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131.戻ってきた日常

 魔物を全て倒してから。

 皆に事情を説明した。

 周りに話をしてから行けと怒られたけどね。

 私もアリス姉さんも、もっと言えばセルシウスまでもが、怒りで正常な判断を出来てなかったかもしれない。

 というか、話したら一緒に来てたよね?

 それから、学園全てを覆っていた結界を先生達が解いて、今回倒した魔物達の中でも、龍達は焼いて食べる事になった。

 私も最初は、これ食べれるの……って思ったんだけど、学園にハンターと料理人を兼業でやる人達が居て(自分で食料を調達する為に、力が必要なんだそうな)腕を振るってくれた。

 うん、美味でした。

 元の世界で食べたどんな肉よりも柔らかくて、口の中に含んだ瞬間、肉汁が蕩けてもう絶品だったよ。

 悔しいのは、この体になってから、あんまり食べられない事か。

 アーネストはもりもり食べてるんだけどなぁ。


「どした蓮華、そんだけしか食わねぇの?」


 とか言われたので、無言で正拳突きを食らわせておいた。


「ごふっ……な、なぜ……」


 八つ当たりに決まってるだろ。

 たくさん食べたいのに、すぐにお腹一杯になってしまうこの身が辛い。

 だから、飲み物と果物中心に食べていたんだけどね。

 流石に全校生徒に振舞っても全然余るらしく、残りは凍らせて保存させておいて、レストランで都度消費するらしい。

 私が来る前にかなり倒してたみたいだし、それからもたくさん倒したからね。

 まぁ、アリス姉さんが倒したのはミンチになってて、もはや食材にする事はできなかったみたいだけど。


「うぐぅ、まさか食べるなんて思わなかったんだもん……」


 とはアリス姉さん談である。

 思わなくても、一撃でミンチにしちゃうのはアリス姉さんくらいですけどね……言わないけれど。

 ゼクンドゥスはこのアリス姉さんの一撃を受けてもミンチにならない所か、まだ動けていたし……実際はかなり強いんじゃなかろうか。

 そうそう、タカヒロさんとアリシアさんが倒した龍達は全部消滅させたらしい。

 なんでも、地上に落とさないように気をつけたんだそうな。

 相当の実力差がないと、そんな事にまで気を回せられないよね、凄い人達だ。

 いや片方人じゃなかったっけ、まぁいっか。

 ちなみに勝負の結果は、アリス姉さんが圧勝で、私達は多分同じくらい、で落ち着いた。

 なんせ数えてられなかったので。


「アリスティアさんって、よく考えたらリンスレットやマーガリンさん達と同世代の方よね?ホントあの世代にどうやったら追いつけるのよ……」


 ノルンのその言葉に、私とアーネストは苦笑してしまった。

 まったく同じ事をよく考えるからだ。

 ミレニアだって、兄さんだってそうだ。

 私達の周りには、凄い人が多すぎる。


「そいや蓮華、理事長がいつ頃最初の講師の仕事をしてくれるか聞いてたぞ?」


「あー……すっかり忘れてたよ。それじゃ明日にでもしよっか?」


「お前な……明日ってのはともかく、なんの授業するとか決めてんのかよ」


「母さんから習った魔術の事でもわかりやすく伝えればよくないか?ほら、私達最初にみっちりやらされたろ」


「ああ、あの地獄の日々か……」


 二人して遠い目をする私達を、不思議そうに見るノルン達。


「お前達が地獄って言うという事は、常人ならそれ以上って事だよな。生徒達はついていけるのか、それ」


 なんてタカヒロさんが言ってくるけど、誤解しないでほしい。


「もちろん実技の方じゃなくて、座学の方だから大丈夫だよタカヒロさん。実際に見せてあげたりしてたら、一時間なんてすぐだよ」


「確かにな。んで、ノルンはどうすんだ?確か蓮華と同じように受け持ったんだろ?」


「そうね、最初は蓮華と一緒にやるわ。それから、適度に分ければ良いでしょ。全員が毎回集まってやる事もないでしょうし」


「はは、そう言ってノルンはどうせ蓮華さんが講師する時は毎回行くんだろ?」


「なっ!?~っ!」


 なんて言葉にならない言葉を発してるノルンに、タカヒロさんは笑う。

 この二人、仲が良いっていうか……そっか、家族なんだな。

 ノルンの態度を見ていて、そう思った。


「なぁ蓮華、タカヒロさんとノルンってさ、俺達と兄貴に似てるよな。まぁ兄貴程過保護じゃないけど」


 なんて、アーネストまで言ってきたから笑ってしまった。


「アンタ達までなんで笑ってるのよ!?」


 うへぇ、飛び火してきた。

 そんなノルンを宥めながら、皆で楽しくその日は終えた。

 余談だけど、寝ようとしたらアリス姉さんがくっついてきて離れなかった。

 今日ばかりは引きはがす気も起きなかったので、そのまま一緒に寝た。

 夢は、見なかったよ。


 翌朝、ぐっすり寝て起きたら、朝の9時。

 超寝坊してしまった。

 慌てて起きて横を見たら、もぬけの殻。

 もしや、また夢か!?

 と思ったんだけど、単純に私が寝過ごしただけだよね!!

 制服に着替えて、部屋を出たところでアリス姉さんとセルシウスに鉢合わせた。


「ご、ごめん!今起きたんだ!」


「え、ええ。レンゲ、どこか行く予定だったの?」


「いやだって、授業……!」


「蓮華さん、今日は8の日だよ……?」


 8の日、つまり元の世界で言うところの日曜日。

 月に7回は学園がお休みの日がある。

 1日、8日、15日、22日、29日、36日、43日だ。

 今日はその8日。


「……」


 今日お休みでしたー!!

 すっかり忘れてたよ!

 なら昨日、明日って言った時に誰か突っ込んでよ!!


「そもそも、もうレンゲは単位が要らないんだし、受けたい授業があるのなら、それを聞いていたら私達が起こすでしょうレンゲ」


 正論すぎて何も言い返せない。


「なら二度寝しようかな……」


 なんて部屋に戻ろうとしたら、アリス姉さんとセルシウスに捕まった。


「蓮華さん、折角制服に着替えてるんだし、アーくん誘って外に買い物に行こうよー!」


「レンゲ、時間は有限なのよ。起きたのだから、有効に使いましょう?」


 うぅ、グッバイ布団の温かさ。

 おはよう太陽(アマテラス)、私は元気です。

 という事で、今日はこのまま外へ買い物に行く事にした。

 制服なんだけど、まぁいっか。




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― 新着の感想 ―
[一言] 日常は壊すものなのでまた何かイベントがありそうですねぇ。 卒業までに後何回やらかすのか楽しみにしています。 ソウルとの会話もまた見てみたいです。 頑張ってください!
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