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142.VSネセル(2)

「行くぜぇネセル!!」


 双剣を構えるアーネスト。

 対するネセルもまた、細長い、刀身の赤い双剣を構える。


「後悔しても遅いわよ人間。アタシの力、さっきまでと同じと思わない事よ」


「へっ、上等!」


 アーネストがネセルに駆ける。

 ネセルは構えたまま動かない。


「舞え、双刃『二刀烈風剣』」


 ネセルが右手の長剣を薙いだと思ったら、真空の刃が周りに発生する。

 それをアーネストは避けるが、そこにネセルが跳躍する。


「連技『鳳凰天舞』」


「うぉぉっ!?」


 ドズン!!


「アーネストッ!?」


 空に避けたアーネストにネセルが追いつき、そこから地上に急降下した。

 その際に、炎を纏わせたように見える。

 そのままアーネストを切り裂き地上に着地する。


「いっちぃ……!やるじゃねぇかネセル!!」


 アーネストが無事そうで安堵する。


「へぇ、『鳳凰天舞』を受けても障壁を削り切れないのね。半端じゃない耐久力をしているのねアーネスト」


 対するネセルは、アーネストを見て笑う。

 恐らく、アーネストの実力を認めたのだろう。


「その技、俺も使わせてもらうぜ!」


「なんですって?」


 そう言って、空へ跳躍するアーネスト。


「行くぜネセル!『鳳凰天舞』!!」


 ドゴォッ!!


 ネセルは後ろに飛んで避け、地面に突撃するアーネスト。


「ちょっと待ちなさい!それ魔術で炎を纏わせて、突撃してきただけじゃないの!?」


「そういう技じゃねぇの?」


 きょとんとして答えるアーネストに、ネセルが叫ぶ。


「違うに決まってるでしょ!?」


 その言葉に、アーネストがうんうんと頷きながら言う。


「そうかそうか、なら俺のオリジナル技って事だな。よっし、なら俺は文字を捻って『鳳凰天空牙(ほうおうてんくうが)』にするかっ!」


 また安直な……そりゃ牙ってカッコ良いけどさ。

 いやもう何も言わないけどね。

 口をあんぐりと開けているネセルが面白い。


「ふ、フン!そんな即席の技で、アタシの『鳳凰天舞』に勝るモノですかっ!」


「オッケー、なら試してみるか?」


「良いわよ、その挑発に乗ってあげるわ!」


 なんだろう、ネセルって結構アーネストに性格が似てるような……。

 そう思っていたら、二人が飛ぶ。


「「『鳳凰天舞』!『鳳凰天空牙』!」」


 ガギィィィン!!


 空中で火花が文字通り飛んだ。

 その衝撃で吹き飛ばされ、地面に転がる二人。


「いってぇっ!?」


「っぅ……!う、嘘でしょ!?アタシと互角の威力だっていうの!?ありえないわ!!」


「へへ、意外といけるもんだろ?それに俺は、これに繋げる技思いついちゃったもんねー!」


「!?」


 俗に言う天才肌ってやつなんだろうか。

 アーネストは私より、戦いを好きそうだもんなぁ。


「もいっちょ行くぜ!」


 空に跳躍するアーネスト。

 ネセルは追わない。

 でもその姿をしっかりと目は追っている。


「『鳳凰天空牙』!」


 ギギィィィィィ!!


 ネセルはアーネストの一撃を、双剣をクロスさせて防いでいる。


「この、程度っ!!」


「甘めぇっ!こっからだ!連携技『緋凰絶炎翔』!!」


 双剣を振りぬき、地面に着いた後に一直線に斬り上げた。

 凄い、上からの急降下、その後に更に空へ。

 これには防御を崩されたのか、ネセルがよろめいた。


「もいっちょ喰らえぇネセル!『鳳凰天空牙』ァッ!!」


 ズドォォォォッ!!


「きゃぁぁぁぁっ!!」


 アーネストの更なる一撃に、耐えきれず吹き飛ばされるネセル。

 多分、防げたとしても、またあの連携技がくる。

 恐ろしい無限コンボを編み出したねアーネスト……。

 しかも炎を纏わせているから、剣を防御しても魔術の余波が確実に体力を削る。

 吹き飛ばされたネセルが、よろよろと立ち上がる。


「この、アタシが……まさか人間に……!」


「そういうのやめろよネセル。種族なんて関係ねぇーだろーが。お前はお前で(魔剣)俺は俺だろ」


 その言葉に感じる所があったのか、ネセルが膝をつく。


「……そう、ね。そこまでアタシが欲しいのねアーネスト。分かったわ、アタシをあげる。だけど、アタシの心はソウルお姉様のモノ。それだけは覚えておきなさいよ」


「おぅ、俺はそれで構わねぇぞ!よっしゃ!これでお前は俺のモンだな!!」


 そう笑って言うアーネストに、また真っ赤になるネセル。

 もう、何も言わないよ……。

 アリシアさん、ごめんよ。


「そんでネセル、普段どうしてんだ?」


「決まってるでしょ。アタシは双剣なのよ。これからはアーネストが帯剣しなさいよ」


「おぅ、そうするぜ!これからよろしくなネセル!」


「ふ、フン!このアタシの主と成れた事、光栄に思いなさい!!」


 そう言って、細長い長剣の二刀になった。

 な、長いねこれ。

 長さは大剣を凌ぐんじゃないだろうか。

 これ、腰には下げられないね。

 アーネストは背に双剣を装着した。

 おお、似合ってる。


「うっはぁー!マジ嬉しい!見ろよ蓮華!かっけぇだろ!?」


「あー、はいはい……」


 そうして、シルフを送還してからバニラおばぁちゃんの目が覚めるまで待つ事にしたので、その間に気になっていた事を聞く事にした。



「そういえば、ネセルってネスルアーセブリンガーって名前なんだよね?ネスルじゃないの?」


 私の疑問に、溜息をつきながら答えてくれる。


"はぁ、それは人間が勝手にそう呼んでるだけよ。アタシの名はソウルお姉様がつけてくれたネセル、それだけよ!"


 なんて鼻息を荒くそう言う。

 名前つけてあげたんだソウル。


"ち、違います主!その、呼び方を間違えただけなんです……"


 と慌てて言うソウル。

 あー……うん、似てるもんね。

 ネスルにネセル。

 そっか、呼び間違えたのをそのまま名づけと思われたんだね?


"はい……"


 もはやなんとも言えない私だった。



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