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二人の自分 私と俺の夢世界~最強の女神様の化身になった私と、最高の魔法使いの魔術回路を埋め込まれた俺は、家族に愛されながら異世界生活を謳歌します~  作者: ソラ・ルナ
第三章 学園編

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199.お姫様と従者

 王国・ツゥエルヴの首都、王都・ツゥエルヴ。

 その王城に攻め入っていた"ウロボロス"十傑三強の一人、神雷の刃"徹"。

 彼は今、硬直していた。

 それは、今目の前で、自分の兵である仮面の者達が、なぎ倒されていたから……ではなく。

 いや、当然それにも驚いている。

 何せ、ピンクのドレスに身を包んだ、正真正銘のお姫様。

 あのアリスティアに勝るとも劣らない美少女の存在に、目が釘付けになったのだ。


「この太陽の力を継ぐ、リリア=ツゥエルヴの目が黒いうちは、パパとママに指一本触れさせないんだからっ!」


 そう言い、剣を振り回す美少女。

 その実力は確かで、強化を受けている仮面の兵達が薙ぎ払われていく。


「おのれぇっ!!」


 仮面の兵が飛び掛かる。


「この姫の前に跪きなさい!『インペリアルアッパー』!」


 懐に一瞬で潜りこまれた仮面の兵は、剣を突き上げられ吹き飛ばされる。


「怯むな!相手はガキだぞ!!」


「「おぉっ!!」」


 そう言い、今度は数人掛かり襲い掛かるが……。


「お仕置きが必要ね!『セイクリッドレイジ』!!」


 襲い掛かろうとした仮面の兵達が、ひたすらに切り刻まれる。

 剣を空に投げた後、盾のアッパーで敵を浮かせるリリア。


「「「ぐぁぁっ!?」」」


 投げた剣を空中で掴み、追い討ちを行うリリア。

 その流れるような連撃に、徹は見惚れていた。

 綺麗に地面に着地し、リリアはどや顔で言う。


「まあ、この姫にかかればこんなものね!」


 徹は体に痺れが起こるのを感じた。

 この子こそが、俺の姫だ、と。


「で、そこでさっきから戦いを見てる貴方!」


「お、俺ですか姫!」


「へ?そ、そうよ!」


「なんなりとご命令を、我が姫!」


 その言葉に仮面の兵達が動揺する。

 言われたリリアが一番動揺しているのだが。


「我が姫って……そうか!貴方私の親衛隊になりたいのね!?」


「サー!イエス!サー!ユアハイネス!」


 ビシッと一礼し、リリアに敬礼する徹。

 リリアは笑う。


「よーし、光栄に思いなさい!貴方は私の栄えある親衛隊第一号よ!」


「身に余る光栄!」


「それで、貴方の名前は?」


「ハッ!卑しき私めの名前など、姫が覚える必要など……!」


「良いから答えなさい!」


「ハハッ!徹と申します!」


「とおる?なんか言いにくいわね……これからはトールって呼ぶから!良いわねトール!」


「身に余る光栄でございます姫!」


「よーし!アンタの事気に入ったわ!私に続きなさい、こいつら殲滅するわよ!」


「ハハッ!!」


 そう言い、リリア=ツゥエルヴの横に並び、構えを取る徹を見て、仮面の兵達に戦慄が走った。


「「「!?」」」


 この時、仮面の兵達の想いは一つだった。

 アンタこっちの大将だろう!?と。


「我が姫、リリア様の為……貴様ら全て、駆逐してやろう!」


 それを見ていた国王夫妻は思った。

 味方をしてくれるのならば、良いかと。

 この異世界に来て、ずっと願っていた存在。

 その存在に出会えた徹は、今日この時……初めて異世界に転生した事を喜んだ。

 この人の為に、俺はこれからを生きる!そう決めた徹は、"ウロボロス"十傑の刃を抜ける道を選んだのだ。

 

「よーしトール!この姫に続きなさい!」


「はいっ!我が姫!」


 太陽の力を操るリリア=ツゥエルヴと、雷を操る徹。

 二人の力は凄まじく、大将を敵に回した仮面の兵達に勝ち目はなく、敗走していくのだった。


「あれ?ちょっと待ちなさいトール!」


「ハッ!」


 リリアの影を踏まない位置に立つ徹。

 従者の心得を元の世界で無駄に勉強していたのが、ここにきて役立っていた。


「あれって、大精霊様よね!?」


 そう聞き、その視線を追う。

 そこには、仮面の兵をなぎ倒す者が居た。

 あの魔力量、そして風貌から、只者ではないと判断する。

 なんせ、小さな太陽に乗っている。


「俺には、いえ私には分かりかねますが……姫はどうされたいのですか?」


「もちろん会いに行くのよ!」


「ハ!どこまでも御供させてください、我が姫!」


「よく言ったわ!行くわよトール!」


「ハハッ!」


 二人は、その存在の前まで駆ける。

 近づいてくる二人に気付いたのか、声を掛けてきた。


「あらー、貴方達、大丈夫?」


「はいっ!その、失礼ですけど、貴女様はもしかして大精霊様では!?」


 そう瞳を輝かせて言うリリアの姿に、自分まで嬉しい気持ちになる徹。


「そうよー。あら?貴女……遠い昔に、わらわが加護を授けた家系の人間ねー?わらわの力を感じるものー」


「やっぱり!アマテラス様!私、リリア=ツゥエルヴって言います!」


「そう、リリアちゃんね。わらわはアマテラス。蓮華ちゃんにお願いされて、助けに来たよー。その様子なら、助けは要らなかったかなー?」


「と、とんでもないです!アマテラス様とご一緒できるなんて、今日はなんて素敵な日なのかしら!私の親衛隊第一号も手に入れたし、最高ね!」


「ふふ、リリアちゃんも蓮華ちゃんと同じで、可愛いねー」


 そう言ってリリアを抱きしめるアマテラス。

 その様子を父の顔で見守る徹。

 美女が美少女をハグしている……俺はこの日の為に生きていた……!

 なんて考えている徹であった。


「わぷっ!?アマテラス様、蓮華ちゃんって、あの蓮華様の事ですか!?」


 リリアはその瞳を更に輝かせ、尋ねる。

 王覧試合で見た、凄まじい美少女。

 ヴィクトリアス学園での試合も、遠見の水晶を使い見る事が出来た。

 リリアは、蓮華に憧れて剣の修練を始めたのだ。


「そうだよー。もしかしてリリアちゃん、蓮華ちゃんに会いたかったりするのー?」


 なんて微笑んで言うアマテラスに、間髪入れずに答えるリリア。


「あ、会えるんですか!?」


「ふふ、それじゃこの国をしっかり救ったら、わらわから話を通しておいてあげるよー」


「ほ、本当ですか!?よーし!トール!行くわよ!この街を襲ってるやつら、一人残らず皆殺しよー!」


「ハハッ!!」


 そう言って駆けていく二人を見て、アマテラスは思う。


「あの片方の人、敵じゃなかったかしらー?」


 と。

 だが、少しして思い直す。

 リリアを見つめる表情を。

 あの顔は、大切な人を見る目であったと。

 ならば、大丈夫だろう。

 そう判断したアマテラスは、仮面の兵達の呪いを解いていく。

 

「味方を増やしていかないと、ね。蓮華ちゃんの敵に周った時点で、貴方達は詰んでるのよー」


 そう言い残し、アマテラスもまた、行動を再開する。

 蓮華に頼まれた事を、果たす為に。



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