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147.特訓 ☆

 それから学園に戻って、理事長ことシオンさんの所へ行き、事情を説明。

 講師側の寮の一部屋を貸してくれるとの事で、まとまった。

 午前に迎えに行ったのに、昼になってしまったのだけど、カレンやアニスの時と同じように全校生徒が集められ、紹介が行われた。

 今回はつつがなく終わってホッとしたのも束の間、それが終わってから早速オーラの習得の為に特訓する事に。

 アリス姉さんの実演を交えての説明に、ヘラクレスは地面を転がりまわって哀れだったけど、表情は晴れ晴れとしているんだよね。

 なんでだろうね……。

 で、今は私とアーネストが素手でヘラクレスに殴りかかっている。


「はぁぁぁぁっ!!」


 ドゴドゴドゴドゴ!!


「ダメダメ!全然オーラが纏えてないよ!そんなんじゃ腕が先に参っちゃうよ!」


 アリス姉さんの叱咤が飛ぶ。

 けど、このオーラの扱いというのが、かなり難しい。

 魔力の流れとは違って、まず感じ取る事が難しいからだ。

 アリス姉さんが言うには、魔力が多いほど、感じ取るのが難しいらしい。

 だから、アーネストはというと……。


「おらぁっ!!」


 ガスゥ!!


「っ!!うむ、良い一撃だアーネスト。大分使いこなせてきている」


 すでに結構使えてるみたいで悔しい。


「へへっ!こういう格闘術で戦うの、ちょっと憧れてたんだよな!くぅー!すっげぇ楽しい!!」


「それじゃ、アーくんはヘラクレスとしばらく乱取りしておいてね。私は蓮華さんを見るからね」


「オッケー!そんじゃ、行くぜヘラクレス!」


「ああ、来い!」


 そうして、二人がまた戦い始める。

 まぁヘラクレスは基本防御してるだけだけど。

 このオーラ、防御にも使えるらしいから、攻撃に纏えるようになったら、次は私とアーネストで殴り合いらしい。

 ただ、私が今は足を引っ張ってるので、アーネストはそのまま攻撃の訓練ってわけだね

 なんせヘラクレスにいきなり攻撃させたら、私達が死んじゃう。

 アリス姉さんだとそれ以上だし。


「さ、蓮華さん。もう一度基本からやろっか」


 アリス姉さんが笑顔でそう言う。


「うぅ、足引っ張ってるよね、ごめん……」


「何言ってるんだよー。蓮華さんは魔力がとてつもなく多いんだから、仕方ないよー。むしろ、アーくんは最適性なんだよオーラが。だから、気にする必要なんてないんだからねー?」


 理屈では分かってるんだけど、なんかこう、悔しいというか。


「ふふ、蓮華さんも男の子って事だね。女の子だけど」


 最後の一言要らないですよね。

 うん、分かってるけど。

 そして、座禅を組んで目を瞑る。

 魔力ではなく、オーラを感じ取る。

 お腹の奥底にある温かい小さな光。

 それを、体全体に張り巡らせ、拳に纏わせていく。


「よし……!」


「うん、その調子だよ蓮華さん!それじゃ、私の手にパンチしてみて!」


「行くよアリス姉さんっ!」


 ブン!パシッ


 かるーく防御されてしまう。

 だけど、アリス姉さんは微笑んだ。


「うん、その調子!それじゃ、そのまま両手で私の胸を狙って乱打だよ蓮華さん!大丈夫、全部防ぐからね!」


 まぁ、アリス姉さんに通じるとは元から思っていないので、言われたとおりにする。


「了解!はぁあぁぁぁっ!!」


 ブンブンブンブンブン!!

 パシパシパシパシパシ


 両手でパンチを繰り返すも、言った通り全て掌で防がれる。

 くっそぅ、一撃だけでも入れてやるぅ!!

 ムキになってパンチを繰り返す。


「あはは!それじゃ蓮華さん、ステップアップだよ!次はそのまま蹴りも交えて!」


「!!了解!」


 それから、パンチを繰り出しながら、時折キックも交えてアリス姉さんに攻撃を続ける。


「おぉ……蓮華、やるじゃねぇか……!」


「ああ、流石はアリスティア様の妹様だ」


「はい、そこまで!」


 アリス姉さんのストップに、攻撃を止める。


「はぁっ……はぁっ……!」


「ふふ、魔力じゃない力を使うと、結構体力消耗するでしょ?これが魔力との違いだね」


「この体になって、息切れってあんまりした事なかったから、新鮮だよ。うん、これは楽しいな……」


 アリス姉さんと話していたら、アーネストが近づいてきた。


「蓮華、次は俺とやろうぜ!」


「オーケー、吠えずらかかせてやる」


「なんでだよ!?」


「あはは!やる気があるのは良いけど、少し休憩しよっか。二人ともかなり体力消耗してるからね」


「了解、なんか飲み物買ってくるぜ。蓮華は何が良い?」


「私?あー……それじゃ、シーシーレモンで」


 と言ったら、いつから見ていたのか、カレンとアニスが来た。


「「こんな事もあろうかとぉ!!」」


「い、居たの二人とも」


「はい、蓮華お姉様をお見掛けしてからすぐに参りましたわ。授業は復習するように伝えておりますので、ご心配には及びませんわ」


「です。蓮華お姉様、こちらをどうぞ。アーネスト様も同じで構いませんか?」


「お、おお。さんきゅ」


 アーネストが若干引いてる。

 気持ちは分かる。

 そして、アニスからオレンジジュースを受け取ったアリス姉さんが笑う。


「おいしぃ!動いた後のキンキンに冷えた飲み物は最高だね!アニスちゃん、氷の魔法上手く使えてるみたいだね!」


「はい、お褒めに預かり光栄です」


 なんて照れて言うアニス。

 そっか、この冷たさは氷の魔法を使ってたのか。

 その大本の大精霊をずっと連れまわしててごめんねアニス。

 あ、そういえば、アニスは『精霊憑依』使えるのかな?

 聞こうと思ったんだけど、気付けばかなりの生徒達が遠巻きにこちらを見ている。

 授業は良いんかい……と思ったんだけど、戦いを見る事も見取り稽古になるんだっけ?

 まぁ、殴ったり蹴ったりするのを見て、稽古になるのかは知らない。

 ちなみに、この稽古の前に、スカートの下にスパッツをはかされたので、見えても問題はない。

 太ももまである長い黒いやつ。

 レギンスとも言うんだったかな?

 別にそのままで気にしなくても良いと思うんだけど、アリス姉さんがダメって言うから。

 うん、話が逸れたね。


「それじゃ、次は蓮華さんとアーくんで組手しよっか。そのままじゃ危ないから、私の方で結界を二人に纏わせるよ?で、その結界に3回触れられた方が負けねー」


「つまり、直撃を3回受けた方が負けって事?」


「そういう事!それを10回繰り返して、負けた方はヘラクレスをオーラで持ち上げて寮の前まで行く事!」


「「うそぉ!?」」


 セルシウスがフルフルと笑いを堪えている。

 他人事だと思ってぇ!!


「こ、これは色んな意味で負けられない!」


「それはこっちのセリフだぜ蓮華!容赦しねぇからな!?」


「それじゃ、用意は良いね?はじめー!」


「「おおぉぉぉぉっ!!」」


 こうして、日が暮れるまで私とアーネストは、組手を続けた。

 勝敗の結果?

 私の負けだよ、アーネスト本当に手加減しないんだもんな……。

 オーラが時々切れそうになって、その度にヘラクレスに潰されるかと思ったよ!

 皆にはまた私かって目で見られるし……。

 その日の夜、私はこの世界にきて初めて、筋肉痛に襲われた。

 アリス姉さんが滅茶苦茶笑ってきたよ、酷い。


はるきKさんからFAを頂きました。

この場でご紹介させて頂きますね。


挿絵(By みてみん)


アリスティアに特訓を受けている蓮華ですね。


挿絵(By みてみん)


こちらは差分となります。

ありがとうございます。

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