表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

146/712

145.VSヘラクレス

 つ、強い!

 理性を失ってるからか、単調な攻撃しかしてこないけど、その攻撃の一つ一つがヤバイ攻撃力をしてる。

 街道付近の岩を粉々にし、木々を折るのではなく粉砕してる。

 あんなもん、一発でも受けたら死んじゃうよ!!

 その上、こっちの一撃が……


「このやろうっ!『鳳凰天空牙』!!」


 アーネストの技が炸裂するも、あの鋼の肉体を貫通できない。


「うっそだろ!?」


「グルォオオオオッ!!」


「アーネスト避けろ!!」


「分かってる!!」


 ブオオオオオッ!!


 アーネストを狙い空振りした風圧が、辺りを揺らす。

 とんでもない馬鹿力だ。


「ったく、戸〇呂弟の爆肉鋼体かよ……!」


 また転生や召喚組にしか分からない事をアーネストが言う。

 うん、かくいう私もソレを連想したわけですけどね。

 100%中の100%-!とかやられたら逃げる自信がある。


「グオオオオッ!!」


 ドゴオオオオンッ!!


「とぉっ!?」


 考え事をしていたので反応が遅れたけど、なんとか回避する。

 さて、困ったな。

 彼の攻撃を受けたら多分アウト。

 だけど、こっちの攻撃が、あの肉体の前に通じない。

 こっち、刃なんですけどねぇ……なんで肉体に通らないんですかねぇ!


「チッ……どうする蓮華。俺の攻撃も、蓮華の攻撃もあいつの肉体に通らねぇ。多分、気ってやつだなアレは」


「そんなドラゴン〇ールみたいな……」


「いやそれじゃなくてな!?……ある意味あってるのか?人間誰しもが体に纏ってるってどっかで聞いたしな」


「まぁともかく、その気を滅茶苦茶纏ってるから、こっちの攻撃が通じてないわけか。あれ、体力尽きると思う?」


「いやぁ、多分先に俺達が直撃するんじゃないか」


 うん、そんな気がする。

 スピードは私達の方が速い。

 だけど、攻撃するには近づく必要があるわけで……。

 あ、別に近づかなくても良いのか。


「アーネスト、こっからは魔法で行く」


「!!オーケー、頼む蓮華。俺が奴を引き受けるからよ、頼むぜ。元々奴は俺をってかネセルを狙ってるしな。俺のモンに手出しさせねぇぜ!」


 ……心なしか、ネセルの刀身がビクンと揺れた気がした。

 アーネスト、月のない夜に気をつけろよってリアルで言わせないでくれよ、頼むから。


「それじゃ行くぜ!蓮華、任せたぜ!」


 そう言って、彼に跳躍するアーネスト。

 彼の振るう武器を巧みに避けて、攻撃を加えていく。

 その姿を見て、行動を予測し、魔法を当てる。

 ゲームじゃないんだ、味方に自動で当たらないとかいう事はできない。

 対象を正確に狙わなくちゃいけない。

 魔力を圧縮させ、できるだけ小さく、けれど威力は高く。


「いけ!『フォレストブラスト』!『フレイムバレット』!!」


 最初に木の弾丸の魔法をぶつけ、後に炎の魔法を当てる事により、炎の魔法の威力を倍加させる。

 けど……奴には効果がないみたいだ。


「ウオォォォォオン!!」


 雄たけびを上げて、魔法を掻き消す。

 うっそでしょ……。

 唖然としていたら、彼がこちらへ突撃してきた。

 まずい、これは避けられない!


「蓮華!!」


 アーネストが止めようと攻撃するが、効かない。


「オオオオオォォン!!」


 とてつもないスピードで振り下ろされる巨大な武器。

 それをソウルで受け止める。


 ガギィィィィィン!!


「ぐっ!?」


 足が地面にめり込んだ。

 凄まじく重い一撃に、腕が折れそうになる。

 そのまま受け流そうとしたのだが。


 ゴスゥ!!


「っ……!!」


「蓮華!野郎っ!!お前の相手は俺だっ!!」


「グルォォォォッ!!」


 声にならない声を出して、吹き飛ばされる。

 どうやら、蹴られたようだ。

 アーネストが奮戦してくれている、戻らなければ……。

 そう思った時に、体に痛みが走る。

 これは、折れたかな。


「『ヒーリング』」


 回復魔法をかける。

 一撃蹴られただけで、私の障壁を容易く破ってくる。

 あの武器が直撃したらと思うと、ゾッとしない。

 私の魔法も効かない、アーネストの攻撃も効かない。

 このままじゃ負ける……!


「グルオオオオッ!!」


 ドゴンッ!!


「チィッ……!蓮華、無事か!?」


 立ち上がり、アーネストに並ぶ。


「ああ、なんとか。だけど、困ったな……これ、勝てないぞ」


「お前もそう思うか。ったく、こんな強い奴がまだ居るなんてな。援軍も見込めそうにねぇし、腹ぁくくるしかねぇか」


「ここは、俺の屍を越えていけっていう場面だよなアーネスト?」


「おう、だから逃げてくれよな蓮華」


 そう言って笑うアーネストに、私も笑って言う。


「ばっか。逃げるのはお前だよ。お前の方が私より速いんだ、助け呼びに行ってくれないか?それまで、私が抑えるからさ」


 ソウルを構え、そう言う。


「馬鹿野郎、ネセルが狙われてるんだ、俺が逃げたら追いかけてくるだろ?だから、お前が呼びに行け蓮華」


「いやアーネストが……」


 言い終わる前に、二人で笑う。


「逃げるわけねぇよなぁお前は。ったく、最後まで一緒だぜ蓮華!」


「ああ、アーネスト!それに、負けると決まったわけじゃない!」


 ヘラクレスを睨む私達。

 そこへ、規格外な人が来たよ。


「蓮華さんとアーくんになにしてくれとんじゃー!!」


 ガスゥゥゥ!!


「フグォッ!?」


 ドゴオオオオン!!


 ヘラクレスが、アリス姉さんにぶん殴られて、向こうへ吹っ飛んでいった。


「蓮華さん!アーくん!大丈夫!?」


 なんて、近寄ってきて私達の体にぺたぺたと触れるアリス姉さん。

 まったく、この細腕のどこにあんなパワーがあるんだか。


「ありがとうアリス姉さん、助かったよ」


「ああ、マジでやばかったからさ、助かったぜアリス」


 私達の言葉に、微笑むアリス姉さん。


「それで二人とも、何をしていたの?」


 ゆっくりこちらへ来たセルシウスが訪ねてくる。


「何と言われても……」


「なぁ……」


 二人揃って、吹き飛ばされたヘラクレスを見る。

 すると、ヘラクレスは立ち上がった。

 嘘!?あのアリス姉さんの一撃を受けても無傷なのか!?


「グ、グルゥ……!」


 と思ったら、結構ダメージを受けているっぽい。

 でも、あれで倒れないだけでも凄い。


「とりあえず、アレ殺しちゃって良いの?」


 なんて笑顔で怖い事を言ってくるアリス姉さんに。


「半殺しでお願いします」


 と言うのがやっとな私でした。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] ホント……半殺しでお願いしますね、アリスさん…… あなた殺るって言ったらホントに殺るから…… それにしても魔剣にはまだまだ謎が多いですね。種明かしを楽しみにしながらヘラクレスの無事を祈ります…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ