195.受付嬢の大暴れ
-春花視点-
ドゴオオオオンッ!!
「ガハァッ!!」
「き、貴様は一体……!?」
「悪党に名乗る名前なんてありません!てぇやぁっ!!」
「「ゴハァッ!!」」
よし、これでこの付近の仮面被った人達は皆倒したかな?
バニラ様に頼まれてから、騎士団の方達が見回った後を見回るように、しばらく行動してました。
それだけじゃなく、自主的に怪しげな人が居ないか、早朝や夜に見回りもしてたんです。
今日もまた、同じように見回りを自主的にしようと早朝からマラソンしてたら、なんかいかにもな人達が居たんです。
皆仮面被ってるし、バニラ様から聞いていた特徴に一致したので、一応声を掛けたんです。
そしたらいきなり攻撃を仕掛けてきたので、ビンゴと思いまして。
とりあえずぶっ飛ばして、おしまいです。
スマホでバニラ様に連絡を入れて、回収をお願いしておきました。
「よっし、見回り再開ですっ!」
気合を入れるように声に出して、駆けだしました。
すると、さっきの仮面をつけた人達が、集団で魔法を放って、街を破壊しているのが見えたのです!
「とりゃぁぁー!!」
「おい、前!」
「前?何!?ガハッ!!」
ドゴオオオオンッ!!
あ、勢い余って人様の家の壁にめり込ませてしまいました……。
うん、後でバニラ様に治してもらわなくちゃ……お給料から天引きとかないですよね、ひーん。
ただ働きになっちゃいますぅ……!買いたい物たくさんあるのにぃ。
「貴様、何者だ!!」
そんな事を考えていたら、仮面を被った人達に聞かれちゃいました。
何者だって、貴方達にこそ聞きたいんですけど。
蓮華様やアーネスト様の真似?そんなわけないですよね。
……ないですよね?
もしそうなら少しだけ共感を……いやいや。
「悪党に名乗る名前なんてありません!」
先程と同じように答える私。
全員ぶっ飛ばして、大人しくお縄につかせてあげます!!
「たった一人で俺達に楯突くとは、命知らずが……!」
「囲め!!」
ザザッ!!
十人くらいの仮面を被った人達に囲まれちゃいました。
でもですね、関係ないですよ?
私の標的は、貴方ですからー!!
「てえりゃぁぁぁっ!!」
「な、何!?」
ゴスゥ!!
「グフォ……!!」
ドゴオオオオンッ!!
「「「!?」」」
あ、また勢い余って人様の家の壁にめり込ませてしまいました。
ひーん、この人達が悪いんです!
そういう事にしておきます!
「全員お縄につけぇー!!」
そう叫んで、近くにいる仮面の人に飛び掛かる。
ゴスゥ!ガス!ドゴォ!!
「ゲフゥ!」
「な、なんて速ブフゥ!!」
話してたら舌噛みますよ?
「ラストぉ!!」
ガスゥ!!
「ば、かなぁ……!!」
ドサァ!!
「ふぃー、お掃除完了ですね」
パンパンと手を振るう。
「きゃぁぁぁぁっ!!」
!!
叫び声が聞こえた!
あっちだ!
「こ、来ないで……!」
「死ねっ……!!」
今まさに、刃が迫ろうとしていた所に、ギリギリで割り込む!
「させるかぁ!!」
ギィィィィン!!
「な、何ぃ!?」
くぅぁぁぁ……ジンジンするぅ!?
でも、そんな事は後回しぃ!
「とりゃぁぁ!!」
ブンッ!!
「チィッ!!」
後ろに飛ばれ、回避された。
さっきの奴らより、ちょっと強いかも。
「大丈夫!?早く避難してね!」
「は、春花!?」
え?ぎゃぁぁぁぁっ!!よく見てなかったけど、同じ受付で働いている友達、ミュウちゃんだった。
「み、ミュウちゃん!?ど、どうしてこんな所に!?」
「だ、だって、ここ通勤路……」
ぎゃー!そういう事かー!
「そっか、春花……バニラ様に頼まれて、何をしてるのかと思ったら……新型の強化魔道具の実験をしてたんだね!」
あ、なんかいい具合に勘違いしてくれた。
この流れに乗るしかない!サーファーみたいに!
「う、うん!そうなの!でも、一応秘密だから、他の皆には黙っててね!」
「分かったよ!助けてくれてありがとう春花!」
「ううん!ミュウちゃん、今日仕事場行かずに避難した方が良いよ!なんか、変な奴らがいるからね」
こちらの隙を伺っている仮面の人から目を離さずに、ミュウちゃんに言う。
「うん、そうみたいだね……。春花、私邪魔だよね。すぐに逃げるから、気にしないでよ!」
「了解、ミュウちゃん!」
そう言って、仮面の人に駆ける。
それと同時に走り出すミュウちゃんを確認してから、仮面の人に殴りかかる。
「そんな単調な攻撃に、当たるものがぁっ!?」
ドゴオオオオンッ!!
当たってるじゃないの。
しまったぁ!右ストレートでぶっ飛ばすって言ってみたかったぁ!
ミュウちゃんは……うん、無事に逃げれてるみたいだね。
バニラさんに連絡をピポパっと。
よし、これで後で回収してくれるよね。
とりあえず縄でぐーるぐる。
「よし、これでオッケーだね。よーし、次に行くぞー!」
街中を駆ける。
そうすると、一分もしないうちにまた、仮面を被った人達の集団を見つけた。
問答無用でその人達の輪に飛び蹴りをかます。
「とりゃぁー!!」
ゴスゥ!!
「グフゥッ!?」
ドオオオオンッ!!
「「「!?」」」
「フハハハハー!暴走戦車のお通りだぁー!!」
自分で言うのもなんだけど、ノリノリである。
「な、なんだ貴様は!?」
「お前達が蓮華様やアーネスト様の敵なのは分かってるですよー!大人しくお縄につきなさーい!」
「「「!!」」」
そう言って殴りかかったら、仮面を被っていない人に、止められた。
パシィ!
「お嬢ちゃん、中々やるようだな。この"ウロボロス"十傑の一人、魔ゴホォ!!」
ドゴオオオオンッ!!
「「「!?」」」
左手のストレートを防がれたなら、右手のストレートで殴れば良いですよね?
どうでも良いですけど、油断しすぎじゃないです?
「何度でも言いますけど、悪党に話す事なんてありません!大人しくお縄につけぇ!!」
そうして、私はエイランドの街に攻めてきた仮面の人達を、残さず駆逐していく。
なんか途中で間に入ってきた人、なんだったんだろう?
-春花視点・了-
その戦いを陰ながら見ている者が居た。
「うん、心配で見に来たけれど……強くなったねぇ、春花」
そう零すのは、春花をこの世界に召喚した、春花にキルさんと呼ばれている者。
「世界樹が枯れるようなら、手を貸そうと思ったけれど……まだもう少し、様子を見ようか」
その姿が、世界に溶け込み見えなくなる。
その先では、春花が仮面の者達を相手に無双しているのだった。