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148.ダンス ☆

 筋肉痛に悩まされた次の日の朝。

 こんな事で大精霊に頼むつもりはさらさらなかったんだけど、ルナマリヤがゆっくり治癒効果を高めてくれた。

 なんでも、この筋肉痛は力をつける必要な過程なんだそうで、治すのは訓練が無駄になるから、自然治癒で効果を高める手段をとってくれるとの事で。

 オーラを学びだした人が誰しも通る道なんだとか。

 ならアーネストもきっと筋肉痛になってるだろうから行ってあげてと言ったら、直接よりかは効力が落ちるけど、魔法を施してきたって。

 そんな事があったお陰か、快適な目覚め。

 支度をして、またそっと外に出る。

 アリス姉さんとセルシウスは、まだ眠っているからね。


「よし、昨日の復習だ。まずはオーラを全身に張り巡らせて、拳と足に集中して纏わせる……!」


 うん、違和感なく行える。

 それに、昨日よりもその量が増えている気がする。

 そこに、またというか背後から気配がする。


「あら蓮華、今度は何を習ってるの?」


 ノルンだ。

 ノルンも早起きだから、今日も会うかなーって思ってたんだ。


「おはようノルン。うん、アリス姉さんからオーラを習い始めてね。今昨日の復習してるんだ」


「ああ、これ?」


 そう言って、全身から透明なオーラを全身に纏わせるノルン。

 え、えぇぇぇぇぇ!?


「ノルン使えるの!?」


「そりゃ使えるわよ。ただ、魔力と絶望的に相性が悪いから、普段使わないけれど。無駄に体力使うしこれ」


 唖然としてしまった。

 この天才めぇ!

 スーパー〇イヤ人かっ!!


「くっそぅ、私も絶対使いこなしてやるぅ!!」


「ぷふっ!アンタも悔しがる事あるのね」


「当たりまえだよ!こちとらアーネストがすぐに私の上行くんだぞぅ!?ずっと悔しいの!!」


「あははは!そうね、あの会長が傍に居るんじゃ、蓮華も大変よね。……でも羨ましくもあるわね、身近に競い合える相手が居るんだもの」


 その言葉に首を傾げる私。


「どうして?ノルンにだって私達が居るじゃないか」


「!!」


 私の言葉に、一瞬驚いた顔をするノルンだったけど、すぐに微笑んで言ってくれた。


「そうね、そうだったわね。私ももちろんアンタ達に負けるつもりはないけど……オーラの点では、私に軍配が上がりそうね?」


「うぐっ……!」


 言葉に詰まる私に、心底面白そうに笑うノルン。


「そういえば蓮華、次の水の暦にダンスパーティーがあるらしいけど、アンタ準備はしてるの?」


「ダンスパーティ?」


「皆で踊る事よ」


「それは知ってるよ!!」


「クス、いつも阿呆な返しをする仕返しよ」


「ぐぬぬ……」


 確かにいつも阿呆な事をノルンに言ってる気がするので何も言い返せない。


「話を戻すわね。学園でもダンスパーティーがあって、その中でも上級生からの指名制度があるらしくてね。間違いなくアンタは呼ばれるわよ」


「な、なんだってー!?」


 嘘でしょ、私踊りなんて盆踊りとソウラン節しか踊れないよ。


「だって指名権持った人が会長も含まれてるのよ?」


 ああ、うん。

 そりゃあいつなら私を指名するな。


「それじゃ、ノルンもだね」


「なんでよ」


「アリシアさんが上級生の、それも副会長じゃないか」


「あ……」


 その顔は想定してなかったな。


「しまった、それを忘れていたわ。って、私は別にバックレるつもりだから良いのよ。アンタはそういうわけにもいかないでしょ。踊れるの?」


「踊りなんて貴族がしてれば良いんだよ」


「アンタ貴族のそれも公爵っていう一番上の貴族じゃないのよ」


「……そうでした」


 空を見上げ、遠い目をする私に苦笑するノルン。


「踊れないなら、教えてあ……」


「お願いしますノルン先生!!」


 ノルンが言いきる前に詰め寄り、手を握ってお願いする。


「ち、近い!近いのよ!」


「あ、ごめん」


「はぁ、アンタってなんでもできるような雰囲気なのに、案外色々と出来ないわよね……」


「むしろ私はなんにもできないと思うんだけどね……」


 私がげんなりしてそう言うと、笑い出すノルン。


「あはははっ!はぁ、本当、アンタは面白いわ。で、踊りだけど幸いアンタも私も時間はあるし、理事長に話してどこか部屋を借りましょ」


「うん、そうしよっか」


 そうして移動を開始する私達。

 道すがら、踊りの話をする。


「ノルンは踊りをタカヒロさんから習ったの?」


「いいえ、タカヒロは女性側の踊り方は知らないって言うからアスモデウス……ここではアリシアだったわね。アリシアから習ったわ」


「あ……そうか、男側と女側で踊り方違うんだっけ……」


「ええ、そうよ。特にアンタは、両方する事になるでしょうね」


「え"」


「そりゃそうでしょ。アンタと踊りたいのが、男だけだと思ってるの?」


 冷汗が止まらない。

 もしかして私は、そんなに踊らないといけないのか。


「えっと、ノルンは男側も踊れるの?」


「ええ、もちろん。一応覚えたわよ、どこで使うか分からないからね」


 ノルンはなんか暗殺者にでもなるつもりなんだろうか。

 私の勝手なイメージだけど、踊りを使う場面って、潜入っていうかなんていうか。


「アンタ今変な事考えなかった?」


「そ、そんな事ないよ?」


 するどい。


「はぁ、まぁ良いけど。それに、アンタとしても男側をしたいんでしょ?」


「うん、それはもちろん」


「なら、練習するしかないわね。アリスティアさんやセルシウスがガードしてくれるだろうけど、全員を防ぐ事は難しいでしょうからね」


 うぅ、踊りなんてする機会なかったんだよね……。

 踊ってみたとか、動画で見た事はあったんだけどなぁ。


「それと、セレモニーの最初に生徒会長と誰かが踊るのが恒例らしいのよ。間違いなくあの会長はアンタを指名するでしょ」


「……気が重い……」


「あはははっ……!」


 ノルンが笑ってくるけど、もはや気にしてられないくらいに憔悴していたのだった。




はるきKさんとソノさんからFAを頂きました。

この場でご紹介させて頂きますね。


挿絵(By みてみん)


ヴィクトリアス学園の冬服をして着たノルンです。

こちらははるきKさんから頂きました。



挿絵(By みてみん)


月の大精霊ルナマリヤです。以前に頂いた大人版ですね。

こちらはソノさんから頂きました。


いつも、ありがとうございます。

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