり、不安が襲う。

 だが、映像は続く。

 その巨大な八岐大蛇に、挑む者達が居た。

 八岐大蛇から放たれるブレスや魔法を防ぎ、回避し、攻撃を当てている。

 何度攻撃を受け、弾き飛ばされようとも向かっていく、その姿を見て。

 誰かが零したその言葉は皆の頭から消える。


「頑張れ……女神様!」


「女神様?」


「うん、お母さん。あの人が、助けてくれたの。確か……」


 少女は、あの時の言葉を思い出す。


"あはは……私は女神じゃないよ?蓮華って言うんだ"


「蓮華!そう言ってた!」


「そう……蓮華様が、助けてくれたのね」


 少女の両親が、映像にまた視線を戻す。


「蓮華様……どうか、ご無事で……」


 自分達の為に、戦ってくれている。

 それを皆、理解していた。

 レンゲ=フォン=ユグドラシル。

 あのマーガリン=フォン=ユグドラシルの娘。

 位の高い、天上人でありながらも、街の人達とも普通に話す。

 蓮華はよく認識阻害の魔法を掛け忘れ、街に出かけてしまう事があった。

 けれど、街の人達はそれを見て見ぬふりをするようになった。

 蓮華の美しさは、とても目を引く。

 だから騒ぎにならないように、"自分達の為に姿を変えている"と街の者達は理解していた。

 どこまでも美しく、それでいて気さくで、まるで太陽のような温かさを感じる少女。

 蓮華は、マーガリンの娘だからではなく、蓮華として好かれていた。

 そんな少女が、大の大人ですら裸足で逃げだすような化け物を相手に、勇敢に立ち向かっている。

 その姿に、姿勢に、勇気をもらったのだ。


「頑張れ、蓮華様……!」


 皆の想いは、一つになっていく。

 仲間達と共に戦う、蓮華達の姿を見て。

 一方、騎士達もまた、ユグドラシル領の外周から一歩離れた場所で、魔物達の侵入を防いでいた。

 魔物達もまた、八岐大蛇から逃げるように大移動していたのだ。

 避難している者達と鉢合わせになる事が何度もあった。

 その度に、騎士達は戦いを余儀なくされた。

 モンスターハンターギルドによってランク付けされた魔物。

 その中でも、ランクAを超える魔物は騎士達と言えど、楽に勝てる相手ではない。

 それも、戦う術を持たない人々を守りながらである。

 どうしても、手が足りない。

 だが、そんな中でも協力してくれる者達が居た。

 そう、冒険者やハンター達だ。

 皆が協力し、守り合いながら、魔物と戦っていた。


「よしっ、ここら辺はこれで魔物いねぇよなアッシ!コレン!」


「うん、探知の魔法でも反応はないよグレク」


「なら、休んでる暇はないわよ!ここが大丈夫でも、苦戦してるとこがあったら、助けに行かないとでしょ!」


 コレンの言葉に頷く二人。

 以前、蓮華が依頼をするという形で、一緒にパーティーを組んだ三人、漆黒の翼である。

 彼らはあの後も必死でクエストをこなし、依頼を完遂し、実力を上げていっていた。

 蓮華から言われたあの言葉。


"オーガストで一番の冒険者になるんだ"


 その言葉を受け、ただひたすらに強くなりたいと思い、鍛錬をしてきた。

 三人は、空を見上げる。

 そこには、巨大な八岐大蛇に、仲間達と共に戦いを挑む、蓮華の姿があった。


「「「蓮華様……」」」


 三人は、それぞれの想いを胸に秘め、その映像を見る。


「……行こうぜアッシ、コレン。蓮華様に、胸張って会えるように。俺達の成長を、見てもらおうぜ!」


「うん、グレク!」


「ええ、そうね!」


 三人は次の戦場へと向かう。

 蓮華を信じ、自分達にできる事を成そうと。




「邪魔よぉっ!!」


 リリアの細い剣が、魔物を斬り捨てる。

 断末魔を上げ、倒れている魔物を一瞥する事もなく、リリアは次の魔物へと向かっていく。

 その後ろでは、徹がリリアのフォローをしている。


「この姫の前に立ち塞がった事、後悔させてあげるっ!」


 次々と魔物を屠っていくリリアに、騎士達は驚きを隠せない。

 王国ツゥエルヴの騎士達は平然としているのが対照的だった。


「なぁ、アンタ王国ツゥエルヴの騎士だよな?なんでそんな平然としてられるんだ……?」


 そう聞くのは、隣国である王国イングストンの騎士だ。


「ああ、うちの姫様は、おてんばなんだよ。言っとくけど、俺達騎士団全員より、姫様のが強いからな」


「!?ど、どうなってるんだよツゥエルヴは……」


 そのあんまりな言葉に、驚きを隠せなかった。


「王国ツゥエルヴにはインペリアルナイトが居ないからな。姫様が姫様でなかったなら、姫様がインペリアルナイトになってただろうな。おっと、姫様が先に行っちまう。俺は追いかけるからこれで失礼するよ」


「……王国イングストンも、とんでもない人が居るんだな……」


 呆然と見ているその騎士に、隊長から声が掛かる。


「おい、何をぼうっとしている?」


「た、隊長!申し訳ありません!すぐに配置に戻ります!」


「はは、気持ちは俺も分かるけどな。でも今は、気を引き締めないとな。なんせ、全国の国王陛下が一堂に会しているんだ。インペリアルナイトやロイヤルガードの方々もいらっしゃる。こんな場で叱られたら、目も当てられんぞ?」


 おどけた態度で言う隊長に、騎士も苦笑する。

 話もそこそこに、騎士達は配置に戻っていった。



「蓮華様に頼まれたのよ!この姫の力に(おのの)きひざまずけぇーー!!」


 リリアの快進撃は続く。

 その後ろで、徹は生暖かい視線をリリアに送っていた。



「……以上です、陛下」


「そうか。あのおてんばは……少しは第一王女としての自覚を持って欲しいのだがな……」


 そう苦笑して言う王国ツゥエルヴの国王に、王妃は笑って言う。


「良いではありませんか。リリアはリリアの好きなようにさせてあげましょう?」


「お前がそうやって甘やかすから……」


 国王夫妻のこのやりとりも、周りの騎士達は見慣れたものだった。


「さて、せっかくの機会だ。他国の国王達とも話がしたいものだが……」


「失礼致します、陛下。書状を預かって参りました」


 そう騎士隊長からの報告を受け、書状に目を通す。

 そこには、今しがた自身が思っていた事を実現する内容が書かれていた。


「ふふ、考える事はみな同じという事か」


 国王は書状に自身の名と承諾の意を書き記した。


「これをフォースの国王の元へ。急ぎ届けよ」


「ハハッ!」


「陛下、どうされたのですか?」


 そう聞いてくる妻に、笑って言う国王。


「なに、皆で会わないかと言われてな。是非にと返したのだ」


「まぁ。私も行ってもよろしいの?」


 その言葉にきょとんとしてしまう国王だったが、もちろんだと微笑み言うのだった。

 普段、中々会う事のできない全国の国王達。

 王覧試合を名目に、会うくらいしかできない。

 国王達は、マーガリンを慕っている。

 その同じ想いから、仲が良かった。

 それ故に、国同士での争いが無かった。

 幸か不幸か、それが戦力の弱さに繋がっていた。

 今回、それらを痛感した国王達は、ある狙いがあった。

 そう、自国の強化である。

 図らずも、蓮華とその仲間達の力を知る事となった国王達は、ある計画を立てる事となる。

 それは、蓮華達に関わってくるのだが、今はまだ知る由もなかった。

 頭上に移される戦い。

 時折、ヴィクトリアス学園の生徒達が、魔物を相手に奮戦している姿も映る。

 名の知れた、アーネスト=フォン=ユグドラシルによる指揮により、生徒達の士気の高さが伺えた。

 自分達は、避難しているだけなのか。

 自分達にも、彼らに何か手助けができないのか。

 その想いを胸に、戦いを見守っていた。


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