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二人の自分 私と俺の夢世界~最強の女神様の化身になった私と、最高の魔法使いの魔術回路を埋め込まれた俺は、家族に愛されながら異世界生活を謳歌します~  作者: ソラ・ルナ
第三章 学園編

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214.VSウルズ①

-アーネスト視点-



 俺達4人掛かりでウルズに攻撃を仕掛けるが、その防御を崩せない。

 信じられない事に、腕輪を外したあのアリスの攻撃すら防いでいる。


「てりゃぁぁぁっ!!」


 アリスが跳躍し、ウルズにハンマーを振るう。

 しかし、それも難なく弾かれた。


「!?」


「アリス!!」


 俺は叫んだが、空中で体制を崩されたアリスは、ウルズの追撃を避けられない。


「沈みなさいアリスティア!『双導気流掌底破』!!」


 ゴスゥゥッ!!


「うぐぅっ……!!」


 凄まじい音を立て腹に一撃を受けたアリスは、後方へ飛ばされる。


「アリスッ!!っのやろうっ!!」


 俺はネセルを構えて空へ跳躍する。

 ノルンとアリシアが、アリスが吹き飛ばされたと同時に、ウルズへ左右から斬りかかるのが見えたからだ。

 ウルズへ向かって突撃する!


「おおおぉぉぉっ!!『鳳凰天空牙』ッ!!」


「万物万象、遮る獄となれ……『インフニティプリズン』」


 ガギィィィィィッ!!


「なっ!?」


 俺の攻撃が、見えない何かに阻まれる。

 透明な、壁か!?


「アリスティア程の攻撃力なら、破壊されたかもしれないけれど……貴方の攻撃力では、届かないわね。貴女達も、邪魔よ。虚無の彼方へ消え去れ!『インフニティシリンダー』!!」


 ウルズの周りに球体が複数現れたかと思ったら、その球体から凄まじい轟音を鳴らしながら波動が放たれる。

 俺とノルンにアリシアはそれを避けられず、直撃した。


「「「うぁぁぁっ!!」」」


 全員、ウルズから離れた位置へ吹き飛ばされる。

 くそっ、つぇぇっ!!

 ネセルを衝立に、なんとか立ち上がる。

 ノルンにアリシアを見ると、二人もなんとか無事のようだ。

 だが、ダメージの深さからか、少しよろめいているのが見て取れる。


「その様子じゃ、もう何発も耐えられはしなさそうね。『インフニティシリンダー』はまだ消えていない。装填が終わり次第、止めを刺してあげる」


 ギュゥゥゥゥン……!


 ウルズの後ろの球体に、光が吸収されていく。

 まずい、あれをまた受けたら、次は立てるか分からねぇっ!

 俺はウルズへと駆ける。

 気付けば、隣にアリスも並んだ。


「行くよアーくんっ!」


「おおっ!アリス!」


 二人でウルズに向かう。


 ゴンッ!!


「っぅっ!?なんだぁ!?」


 見えない壁に遮られ、俺達は前へ進めなくなる。


「これは、『インフニティプリズン』!?」


「正解よアリスティア。彼に使ったの、忘れてないわよね?牢獄に捕らわれた貴方達は、もう動けない。さぁ、装填完了よ。死になさい!」


 球体から光の波動が放たれる。

 俺は咄嗟にアリスの前に出る。


「アーくん!?」


 すまねぇ蓮華、俺はここまでかもしれねぇ。

 だけど、せめてアリスだけは俺が!

 そう思い、両手を前でクロスさせ、防御態勢を取る。

 だけど、光線が俺達の前に届くと思ったその時、優しい光が辺りを包み、光線を掻き消した。


「なっ……!?」


 ウルズが驚いている。

 でも、俺だって驚いたんだ。

 空から舞い降りる、女神のようなその姿に。

 俺の、片割れ。

 一番大切な、俺とこの世界を生きると約束してくれたあいつが、来てくれた。


「アーネスト、お前私を置いてリタイヤとか許さないからな?」


 なんて、笑って言う蓮華に。

 俺は、嬉しくなる気持ちを隠さずに言う。


「ははっ……!お前、遅いんだよ蓮華!!」


「いやだって、他の頭全部任せるとか言ったのお前だろ……!?」


 そういえば、そんな事言った気がする。

 いつも通りの変わらない蓮華に、俺は戦いの最中だと言うのに気が緩んでしまう。


「蓮華さん……!」


「アリス姉さん、遅れてごめんね。それと、ありがとう。皆を、守ってくれて」


「うん……!うん……!」


 ノルンとアリシアも、こちらへ駆け寄ってくるのが見える。

 周りの生徒達も、果ては魔物達まで、まるで時が止まったかのように静止している。

 恐らく、蓮華に見惚れているんだろう。

 その気持ちは良く分かる。

 それくらい、蓮華は綺麗で、かっこ良かった。



-アーネスト視点・了-



「蓮華、他は大丈夫なの?」


 そう聞いてくるノルンに、倒した事を説明する。


「そっか。つまり後は、まだ出ていない頭の一つと、目の前の召喚の頭って事ね」


「だね。八岐大蛇の頭だけなら、皆がこんなに苦戦するのはおかしいと思ってたけど……彼女が原因みたいだね」


 まだ幼い少女に見える、その姿。

 アリス姉さんくらいの背丈だろうか。

 目が充血したかのように赤く、いや真紅に染まっている。


「ゆぐ、ドラシル……?」


「初めまして、かな?私は蓮華。レンゲ=フォン=ユグドラシル」


「そう、貴女がユグドラシルの……。よく、似ているわ。本当に、よく……」


 そう言い、瞳から一筋の涙が零れる。

 この人は、一体……。

 そう思っていたら、ユグドラシルから話しかけられる。


"蓮華、どうやらあの少女は、ウルズに乗っ取られているようですね。本当は全てを蓮華に任せるつもりでしたが……神々が関わっているのならば、仕方ありません。そちらは、私が決着をつけましょう。少し、体をお借りしても構いませんか?"


 なんて。

 私はウルズって人は知らない。

 だけど、ユグドラシルが自分の意思を伝えてくれた。

 それが嬉しかったので、二つ返事で了承する。


"ありがとう、蓮華"


 そう聞こえてから、私は中に入る。

 精神の世界、そこから外を見ている感じ。

 髪は黒髪からエメラルドグリーンへと変わる。

 ユグドラシルが表に出た証明だ。



「「「!?」」」


 アーネストは知ってるけど、他の人は知らないからね。

 皆が一斉に驚いているのが分かる。


「え、え……!?ユー、ちゃん!?」


 アリス姉さんが滅茶苦茶狼狽してる。

 そりゃそうだよね。

 あの母さんだって、泣いちゃったくらいだし。


「アリス、積もるお話は、また後でですね」


「え、いや、ちょっと、ねぇ!?ど、どどどどうなってるのぉー!?」


 そんなアリス姉さんに微笑みを返し、ユグドラシルは目の前の少女に視線を向けた。


「ウルズですよね?」


「そん、な……その、姿は……まさ、か……ユグドラシル、なの?」


「まぁ、本体はあっちですよ?」


 そう言って、世界樹の方を指さすユグドラシルこと私。

 うぅ、なんか慣れないな。


「ユグドラシル……!私、私、約束、守ったんだから……!」


 その瞳から、大粒の涙がいくつも零れる。


「なん、千年、も!ずっと、ずっと!ユグドラシルも、イグドラシルもいない世界で、ずっと……!」


「……ええ、本当にありがとうウルズ。でも、ならどうしてこんな事を?」


「ユグドラシル、言ったでしょ?貴女の生まれ変わりが存在したら、約束は守った事になるって。私はもう、二人の居ない世界なんて耐えられない。だからね、壊すの。もう知られちゃったから、地上と魔界の争いの体を成す必要もないけれど……二人を、復活させる。その為に、この地下世界には滅んでもらうわ」


 そうか……ウルズは、ユグドラシルとイグドラシルを蘇らせる為に、世界樹を壊そうとしていたのか。

 体だけ復活させても、魂は世界樹に在る。

 だから、全てを取り戻す為に……今を破壊しようとしているのか。

 自分の一番大切な物を、取り戻したいから。

 その気持ちは、理解できるなんて言ったら、おこがましいかもしれない。

 だけど、違う。

 それは、相手の気持ちを汲んでいない。


"ええ、そうです蓮華。それを、ウルズに伝えます。そして、蓮華とアーネストのように、しますね?"


 へ?私とアーネストのようにってなんだろう?


「ウルズ……貴女は今が、見えていませんね。ロキから、何か言われませんでしたか?」


「っ!!」


 ウルズは、少し前にロキから言われた言葉を思い出す。

 それは、今ユグドラシルから言われた言葉と同じだった。


「それは……!でも、だって!私には、二人が居たあの頃以外、何も……!」


「ウルズ、あの時と今では、状況が違います。この世界に世界樹を残したまま、私やイグドラシルが生存できる可能性が、あるのですよ」


「なん、ですって……!?」


 その言葉に驚くウルズ。

 いや、ウルズだけじゃない。

 私だって驚いてるし、アーネストやノルン、アリシアさんだって驚いているだろう、見えないけど。

 ユグドラシルは微笑んで言う。


「その可能性を見せてくれたのが、蓮華にアーネスト、そしてノルンの三人です」


 ユグドラシルは二人を見渡す。

 ようやく顔が見れた。

 私が見たくても、ユグドラシルの視点で固定されちゃうので、振り向けないんだよね。

 案の定、アーネストにノルンが驚いた顔をしてた。

 うん、なんかこういう視点で見るとちょっと面白いとか思ったら変かな。

 これ以上はユグドラシルに突っ込まれそうだから自重しよう。

 ウルズはその瞳を見開き言った。


「ユグドラシルとイグドラシルの化身達、が?」


「ええ。今はまだ可能性です。けれど、これまで待てたのでしょう?ならもう少し、見守れませんかウルズ」


 その言葉に、項垂れるウルズ。

 両手を下げ、戦う意思はなくなったように感じる。

 それはつまり、ユグドラシルの言葉を肯定したのだろう。

 だが、ユグドラシルはここで終わらなかった。


「まぁそれはそれとして。ちょっとオイタをしたウルズには、友神として、お仕置きが必要ですよね?ほら、多くの方達に迷惑を今もかけているわけですからね?」


 そう言いながら、ソウルイーターを構えるユグドラシル。


「ちょっ!今良い感じに終わりそうだったよな!?」


 周りの皆の心を代弁したかのように、アーネストが叫ぶ。

 うん、私もまったくの同意見だよ。


「それはそれ、これはこれですよアーネスト」


 そう言って微笑むユグドラシルに、アーネストが唖然としてる。

 うん、気持ちは分かるよアーネスト。


「ユグドラシル……ならこっちからも言わせてもらうけれどね!勝手に数千年も私の前から居なくなって!この寂しさが分かる!?貴女は意識なかったかもしれないけど、こっちはずっと!!あぁもう!今はなんか腹が立ってきたわ!この湧き上がる想い、ぶつけさせて貰うわよユグドラシル!!」


 ウルズが叫び、再度凄まじい魔力に包まれる。

 それを見たユグドラシルは笑った。


「ええ、受けて立ちましょうウルズ。思えば私達は、喧嘩をした事がありませんでしたね。でも、言いたい事を伝え合い、認められない事にだって自分の想いを伝える。それが、友達と言うのでしょう?」


「!!」


「蓮華にアーネスト、それにノルンは、自分達の想いをまっすぐに伝えています。そんな純粋な心は、私達神も見習わなければならない所だと思うのです。だから私は、人が、生物が愛おしい」


「ユグドラシル……」


 二人、微笑む。

 ユグドラシルとウルズ、古の神々の戦いが、始まる。


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― 新着の感想 ―
[一言] 麗しき友情かな、ってやつですね! ボロボロのみんなが神様同士の戦いの余波でやばいことになりそうな気がします。 頑張って耐えてねアーネスト達♪
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