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二人の自分 私と俺の夢世界~最強の女神様の化身になった私と、最高の魔法使いの魔術回路を埋め込まれた俺は、家族に愛されながら異世界生活を謳歌します~  作者: ソラ・ルナ
第三章 学園編

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201.救出、そして

-アーネスト視点-



 これが今の明の実力か。

 学園で初めて明と戦った時、蓮華と比べたら確実に弱かったけど、他の奴らよりは格段に強かった。

 学園の奴らに物足りなさを感じていた俺は、明とよくつるむようになった。

 学園の掃除をするとなったら、明と魔術で学園中の窓を綺麗に透明にして、窓が無いように見えるようにしたり、学園のゴミを魔術でかき集めて、中央でキャンプファイヤーしたり。

 まぁ、色々と大げさにやりすぎていた自覚はある。

 だけど、楽しかったんだ。

 そんな明に、俺は生徒会長を勧められた。

 正直、俺は生徒会長には興味が無かった。

 そもそも、蓮華が入学してきたら、ずっと傍にいようと思っていたからだ。

 あいつ中身はともかく、外見は美人で可愛いからな……どんな野郎がまとわりついてくるか分かったもんじゃねぇ。

 その上あいつは警戒心ってもんがねぇからなぁ……俺が言うなって話だけど。

 ま、それはともかく……俺は蓮華が入学してくるまでに、この学園全てを知るつもりで色々と動いてきた。

 そんな時だった、あいつが俺を友達だと言ってくれたのは。

 あいつはどこか、冷めた目をしていた。

 退屈そうな、そんな感じだ。

 だけど、俺と居る時は、本当に笑っていた気がする。

 そんなあいつの言葉に、俺は嬉しくなった。

 まぁそんなわけで、俺は会長になるのをOKしたわけだ。

 結果的に、俺が会長になる事で、蓮華の力になりやすいんじゃないかとも考えた。

 後でだけどな。

 明に蓮華の話をしたら、興味深そうに聞いてくれたけど、俺の妹なら、俺も見守るよって言ってくれた。

 そんなあいつは、いきなり蓮華に戦いを仕掛けて負けた。

 当たり前だ。

 俺に勝てないのに、蓮華に勝てるわけがない。

 ただまぁ、あの戦いは蓮華に何かを残したようだったから、深くはつっこまなかったが。

 けれど、今の明の力は、あの時蓮華と戦った力とは全く別物だ。

 今の明の力なら、あの時の蓮華では間違いなく負ける。

 そう確信できるくらいに、強い。


 キィィィィンッ!!


「ったく!敵になって強くなるとか、どこのゲームだよ明!味方に戻ったら、弱体化するんじゃないだろうな!?」


「アーネストォ!!」


 ギギギギン!!


 俺の言葉には答えず、名前だけ呼ぶ明。

 母さんと兄貴から聞いた。

 恐らく、体を憑依しているのは『共生』と呼ばれる種族の一人だと。

 生まれた時から、自分ともう一人の自分が存在している。

 もう一人の自分は自意識が薄く、あまり物事を考える事はできないらしいが、その代わり他者に乗り移り、操る事が出来るんだと。

 その際に、できうる限り本物に近づこうと、意識を探っていくらしい。

 本物に近づけば近づく程、同調率……シンクロニティと言うらしいが、それが高まり力を引き出せるんだとか。

 ま、それだけ種が分かってれば簡単で。

 母さんからはそれを解除する魔道具を受け取っている。

 それをすぐ使わないのは、明の体に憑依している存在ともう一人、本体が中に居ると聞いたからだ。

 仮面の呪いの事もあるが……明の中に居る本体、これを明の中から出さなければ、憑依している『共生体』だけを消してしまい、その本体にどんな影響を及ぼすか分からないと聞いた。

 最悪、明の精神と融合していまい、全く別の精神になる可能性があるらしい。

 そんな事になったら、俺は明を救った事にならない。

 だから、機を待っている。

 そう、『共存体』だけでは勝てないと、思わせる為に。


「喰らえ明!『クロス・スラッシュ』!!」


 ズバァァッ!!


「グゥゥッ!!」


 俺の二刀による交差攻撃を、直撃する明。

 手加減はしていない。

 今の明の障壁はかなり分厚い。

 仮面による強化は、明の全ての力を増大させている。

 その代わり、生命力を削っていると聞いた。

 待っていろよ明、すぐにそんなもん解呪して、元のお前に戻してやるからな!


「オノレ……コノカラダデハ、カテナイ……オマエノカラダ、モラウ!!」


 待っていた、その時を!!


「へっ、乗っ取れるもんならやってみな!俺は逃げも隠れもしねぇ!!」


「ソノコトバ、コウカイスルコトニナル!!」


 明の体から、黒い霧のようなものが出てくる。

 多分、いや間違いなく、アレが『共生体』なのだろう。

 その霧が俺を包むように、周りに集まる。


「アーネスト!」


 そう俺の名を呼ぶ声が聞こえる。

 安心しろよ明。

 俺は、大丈夫だからな。



-アーネスト視点・了-


-草薙 明視点-



 アーネストが、アキラちゃんの、いやアキラに包み込まれるのが見えた。

 アーネストは、俺が知ってる強さとは別次元の強さになっていた。

 これだけ強くなっている俺の力を、ものともしない。

 それを感じ取ったアキラは、アーネストの体に憑依しようとした。

 くっ……俺は、見てるだけしかできないのかっ!

 俺を助けにきてくれた親友が、体を奪われるのを、見ている事しか……!

 ……いや、待てよ?

 いつも俺を支配していたアキラが、俺の体から出て行った。

 つまり、今表に出ているのはアキラちゃんって事だよな。

 アキラちゃんは、アーネストにアキラが憑依できたら、乗り移る算段をつけているはず。

 そんな状態なら、俺の力でも取り戻せるんじゃないか?

 やってみる価値は、ある!

 アキラちゃん、俺の体……返してもらうぞ!!


「っ!?ナギ!?」


 俺の意思に気が付いたアキラちゃんが、抵抗してくる。

 だけど、もう遅い。

 一度外に出ようとしたその体を、もう一度俺の中に入れなければ良い。

 長い間俺の中に居て、俺は精神の扱い方を学んだ。

 それは、魂の扱い方とでも言うんだろうか。

 そして、俺はずっと、感じていたんだ。

 レンゲさんが……大精霊シルフ様が、俺を守ってくれていたのを!!


「契約に基づき、我が呼び掛けに応えよ、シルフ!!」


 瞬間、精神の世界だと言うのに、大精霊シルフ様が現れてくれた。


「やっ、アキラくん。レンちゃんからお願いされてるし、助けてあげるからね!まずはアキラくんを取り巻く重い霧、吹き飛ばしてあげる!」


 そう言ったかと思うと、凄まじい風が巻き起こる。


「きゃぅっ!?な、ナギの力じゃない!?こ、れは……!きゃぁぁぁっ!!」


「ぐっ!ふぅ、俺の体、動くっ!!アキラちゃんは……気絶してるだけかな。っと、いまはそれよりも……!」


 アーネストの方を見る。

 しかし、俺の心配は全くの杞憂だった。


「へっ、だから言ったろ。やれるもんならやってみなってな!」


「ソ、ンナ……バカ、ナ……!オマエノ、タマシイ、ハ……ドウナッテ……アアァァァァッ!!」


 黒い霧が、晴れていく。

 消滅、したんだろうか。

 それを見つめていたら、アーネストが笑いながら話しかけてきた。


「よぅ明、敵になって強くなった後に、味方になったら弱くなるとかねぇよな?」


 なんて。

 顔に着けていた仮面が音を立てて割れる。


「はい、その仮面も解呪してあげたよー!そっちの子、気絶してるだけだから、後は任せるからねー!ボク、まだやらなきゃならない事あるからね!」


 そう言って姿を消す大精霊シルフ様に、頭を下げる。

 本当に、大精霊様は凄い。

 それを使役するレンゲさんは、どれだけ凄い存在なんだろうか。

 使役、それも何か違うな。

 レンゲさん風に言うなら、友達、なんだろうな。


「おい明、その子に乗っ取られてたんだろ?どうする?」


「……この子さ、悪い子じゃないと思うんだ。すまないけれど、俺に預からせてくれないか?」


 そう言ったら、やれやれと言った感じで答えてくれた。


「お前な……体乗っ取られてたんだろ?ま、俺はなんも言うつもりはねぇよ。それより……」


 ゴゴゴゴゴゴッ!!


「「!?」」


 アーネストが言葉を言い終える前に、地響きが起こる。


「なんだ!?」


 アーネストの方を向いたら、真剣な表情でスマホを見ていた。


「明、事情が変わった。国の皆をユグドラシル領に避難させるぞ」


「ど、どういう事だい!?」


 それから、アーネストがアリスティアさんから聞いた話を説明してくれた。

 八岐大蛇……!!

 そんな、元の日本でも有名な化け物が、この世界でも居るなんて……!

 アーネストと急ぎ王城へ向かう。

 俺達だけでは、人手が足りない。

 国の騎士達に応援を求める為に、俺達は行動を開始した。



-草薙 明視点・了- 



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