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130.全力全壊

「そいえばミレニアとアリス姉さんにはあの六芒星のなんちゃらっていうの、効果やっぱりないんだね」


 そう、あれで私とセルシウスは動けないくらいになった。


「ああ、あれは強力じゃが、色々と制限がある故のその効果じゃからな」


「制限?」


「うむ、一つに描かれた魔法陣の上に、効果が発動する時に対象がおらねばならぬ」


 そっか、だからセルシウスは通路に戻れって言ってくれたのか。


「そして更に、対象の名前を5回以上呼ばねばならぬしな」


 え、そんなに呼ばれたかな。

 まぁ、発動したんだから呼ばれたんだろう。


「あれ?でもセルシウスは一度も呼ばれなかったよね?」


「恐らく、セルシウスは蓮華に紐づけられておったのじゃろうな」


 あー……そういう事か。

 これは、私の不注意で皆も巻き込んでしまうかもしれない。

 これからはより一層気を付けないとダメだね。


「成程ね、ありがとミレニア」


「うむ、これで頼みは果たしたかのアリス」


「うん!私もぶん殴れてすっきりしたし、ありがとミレニア!」


 そういえば、アリス姉さんが腕輪を外してる。

 あぁ、そりゃあいつただじゃ済まなかったはずだよ……。

 アリス姉さんに手加減なしでぶん殴られるとか、ミンチになってもおかしくない。


「アリス姉さん、包囲とか言ってたけど、どういう事?」


「うん、魔神って輪廻転生しちゃうんだよ殺しても。だから、その魂を逃がさないように結界で覆ってからきたんだよ。まぁ結局本体じゃなかったから意味なかったんだけどね、狡猾な奴だよね」


「じゃが、魂の波長は覚えたでな。それを辿れば、本体まで追えるぞアリス」


「ホント?なら追って殺しに行こうかな?」


 なんて物騒な事を言うアリス姉さんを止める。


「アリス姉さん、あいつの始末は私に任せてもらっても良いかな?」


「蓮華さん?」


「私、いつも皆に守られてる。でも私だって皆を守りたいんだ。だから、もっともっと強くなって、そいつも私が倒すよ」


 そう言ったら、アリス姉さんは微笑んだ。


「ん、分かったよ蓮華さん。でも私の力だって、蓮華さんの力だよ。もっと頼って良いんだからね?」


「うん、ありがとアリス姉さん」


「フ……」


 ミレニアが微笑んでくれる。

 そうして、セルシウスが凍らせた道を辿って外に出た。

 すると、外を魔物が覆いつくしていた。


「な、なんじゃこれぇぇぇ!?」


 そう叫んでしまっても、しょうがないだろう。

 なんせ辺り一面が魔物だらけなんだ。


「レンゲ、もしかしたらだけど、あの看板があった部屋の魔物が、外に溢れ出たんじゃないかしら?」


「うわ、あれか!にしても、これは多すぎでしょ……。あの阿呆はとんでもない置き土産を置いていってくれたものだね……」


「丁度良いではないか蓮華や。お主、強くなりたいのであろう?なら、これくらいの魔物、片づけて見せよ」


 そう笑って言うミレニア。

 確かに、ミレニアならこれだけの数の魔物だろうと、すぐに片づけてしまえるだろう。


「えー、手伝ってくれないのミレニアー」


 とアリス姉さんは不満げだけど。


「なに、危なくなれば助けてやる。後を考えずに暴れてくるが良い蓮華や」


 と言ってくれるミレニア。

 うん、最高の環境だね。

 もし私が倒れても、ミレニアが居てくれる。

 こんな安心して戦える状況、そうないだろう。

 セルシウスを見る。

 頷いてくれた。

 よし、やってやる!


「『精霊憑依・セルシウス』」


 瞬間、私はセルシウスと一つになる。


「ふふ、相変わらず素敵だね蓮華さん、その姿」


「そうなの?私は自分が見れないからなぁ」


「フ……妾は空より見守っておるでな、楽しめ蓮華」


 そう言った後、ミレニアは空へ飛んで行った。

 ホント、頼もしい人だ。


「行くよ、アリス姉さん!目の前の全部、ぶっ倒す!!」


「!!ふふ、了解だよ蓮華さん!今回は腕輪なしで、弾けて消えろぉっ!!」


 そうして、私とアリス姉さんは、目の前の魔物を倒していく。

 どれだけの数がいようが、止められるものなら止めて見ろ!!





 ザシュゥ!!


「グギャァァァッ!!」


「ったく、キリがねぇなっ!」


 ズバッ!ズババッ!!


「ガァァァァッ!!」


 地面にはおびただしい数の龍達の死骸が転がっている。


「このままじゃジリ貧ね。と言っても……!この魔力、蓮華!?」


「ええ、ノルンさんも感じましたわね!?」


「クス、ええ。遅いのよアンタは」


 ドゴオオオオオオンッ!!


「「「ギャァァァァァッ!?」」」


 数多くの龍達が吹き飛ばされていく。


「皆!!」


「「蓮華!!」」


「蓮華お姉、様っ……!」


 蓮華が空より降りてくる。

 その姿は、さながら雪の女王のように見えた。


「皆も戦ってたんだね!私も手伝うよ!」


「蓮華、お前遅いんだよ!」


「まったく、何してたのか後で聞くからね蓮華!」


「蓮華お姉様、私感激ですわ……!」


「こらー!蓮華さんだけじゃなくて、私も居るんだからねー!?」


「はは、すまねぇアリス。というか、龍をハンマーでぶん殴るのなんてアリスくらいだよな」


「見た目詐欺よねアリスティアさんって……」


「ふふ、アリスティア様、救援感謝致しますわ」


「カレンちゃんしか純粋に喜んでくれないよぅ蓮華さんー!?」


「あ、あはは……。さて、あんまり話してる暇はなさそうだね。アーネスト、他の生徒の皆は?」


「おう、それは明達執行部の皆が指揮を執ってくれてる。先生達が結界を張ってくれてるから、学園の外に魔物が行く事はないぜ」


「そっか、流石だな。空はアリシアさんとタカヒロさんが抑えてくれてるみたいだねノルン」


「ええ、あの二人なら突破される事はないと思うわ」


「よし。なら私達は、こいつら全滅させようか!」


 ソウルイーターを構える蓮華。

 それを見て笑うアーネスト。


「蓮華。不謹慎かもしれねぇけど、こういうの良いよな」


「ん?なんか言ったかアーネスト?」


「いいや!どっちが多く倒すか、勝負だ蓮華!」


「望むところだアーネスト!」


「あら、私も混ぜなさいよ。言っておくけど、負けるつもりはないわよ?」


「良いぜ、勝負だノルン!」


「ふふ、私は適度にやらせて頂きますわね。皆さんのアシストをさせて頂きますわ」


「カレンちゃん、取りこぼしをよろしくね!よーし、ぶっ倒しちゃうぞー!」


「ってアリス、腕輪してねぇ!?やべぇ、一番の危険人物が味方にいやがる!!」


「こらぁアーくん!流石に味方は巻き込まないよー!?」


「ほ、本当よね?」


 若干引き気味のノルンに、蓮華とアーネストが笑い出す。


「んもぅ!証拠を見せるから!!」


 そう言って龍の前まで瞬時に移動し、ハンマーで横なぎにする。


 ゴスゥゥゥゥ!!


 その凄まじい破壊力に、龍は吹っ飛ばず、潰れた。


「おい、軽くホラーだぞ蓮華。もしかして、吹っ飛ばしてたのって蓮華か?」


「うん、そうだよ。アリス姉さんに攻撃された魔物は、全部ミンチだよ……」


 遠い目をしている蓮華に、三人は震え上がる。


「ほら、大丈夫でしょー?」


 なんて笑顔で手を振っているアリスティアに、四人はただ苦笑する。


「やれやれ、負けてられねぇな」


「だね。さぁ皆、行くよ!」


「おおっ!」


「ええ、全部倒してやるわよ!」


「はい、蓮華お姉様!!」


 こうして、召喚された魔物は殲滅されていった。

 ちなみに、モンスタースポットの核は、ミレニアが山ごと消滅させた。

 そこに残されたのは、ただのクレーターである。


「ま、これくらいの手は貸してやらねばな」


 規格外の力を誇る吸血鬼の真祖・ミレニアは、空から蓮華達を見て微笑むのだった。




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