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167.交戦開始

 各国で行方不明者が相次いでいる。

 もはやヴィクトリアス学園だけでなく、他国でも同じ事件が起き始め、問題になってきている。

 それも、モンスターハンターや冒険者の高ランクの者達が、だ。

 依頼の最中であれば、そういった事が起こる事もあり得るが、いずれも王都に滞在中だったのを、知り合いが証言していると聞いた。

 事が大きくなりはじめた為、ロイヤルガードやインペリアルナイトである三人も、国に戻らなければならなくなった。


「申し訳ありませんわ蓮華お姉様……」


「ううん。カレン、それにアニスも、自分の国で調べられる事を調べてほしい。連絡はバニラお……さんのお陰でできるからね」


「ふふ、そうですわね。この機械は素晴らしいです」


「はい!これで蓮華お姉様とずっと一緒にいるのと変わりません……!」


 この二人にlineとか教えたら、四六時中連絡してきそうで怖いって思っちゃうんだけども。

 幸い、このスマホにはそんな多機能は搭載されていない。

 一昔前のガラケーのような性能だ。

 それでも、すぐに連絡が取れるのはありがたい。


「アタシも陛下に呼ばれているから、戻らなくちゃなのぉ。ごめんねぇレンちゃん、アーネスト君」


「バニラさんもありがとうございました。バニラさんが居なかったら、皆で連絡を取り合う手段もなかったですし、感謝してます」


「あらぁん、そのアイディアだって二人から教えてもらったからこそなんだからぁ、気にしないでぇ。それより、皆気を付けてねぇ……」


 心配そうに言うバニラおばぁちゃんに、笑顔で言う。


「大丈夫、それに連絡は取り合うから、何か分かったら教えてくださいね」


「了解よぉレンちゃん。それじゃ、アタシは先に戻るわねぇ。カレンちゃん、アニスちゃん、そちらも何か分かったら共有しましょうねぇ」


「はい、そう致しましょう」


「はい」


 三人も微笑んでる。

 うん、国は違えど、こうやって協力できるのは良いね。

 そうして、三人は自分の国へ戻って行った。

 タカヒロさんはまだ戻っていないけど、情報が手に入ったら、スマホで伝えれば良いからね。

 それから、学園を皆で見回ったけれど、その日から行方不明の生徒が出る事はなかった。

 けれど、行方不明になった生徒達が戻ってくる事もなく、受け身の態勢である事をもどかしく思っていた。

 そんな時、新たな事件が起きた。


 ピー!ピー!


 スマホのアラームが鳴る。

 内容に目を通す。


"学園正門入口に仮面をつけた集団が武器を携帯し、レンゲ=フォン=ユグドラシルを出せと言っています。今の所暴れてはいませんが、時間の問題かと思われます!至急、増援を願います!"


 狙いは私、か。

 今起こっている事件と関係があるかは分からないけど、何か手掛かりを得られるかもしれない。


「蓮華、お前はここに居ろ。狙いがお前なら、俺達で行く」


 そう言うアーネストにアリス姉さんやセルシウス、それに残っていたクルセイダーズの皆も頷く。

 けれど、私は自分だけ安全な所でのんきにしてるのって、性に合わないんだよね。


「ううん、私も行くよ。狙いが私なら、ここに居たら他の生徒達に迷惑がかかるかもしれない。それに……アーネスト、守ってくれるんだろ?」


 そう笑顔で言ったら、アーネストは呆れたように言う。


「ったく、お前は……そう言われたら、何も言い返せねぇじゃねぇか。しょうがねぇ、皆!蓮華に指一本触れさせるなよ!」


「「「おぉぉっ!!」」」


 皆気合十分だった。

 ノルンとアリシアさんも見回りに行っているから、この連絡を見てもう向かっているかもしれない。

 急がないとね。





「レンゲ=フォン=ユグドラシルを出せ!これ以上言っても聞かぬなら、実力行使に出るぞ!」


「武器を携帯している時点で、許可できるわけがないだろう!それに、何故仮面をつけている!素顔を見せろ!」


 正門付近に着いた時、そう大声で言い合っているのが聞こえた。

 そして、仮面をつけた者達が武器を手に持つのが見える!


「ならば、貴様達を血祭りにあげ、自分から来させてやろう!!」


「「!!」」


 警備員の方へ斬りかかろうとするのが見えた。

 少し離れた所で見守っていたらしいクルセイダーズの生徒達が防ぎに行こうとするが、あれでは間に合わない。

 だけど、この中で最速のアーネストなら。


 ガギィィィン!!


「おっと、させねぇよ。大丈夫か?」


「「アーネスト生徒会長!!」」


「後は俺達がなんとかする、下がってくれ。それと、理事長や先生達に連絡を」


「わ、分かった!」


 そう言って、走って門の傍にある兵舎に入っていく。

 アーネストに剣を防がれた者が、何か呟いた。


「アー、ネス、ト?」


「なんだ、俺の事知ってんのか?」


「……アーネスト……アーネストォ!!」


 ブン!ブン!!

 ギィィィィン!!


「とっ!?問答無用かよ!良いぜ、相手してやるよ!まとめて掛かってきな!!」


 ネセルを構えたアーネストが、後ろに居る者達、ざっと20名程に向けて言う。


「アーくん!独り占めは許さないよー!」


 そう言って、アーネストの横に並び立つアリス姉さん。


「おいおい、蓮華の傍に居てやってくれよアリス!」


「こいつら倒す方が速いもん!」


 なんて軽く言い合っている。


「レン、ゲ?……レンゲ=フォン=ユグドラシル!居たぞ!!」


「「「オオォォォォォッ!!」」」


 そう言うやいなや、私の方に向かってこようとする。

 が、それをアーネストとアリス姉さんが許すはずもない。


 ズバァッ!!


「がはぁっ!?」


「させねぇよ。俺が居るのに、蓮華に近づけると思うなよ?」


「そいやぁっ!」


 ゴスゥ!


「ごはぁっ!!」


 ドゴオオオオン!!


 アーネストに斬られた(多分みねうち)人は、その場に倒れたけど、アリス姉さんのハンマーに横なぎされた人は、吹き飛んでいった。

 うん、殴られなくて良かったね。

 殴られてたら死んでるよ。

 セルシウスは私の隣で彼らを睨んでいる。

 うん、横目で見ても隙がない。

 ホント味方が頼もしい。

 それにしても、ノルンやアリシアさんはどうしたんだろう?

 それに、ヘラクレスも警護してるはずだし、ここで騒ぎになっているのなら、来る気もするんだけど……そう考えていたら、スマホが鳴る。

 二人は戦いで手が離せないだろうから、私が見る事にする。

 そこには、信じられない言葉があった。


"西門で十傑を名乗る奴と交戦中。苦戦してるから、助けに来れるならきて。ノルン"


 あのノルンが、苦戦!?

 そこにまた、新しい伝達が届く。


"東門にて十傑を名乗る者と交戦中、かなりの手練れ、至急救援求む。ヘラクレス"


 嘘!?あのヘラクレスが苦戦!?

 続く伝達に焦る私。

 しっかりしろ、慌てるな。

 まだ皆負けたわけじゃない。

 ここからの采配だ。


「アーネスト、正門は任せて良いか!?」


「おう、任せな!一人も通さねぇよ!」


「頼む!アリス姉さん!あのヘラクレスが苦戦してる!アリス姉さんは東門へすぐに行って!」


「!!了解だよ蓮華さん!アーくん、任せたよ!」


「おう!行ってこい!」


 そうして、アリス姉さんは私の言葉に疑問を挟むことなく向かってくれた。

 ありがたいよね、本当に。


「セルシウスは私と西門に行くよ!他の皆は、アーネストに協力を!」


「「「はいっ!!」」」


「それじゃ、行くよセルシウス!」


 私の言葉に力強く頷いてくれるセルシウスを見てから、西門へ急ぐ。

 無事でいて、ノルン!!



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