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152.ダンスの練習(3)

 翌日からも、皆で集まって踊りの振り付けを考えながら、練習していった。

 アリシアさんもノルンに指導してたってだけあって、凄く上手だった。

 あの時見ていたのは、実は口出しがしたかったみたいで、色々と直した方が良い所を指摘されて、練習しなおしたり。

 この人踊りのプロだよ!

 そして今は昼の休憩中。

 カレンとアニスの口添えで、食事をこの教室に持ち込んでも良い事になったので、教室で皆で食べてる。

 他の皆には内緒だよ。



「そういえば、衣装とかはどうするの?」


「あー、それも考えなくちゃだな。っても、俺と蓮華は最初に皆の前で踊らなくちゃなんねぇから、そのままで良いかもな」


「もう私は決定事項なんだな、分かってるけどさ……」


 私の言葉に苦笑する皆。


「私裁縫得意だよ!蓮華さんの襟元の世界樹も縫ったの私だからね!」


 なんてアリス姉さんが言ってくる。

 力の加減が出来ない癖に、どうしてそんな所は器用なんだろうか。


「蓮華さん、今失礼な事を考えたよね?」


「ナンノコトカナ」


 思わず片言になってしまった。


「アリスティアさんが縫ってくれるにしても、サイズを確認して、道具を揃えて、型紙を用意する事が必要よね。生地や糸、素材も揃えなくちゃだし……」


 なんか、ノルンが異様に詳しい。

 もしかしてだけど……。


「ねぇノルン、服作りや踊り、実は好きだったりする?」


「!?そそそそそそんな事ないわよ!?」


 うん、その態度で滅茶苦茶分かったんだけど。

 アリシアさんとタカヒロさんが笑ってるし、間違いないな。


「はは、まぁ今回は手作りでは時間が足りないだろうから、魔法で短縮だな。でもその手のスキルのレベル、上げてないんだよな俺……まさか使う機会なんてあると思わなかったからな」


「スキルポイント余ってないのタカヒロ?」


「あー、アリスティアさんと戦った時に、戦闘系に振りまくった。強すぎるんだよアリスティアさんが」


 ああ、あの闘技大会の時か。

 アリス姉さんを食い止めてたもんね。


「むぅー、道理で強いと思ったよ。足止めされちゃったし……」


「ってわけで、俺は無理だ。この中でそういう生活魔法使える奴は居るのか?」


 タカヒロさんが問うけど、皆見回すだけだ。


「あー、これは服が難航しそうだな……」


 でも私は、こんな時に頼りになる人を知ってる。


「大丈夫、当てはあるよ。だから、まず私達の……私とアーネストを除けた皆の衣装のデザインを考えよ?素材は、ノルンが分かるよね?」


「え?ええ。だけど、当てって蓮華……」


「良いから良いから」


 アリシアさんが、なんか成程って呟いてるのが聞こえた。

 もしかしてアリシアさんは気付いたかな?


「ノルン、多分蓮華さんに任せておけば大丈夫ですよ。私達は、衣装のデザインを考えましょう。蓮華さんと会長は、最初に踊る時に着る衣装と、その上から羽織れる衣装を作れば良いんじゃないですか?」


「おお、それなら一応揃えられるな!」


「だね。ならそうしよっか」


「それじゃ、皆で思い思いに、まずは絵を描いてみよっか!」


 そうして、紙とペンを人数分用意して取り掛かる。

 2時間くらい経ってから、ポツポツと出来上がる人が。


「うっわ、ノルン上手……!」


 それが私の素直な感想だった。


「そ、そう?色んなアイドルとか見てきたからかしらね」


 なんて言うけど、これは凄く上手い。

 もうこれで決定で良い気がする。


「あ、アンタはどんなの描いてるのよ?」


 そう言って、私の落書きを見るノルン。


「……まず服が歩いてるのはなんでよ」


 形容しがたい私の絵に、そう言うノルン。

 うん、私に絵心なんて期待しないでほしい。


「ぶはっ!なんだよその絵は蓮華!」


「そう言うお前はどうなんだアーネスト!」


「俺か?良いぜ見せてやるぜ!最高傑作だ!」


 と言って見せてもらった絵なんだけど。


「会長も蓮華と同レベルじゃないのよ!!」


 なんてノルンに突っ込みを入れられていた。


「嘘だろ!?蓮華より絶対上手いって!!」


「聞き捨てならないなアーネスト!私とそんな変わらないだろ!?」


「いーや!俺の方が確実に恰好良いね!」


「どこがだよ!というか装飾品に剣とか阿呆か!」


「そこが恰好良いんじゃねぇか!」


「そこなのかよ!!」


 なんて言い争っている私達を、ノルンが呆れた目で見ているのが分かる。

 そんな事をやっていると、アリス姉さんが声をあげる。


「できたー!見て見て蓮華さん!アーくん!」


 なんて言うので、失礼かもしれないけど、子供が書いたようなぐちゃぐちゃな絵を想像してほっこりする用意ができてたんだけど。


「うそ、でしょ……」


「う、上手い、上手すぎるだろこれ……!?」


 なんて私とアーネストが言う。


「凄いわね、プロよこれは」


 なんてノルンも言う程だ。


「えへへ、暇な時ずっと絵を描いたりしてたからねー」


 成程、アリス姉さんの生きてきた時間は、人間の数百倍だ。

 もっとかな?そんな時間を、絵を描く事に当てていたのなら……上手くなりもするんだろうね。

 でも、これは凄い……ノルンのも上手だったんだけど、アリス姉さんのは更に上だ……。

 でも、絵の綺麗さや凝り具合はそうだけど、見た目的にはどちらも素敵だと思う。


「なぁ、もうその二つで選んで良いんじゃないか?俺のは見せるのも躊躇うレベルなんだが」


 そう言うタカヒロさんのを覗く。

 でも、普通だ。

 少なくとも、私とアーネストみたいな変な絵じゃない。

 変って言うな!言ったの私か。


「可もなく不可もなくな絵ねぇタカヒロ」


「五月蠅いわ。そういうアリシアは出来てるのかよ?」


「ええ、ご覧なさい」


 うは、アリシアさんのもすっごく上手だ。


「くっ……!」


 タカヒロさんが凄く悔しそうで笑ってしまった。


「よし、俺もできた」


 なんて明先輩が言うので、見ると……。


「ぶはははは!明、これはひでぇ!!」


「なんだと、渾身の出来だぞアーネスト!?」


 うん、なんていうか、私とアーネストのを足して2で割ったような絵と言うか……。


「蓮華に会長、前会長の絵はまず服がどんなのかイメージ出来にくいわね……」


 ノルンの痛烈な一言に、私達は精神にダメージを負って三角形の形で三人座り込む。


「ご、ごめん」


 そんな私達を見て、謝るノルン。


「何をしてるのよ貴方達は」


 そう言うのはセルシウスだ。


「セルシウスもできたの?」


「ええ、一応ね。そんなに見せられるものでもないけれど」


 大精霊がどんな絵を描くのか興味がある私は、すぐに見る。

 そこには、私が居た。


「あの、これ私なんですけど」


「ええ。服って誰に着せるかを想像して創るものでしょう?だから、モデルは蓮華よ」


 その、すっごく上手なのに、モデルが私なので凄く恥ずかしい。


「こちらがアーネストよ」


 そう言って2枚目も見せてくれる。

 うん、どちらも凄く上手く描けてる。

 短時間で、皆よくこんなに上手く描けるな。

 残りはカレンとアニスだけど、まだ二人とも一生懸命描いてる。

 ちょっと横から覗き込んでみた。

 ……ちょ、ナニコレ。

 まさに次元が違った。

 絵が生きてるって、言うんだろうか。

 二人の描いた絵が、今にも動き出しそうな、そんな躍動感のある絵。


「あ、まだ途中ですのに、お恥ずかしいですわ」


「いやいやいや!二人とも上手すぎでしょ!?」


「どれどれ……うおっ!?なんじゃこれ!?どうやったら同じペン使ってこんなに差がでるんだよ!?」


 アーネストも驚いてるけど、同意見だ。

 この二人、多才すぎる。

 これは、ノルンとアリス姉さん、アリシアさんとセルシウス、カレンとアニスの中から選ぶ事になりそうだね。

 皆凄く上手い。

 半数以上が上手いって、恥ずかしいなぁ。

 まぁどんな時もアーネストは一緒だから、良いや。


「お前、今嫌な安心の仕方したな?」


 う、バレてる。

 曖昧に笑っておいた。

 それから、皆で更に衣装をどんなものにするか話して、時間も遅くなってきたので解散する事に。

 さて、私はこの後一仕事だ。

 そう思っていたら、アーネストが来た。


「蓮華、兄貴のとこ行くんだろ?俺も良いか?」


 どうやら、アーネストにはバレてたみたいだ。


「うん、良いよ。ディーネ呼ぶから、ちょっと待ってね」


「お前、まだ『ポータル』使えねぇの?」


「練習する暇がないんだよ……」


 アーネストが苦笑する。


「ま、かく言う俺も使えねぇけどさ」


 アーネストは魔法が使えないので仕方ない。

 ポータル石のあるポータルは使えるんだけどね、アレは石を媒体にした魔術でもあるから。

 ただ、場所移動の原理となってる『ポータル』自体は、純粋な魔法だ。

 ただ、これも適正者は限られていて、使える人は極少数らしいけど。

 それから、ディーネを召喚して家に送ってもらい、母さんと兄さんに再会した。

 二人に凄い歓待を受けたのは、言うまでもないよね……。



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― 新着の感想 ―
[一言] 見に来たら改稿中……だと? まあこれはこれで面白いですけどw いつもの二人が見れて本編を見る前からニマニマしています。
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