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149.ダンスの練習(1)

 朝早くだというのに、シオンさんはすでに理事長室に居てくれたので、事情を説明した。

 快く空いている教室の鍵を貸してもらえたので、使わせてもらえる事に。

 で、ノルンに教えてもらいながら、練習をしている。


「……アンタ、なんでそんなに上手いのよ。振り付けを覚えただけで、リズムとか完璧じゃない」


 褒められた。

 音ゲーしてたからかな?

 太〇の達人とか、アイドルが踊るゲームとか。

 リズム感の必要なゲーム、好きでたくさんしてきたんだよね。

 あと、ダンスダンス〇ボリューションっていう、足元に十字の矢印があって、流れてくる矢印にタイミングよく踏むゲームもゲームセンターで友達とよく遊んだ。

 そのお陰かもしれない。

 振り付けはまぁ、そんなに難しい物でもなかったので、すぐに覚えられた。


「これならもうバッチリね。男女ペアで踊る方は形式ばったダンスだし。後は、適当に好きに踊る方をどうするかよね」


「好きに踊る方?」


「ええ、前半は男女ペア、まぁ男側は女になったりもするけど。そういう流れで踊るのだけど、それが終わったらノリの良い、明るい曲が流れるのよ。その曲では皆思い思いに踊るらしいわ」


 へぇ、好きに踊るのか……それは楽しそうだけど、踊り初心者の私にはどう踊れば良いのかさっぱりだ。


「そうね、アンタ好きな曲はある?」


「え?えーと……私、この世界の歌や曲ってあんまり知らなくて……」


「そっか。なら他の皆集めて、皆で振り付けでも考えて、皆で踊って会場を沸かせるのはどう?」


 うは、それはすっごい楽しそうだ。

 バックレるとか言ってたのに、結構乗り気だよねノルン。


「良いね、それ!講師側も出れるの?」


「基本誰でも参加可能よ。……言いたくないけど、来賓も可なのよ」


「……」


「……」


 私達二人は、遠い目をした。

 顔を合わせ、溜息をつく。

 今、私達の想いは一つだろう。


「言わないままとか……」


「後でそれを知られた時の事、想像してごらんなさい」


 うん、泣きそうな母さんと、四つん這いになって項垂れる兄さんが見えた。


「言うしかないじゃないかー!?」


「ええ、そうよね……」


 リンスレットさんもきっと、とっても悲しい表情をするんだろうな。

 なんせノルンの為に予定を無理やり空けるような方だし。

 そしてその表情をノルンが見て、耐えられると思えない。

 私は気持ちを切り替える。


「なら、会場に見に来てくれた家族の為にも、あっと驚く踊りを見せたいね!」


「そうね、曲もその時に一旦変えるように仕込みもいれましょ」


「うん!それじゃ、参加者候補を考えようノルン」


「そうね、まずは当然私と蓮華。後は会長に、アリスティアさんやセルシウスも踊るかしら?」


「アリス姉さんは聞くまでもないかなぁ。セルシウスは、頼めば嫌がらないと思うけど……」


「なら、セルシウスも入れましょ。彼女、女の私から見てもカッコ良いからね、ビシッと決まると思うわ」


 そっか、セルシウスが綺麗でカッコ良いと思うのは、元男の私だからってわけじゃなかったか、良かった。


「後はアリシアもあれで生徒達の人気が高いのよね。だからアリシアも入れるとして……」


 アリシアさん、勝手に入れられちゃったよ。

 まぁアリス姉さんやセルシウスを勝手に入れてる私が言える事じゃないけど。

 アーネスト?あいつは私が参加する事になるだろう原因だから強制だよ。


「あのでっかい大男は流石にないわよね……?」


 ああ、ヘラクレスの事か。


「うん、彼は基本この学園の警備に回ってくれる話だし、多分催しとかには参加しないと思うよ」


「なら、後はあのインペリアルナイトの二人も勝手に参加しそうだし……」


「カレンとアニスも人気が凄いよね。後はバニラおばぁちゃんは流石に参加しないと思うけど……」


「中身お婆さんなんだったっけ?それは無理強いできないわね。見た目は全然そうは見えないけど」


 そうなんだよね。

 十代って言っても誰も不思議に思わない。

 むしろお婆ちゃんって呼ぶ方が、なんで?って見られるよ。


「それぐらいかな?ミアちゃんやイシスちゃん、ユリィ君も誘いたいけど、多分このメンツだと断られる気がするから」


「そうなの?よく分からないけど、アンタがそう思うんなら、そうしときなさい」


 多分、気後れしちゃうと思うんだよね。

 アーネストとは仲良くなってきてるけど、カレンやアニス、それにセルシウスと話すのが、まだ緊張してるのが分かるから。

 ノルンはあんまり意識していないみたいだけど、私よりも近寄りがたいと思われてるんだよね。

 その、悪い意味じゃなくて、高嶺の花的存在で。

 私と違って、洗練された身のこなしだし、ふとした仕草が凄い魅力的なんだよね。

 話してみれば、こんなにも親しみやすいんだけど。


「どうしたの蓮華?」


 おっと、考え込んでいたら、ノルンに首を傾げられてしまった。

 アリス姉さんとは違った意味での、可愛らしい仕草にドキッとしてしまう。


「な、なんでもないよ!それより、私は皆を呼びに行くから、歌というか曲の方、任せても良い?」


「ええ、任せなさい。良く聞いてる歌や曲を何曲か持ってくるわ。後はその中から皆で聞いて、選びましょ。その中に限定しなくても、他の皆のお勧めがあればそれも聞いてみたいし」


「了解!それじゃ、また後でねノルン!」


「私の方が遅かったら、適当にお菓子でも持ち込んで話してたら良いんじゃない?どうせこの教室、他は誰も来ないんだし」


「あ、あはは……」


 苦笑しつつ、皆を探しに行く事にした。

 さて、まずは生徒会室に行ってみるかな。



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― 新着の感想 ―
[一言]  この話を読んでいて、なにも聞かされなかったときのマーガリンやロキの落ち込みようが直ぐ想像出来てクスッと笑っちゃいました。  ソラ·ルナさんは音ゲー何してます? 自分はmaimaiやバンド…
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