表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

151/712

150.参加者探し

 生徒会室に行ったら皆がすでに仕事をしていた。

 まぁ授業受けてる人も居るので、全員というわけじゃないけど。

 中に案内されて会長室に入ったけど、アーネストは居なかった。

 あれ、珍しいな。

 アーネストの、というか会長の机の椅子に座る。

 ここで、あいつは仕事をしてるんだな。

 そんな事を考えていたら、部屋のドアが開く。

 アーネストかな?って思ったら、アリシアさんだった。


「会長、失礼し……あら、蓮華さん?」


「お邪魔してます。アーネストに会いに来たんですけど、居なかったので待とうかなって」


「クス、そうでしたか。蓮華さんなら誰も何も言わないでしょう。何か飲み物をお持ちしましょうか?」


「あ、いえ。お構いなく。アリシアさんもアーネストに?」


「はい。私のチェックの済んだ書類を、最後に会長に確認して貰おうと思いまして。まぁ、居なくても構わないんですよ。机の上に置いておくと、いつの間にか終わらせて、また私の机の上に置いてありますから」


「それ、そのまま返しただけとか……」


「あはは。蓮華さんなら、会長がそんな事をする方じゃないと、私以上にご存知ですよね?」


 そう笑って言うアリシアさんに同意する。

 任された事をちゃんとしない奴じゃないからね。


「あ、そうだ。アーネストもなんだけど、アリシアさんにも話があるんですよ」


「私に、ですか?」


 そうして、ノルンと話した事を伝える。


「またあの子は……はぁ、断っても強制的に参加させられそうですし、仕方ありませんね。それに、会長も参加されるんですよね?」


「私が強制的に参加させます」


 笑顔で言ったら、アリシアさんは苦笑した。


「ふふ、分かりました。では、私も生徒会の仕事を任せれる方へ分配してから、その教室へ向かいますね」


「うん、ありがとうアリシアさん。話してる間も来なかったし、ちょっと人づてに聞きながら探してみるよ」


「ええ。会長の居場所は私にも分からないから、力になれなくてごめんなさいね」


 そう微笑みながら去っていくアリシアさんは、仕事の出来る美人秘書に思える。

 なんでアーネストはこんな美人で優秀で気配りもできて好意すら向けられているのに、気付かないのか。

 漫画とかでよくある鈍感主人公じゃないんだから。

 いやまぁ、気付いてるけど嫌がってるだけなのかもしれないけど。

 さて、考えるのはそれくらいにして、その肝心のアーネストを探さないとな。

 そう思い、生徒会室を後にする。

 道行く皆に話を聞くけど、アーネストの行方は皆知らないみたいだ。

 一人でいるからか、やたらと一緒に授業行きませんかって聞かれるんだけど、なんでアーネスト探してるのか察しろと言いたい。

 で、校舎の外に出たらアリス姉さんとセルシウスに出会った。


「アリス姉さん!セルシウス!」


「蓮華さん!もぅ、探したんだからね!」


「レンゲ、朝に訓練に行ってるのは知ってるけれど、こんなに長い間戻らないと、何かあったのかと心配になるわ」


 そう言われて、そのままノルンとダンスの練習に行った事を思い出す。

 そういえばご飯食べてないや……。


「ごめんごめん。そだ、二人はアーネストどこに行ったかしらない?」


「アーくん?ほっといても蓮華さんの所に来るんじゃない?」


「そうね。来ない間は生徒会室じゃないかしら?」


 あんまりと言えばあんまりな物言いに笑ってしまった。


「あ、あはは。えっと、生徒会室にはさっき行ってきたんだけど、居なかったんだ」


「アーくんが!?」


「アーネストが!?」


 二人の驚きように更に笑ってしまう。

 アーネスト、どんだけ。


「というか蓮華さん、それじゃ一人で行動してたの!?」


「え?うん、そうだけど……」


 そう言ったら、アリス姉さんとセルシウスが顔を見合わせる。

 どうしたんだろう?


「少しは自重しだしたのかな?でも、油断はできないね……」


「ええ、レンゲは可愛いもの。私達で守らないと……」


 何か二人でブツブツ言ってるんだけど、聞こえない。

 何を話してるんだろう……。

 なんとなく疎外感を感じて、寂しく二人を見ていたら、私に気づいたのか慌てる二人。


「あ、あ!そだ蓮華さん!アーくんの居場所、私なら感じられるかも!」


「どういう事?」


「えっとね。オーラの応用なんだけど、人によってオーラの質が違うんだよー。蓮華さんには蓮華さんのオーラの質が、アーくんにはアーくんのオーラの質があって、千差万別で同じオーラの質ってないんだよー」


 おお、ドラゴン〇ールのこの気は!?ってやつかな。


「蓮華さん、今変な事考えなかった?」


「か、考えてないよ!?」


 ノルンといいアリス姉さんといい、なんでこんなにスルドイの。


「これの優れてる所は、その人が別にオーラを使っていなくても、自分が波長を覚えておけば、自分のオーラを張り巡らせてみたら分かる事なんだよー」


「それは凄いね!それって、私にもできるの?」


「今はまだ蓮華さんでも無理かもしれないけど、扱い方になれてきたら、蓮華さんならきっとできるようになるよ!」


 そっか、練習あるのみだね。


「それじゃ、ちょっと探してみるね。んっ……!」


 瞬間、アリス姉さんのオーラが学園全体を包んだかのように思えた。

 オーラを知る前の私じゃ、これに気づけなかったと思う。

 今なら、分かる。


「アーくんは……校門かな。あれ、ヘラクレスと一緒にいるみたいだよ蓮華さん」


「ヘラクレスと?……まさか!」


「多分、オーラの練習してるんじゃないかしら?」


 セルシウスの予想に、同意する。


「アーネストー!抜け駆けは許さないからなー!!」


 そう言って猛スピードで走りだす私。

 後ろからアリス姉さんの声が聞こえる。


「れ、蓮華さん!中央の大通りの校門じゃなくて!西の校門だよー!」


 との言葉に立ち止まる。

 そういう事は先に言ってアリス姉さん……!

 再度駆けだす私に、セルシウスが言う。


「レンゲ、『ワープ』使ったら……?」


 再度立ち止まる。

 ……うん、ですよね。

 幸いこの学園の校門はすでに場所も把握してるし、明確にイメージもできる為、どこにでも『ワープ』可能だ。

 簡易版『ポータル』みたいな感じになってる。

 まぁ、『ワープ』はそこまで長い距離は無理なんだけどね。

 さっきアリス姉さんがオーラを張り巡らせたけど、それと同じくらいの距離しか無理だ。

 アリス姉さんの場合、学園内に限らせていたんだろうから、あの範囲なだけだろうけどね。

 その気になったら、どこまで範囲を広がらせるんだろう。

 そんな事を考えながら、西門に『ワープ』する。

 そこには、アーネストとヘラクレスが格闘戦を繰り広げる姿があった。


「おらぁぁぁっ!!」


 アーネストの嵐のような連撃を、ヘラクレスは全てガードしているが、その手を入れ替えてガードしている。

 つまりは、片腕では潰れてしまう程の威力を、アーネストは出している事になる。


「む?そこまでだアーネスト」


「っと!どうしたんだよヘラクレス?」


「後ろだアーネスト」


「ん?おお!蓮華にアリス、それにセルシウスじゃないか!どうしたんだ?」


 なんて汗を拭いながら話しかけてくるアーネスト。

 これはかなり長い間やってたな。


「抜け駆けとは良い度胸だアーネスト」


「い、いや!なんか我慢出来なくてさ!めっちゃ楽しいんだよこれ!」


 そう笑って言うアーネストに毒気を抜かれてしまった。

 それから、事情を皆に説明する。


「ああ、あれか。もちろん俺は蓮華を指名するつもりだったけどさ。ちぇっ、直前で知らせて慌てさせてやろうと思ってたのに」


 このやろう。

 鳩尾にオーラを纏わせたパンチを放つ。


 どすっ!


「うごっ!?お、おま……自然体の所にそれ、は、鬼、か……!?」


 崩れ落ちるアーネストにアリス姉さんが吹き出す。


「あははっ!アーくん油断大敵だね!あははははっ!!」


 ヘラクレスも苦笑している。


「それでは、俺はこれで警備に戻る。賃金を受け取る以上、仕事はこなさなければな。失礼致します、アリスティア様」


 そう言ってアリス姉さんに一礼してから、ヘラクレスはかけてあった上着を羽織り、校内に戻って行った。


「いちち……それじゃ、俺も一旦生徒会室に戻ってから、その教室に行くわ。また後でな!」


 アーネストも駆けて行った。

 さて、こちらは後カレンとアニスに声を掛けに行くとするかな。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ