164.増える行方不明の生徒達
それから、いなくなった生徒達と一緒に行動していた生徒や、不審な人物の捜査をする為の見回り等、対策を話し合っている間にバニラおばぁちゃんが来たので、会議に入ってもらった。
バニラおばぁちゃんが来た途端空気が変わったのを感じた。
なんていうかこう、滅茶苦茶緊張しているというか。
これは後から聞いた話だけど、美人で綺麗なバニラおばぁちゃんが保健医をしている為、わざとちょっとした怪我をして診察を受けに行く生徒達が多く、それに対してバニラおばぁちゃんがとった手段がえげつなかったとか。
その事をバニラおばぁちゃんに聞いても、微笑まれるだけだったので真相は知らない。
だって、つついて藪から蛇が出ても怖いし。
話がそれてしまったけど、見回りはチームで行い、決して一人で行動しない事を鉄則とした。
セルシウスから受け取ったアーティファクトは一つ1日しか効力を発揮しないとの事だったので、一人3つほど受け取った。
こうして集まるときに、再度補充するんだって。
あまりたくさん持たせて悪用されても困るからって、セルシウスから個人的に聞いた。
悪用って、私には考え付かないけど……頭が良い人って居るもんね。
というわけで、チーム分けをして現在に至る。
ちなみに、バニラおばぁちゃんは本部……じゃなくて、保健室で待機してくれるとの事。
何かあった時に迅速に対応できるように、何名かは待機しておく事にしたのだ。
その際に、バニラおばぁちゃんは保健医なので、その立場も有効利用させてもらって、保健室の隣の部屋を私達クルセイダーズの本部にさせてもらった。
ご丁寧に看板まで作ってたよ、なんでそんな所に力入れるんだよ。
余談だけど、"蓮華お姉様特別チーム"という看板は速攻で下げさせたよ。
ちなみに、チーム分けは部隊長となる人を強い人で占めたかったので、分散させた。
ただ、アリス姉さんとセルシウスだけは、私と絶対に離れないというので、私のチームだけは過剰戦力な気もする。
アーネストやノルン、アリシアさんにタカヒロさんは、各部隊のリーダー、部隊長としてチームをまとめてもらう事にした。
カレンやアニスも部隊長をしてもらおうと思ったんだけど、よく考えたらこの二人は平時も隊長だったから、あえて副隊長をしてもらう事にした。
隊長となった生徒会の人と執行部の人が、滅茶苦茶委縮しちゃってたけど、頑張って慣れてほしい(なげやり)
ちなみに、私はいまだに生徒会の人や執行部の人の名前を憶えていない。
だって、名乗ってくれた人居ないんだよ、信じられる?
私の事はすでに知ってるからか、皆蓮華さんや蓮華お姉様とか呼んでくるのに。
名札くらいあってよ!と言ったら、小学生かよってアーネストに言われたから鳩尾に一撃入れておいた。
まぁなので、私は名前知らない。
良いんだ、仲良い人達は知ってるから……。
話を戻そう。
各チームで役割を分担し、私達3人は見回りをする事になった。
何か分かった事があればスマホを通じてバニラおばぁちゃんから連絡が届く仕組みだ。
各チームからバニラおばぁちゃんに伝達し、バニラおばぁちゃんから各チームに情報が伝達されるというわけだ。
もちろん、チームからチームへの連絡もとれる。
一応全員が連絡手段は持ってるけど、性能の良いスマホが私達隊長の持ってるスマホなので(他の皆は簡易版、先程バニラおばぁちゃんが急拵えで創ってくれたもの)基本的には私達隊長が連絡をとって、チームの皆に伝える事にした。
「そいえば蓮華さん、ヘラクレス達警備の皆にも伝えてるんだよね?」
首を傾げながら聞いてくるアリス姉さんに、答える。
「それならアーネストのチームが伝えに行く事になってるよ。ヘラクレスを皆まだ怖がるからね。というかアリス姉さんも一緒に居たんだから聞いててよ」
「あ、あはは。だって、蓮華さんファンクラブの皆と盛り上がっちゃって……」
と苦笑しながら言うアリス姉さんに、げんなりした視線を向ける。
セルシウスはというと、呆れてると思ったら苦笑してた。
なんか、セルシウスはアリス姉さんに対して対応が柔らかいというか、そんな感じがする。
他の人に対しては、結構シビアな対応してるんだけどね。
ちなみに、現在ヴィクトリアス学園では、5つのファンクラブがあるらしい。
男女問わず会員になってるらしくて、生徒達のほとんどがどれかのファンクラブに所属してるってくらい、規模が大きくなっているみたいだ。
一つは、なんでやねんって思うけど、私。
そしてノルン、アリシアさん、更にはアリス姉さんもあるらしい。
セルシウスは大精霊なので、元々が信仰の対象らしいから、そういうのは生まれなかったらしい。
ちなみに、後1つファンクラブがあるらしいんだけど、聞き取れなかった。
あ、そうそう。
アリス姉さんのファンクラブのスローガンが、YESロリータ!NOタッチ!らしくて吹いてしまったのは秘密だ。
いやホントに。
絶対そのファンクラブ設立した奴転生者だろ。
え?なんでそんなに色々知ってるんだって?
椅子に座って静かにしてたら聞こえてくるんだから仕方ないでしょ!!
いらない知識がまた増えていくのでした。
あれ、話がまたそれてしまった。
「にしても、警護の人達も見抜けなかったって事は、相当な手練れだよね。今はヘラクレスまで居るのに」
「ヘラクレスぐらいの人が全部の門を見張ってるわけじゃないから、方法はいくらでもあると思うよ蓮華さん」
確かにそうか。
そういえば、彩香ちゃんもここの生徒じゃないのに、入り込んでたな。
まぁ、彩香ちゃんがそんな事するわけないし、関係ないか。
そうして三人で見回っているけど、なんにも成果なし。
何度か本部へ戻って情報の共有をして分かった事。
1、居なくなった生徒達は皆、単独行動をしている事。
2、皆試験での結果が好成績であり、実力のある生徒であるという事。
この2点が共通事項だった。
バニラおばぁちゃんから、決して無理をしない事、異変を感じたら、すぐに連絡を入れる事を厳命され、今日は解散となった。
そして翌日。
更に、いなくなった生徒が増えたという報告を聞いた。
一体、どうなってるんだ。