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123.学園ダンジョン

 洞窟に近づいてみた。

 階段があるわけではなく、なだらかな斜面になっている。

 だけど、明かりがある。


「ノルン、気付かなかったとかじゃなくて、確かに無かったんだよね?」


「ええ、私もそんなにハッキリ覚えてるわけじゃないけど、こんなのあったら流石に忘れないわよ」


 確かにそっか。

 明かりがあるという事は、人工の物なんだろうか?


「うーん?中から精霊の力を感じるような……」


 なんてアリス姉さんが言ってきた。


「精霊の?それじゃ、奥には大精霊の誰かが居たりするのかな?」


「この学園の付近に来る大精霊なんて、居ないと思うけどなぁ……」


 そう言われて、セルシウスを見る。


「そこで私を見られても困るわレンゲ。私だって、魔界に居たのよ?ノルンというか、イグドラシルに命令されてここに来たけれど」


 その言葉に、うっとなったノルンが言う。


「その、一応私も意識あったし、止められなかったのはごめんなさい……」


「その事はもう良いわ。それに、見方を変えれば、そのおかげでレンゲとこうして居られるようになったんですもの。むしろ感謝してるわノルン」


 そう言って微笑むセルシウスに、ノルンも微笑んだ。

 あんまり私以外に微笑んだところを見た事がなかったので、少し意外だったけど、心から許してるって分かる。


「ま、行ってみれば分かるよね。明かりもあるし、何かあっても『リターン』で戻れば良いし」


「アンタ、石の無い『ポータル』は使えないのに、なんで『リターン』は使えるのよ」


 だって、使えるんだもの。


「それじゃ、行こっか」


 ノルンの言葉をスルーして、進む事にする。

 そうしたら横腹をつつかれた、こしょばい。

 地面が滑りやすく、結構歩きにくい。

 スケートを運動靴でしてる感じと言えば、想像しやすいかな?


「にょわっ!?」


 変な声を上げながらアリス姉さんが転んだ。

 手を貸すと、照れながら立ち上がるアリス姉さん。

 うん、可愛い。


「あぅー、なんでここ、こんなに滑るんだよぅー」


「きゃっ!?」


「あいたっ!?」


 アリス姉さんが立ったと思ったら、次はカレンとノルンが転んだ。

 で、その二人に手を貸したら、立たせる前に私まで滑った。


「うわぁっ!?」


 そして、二人を巻き添えにこんがらがった。


「アンタね、一緒に転んでどうするのよ……」


「ご、ごめん。踏ん張ろうとしたら、そこから滑っちゃった……」


 なんとか立ち上がり、先に進む。

 これ、魔物とか出たらヤバイ気がする。

 滑ってまともに戦える気がしない。

 なーんて考えたのがフラグってやつですよね知ってた!


「キシャァァァ……!」


「汽車……?」


「アンタ、おやじギャグもその辺にしときなさい」


 そう聞こえたんだよぅ……。

 気を取り直して、ソウルを構える。

 植物の姿をしてるけど、あれウツボカズラに似てるような。

 ポケ〇ンで言うとウツ〇ットが想像しやすいかな?

 触手で捕食、更には滑る地面……なんだか嫌な予感がする。


「キシヤァッ!!」


 二本の(つる)改め触手あらためるなが襲い掛かってくる!

 後ろに飛んで避ける皆。


「騎士嫌って、カレンとアニス何かしたの!?」


 と避けながら言ったらまたノルンに叱られた。


「アンタは阿呆な事を言ってるんじゃないわよ!!」


 だってそう聞こえるんだもん!

 とか思ってたら、転んだ。


「うわっ!」


 い、痛い。

 いや痛くはないんだけど、精神的なものが。

 というか、なんでこの地面こんなに滑るの!?

 氷の上でだって、こんなに滑らないよ!?

 とか思ってたら、蔓に捕らわれてしまった。


「「蓮華お姉様!?」」


「よりにもよって私を捕まえるとか!こういう場合、可愛いアリス姉さんとか、美女のセルシウスとか、ツンデレのノルンとか美少女姉妹のカレンとアニスの方が見た目良いでしょ!?」


 なんて叫んだ。


「蓮華、アンタね……」


「蓮華さん……」


「「蓮華お姉様……」」


「レンゲ……」


 皆一様に呆れているのが分かる。

 だって、ねぇ!男なら自分が捕らわれるより、可愛かったり綺麗だったりな女の子が捕らわれる方が見たいじゃないか!!

 って阿呆な事を考えていたら、締め付けが強くなった。


「ってこのままじゃ食べられちゃうよね。よし、やぶ……やぶれにゃい……」


「「「「!?」」」」


 なんか体が麻痺してるし、力が入らない。

 あっれぇ、これ結構ピンチだったりする?


「症状を見るに……麻痺並びに猛毒、さらに軽度の混乱状態にされてるわね」


「冷静に観察してる場合じゃないよ!?蓮華さん、今助けるからね!」


「ったく、アンタは油断しすぎなのよ!」


 そう言って、私を捕えている蔓を断ちきって私を抱え、助けてくれる二人。

 その際、抱えてくれたのがアリス姉さんだったので、また転んだ。


「「あいたぁ!?」」


「アンタ達ね……」


 綺麗に着地しているノルンが呆れて見てくる。


「ハァ、なんで私はこんなのに負けたのかしら……」


 なんて溜息をつきながら言われてしまった。

 なんででしょう……。

 なんか暑さと寒さを前から感じたので、見るとカレンとアニスだった。


「ふ、ふふ、蓮華お姉様になんてうらやま……ゴホン、許せない事を魔物の分際でなさいましたわね?」


「下種の分際でよくも、よくも蓮華お姉様にあのような真似を……その蔓は持ち帰りますが、お前は断罪(ギルティ)です」



 なんて不穏な事言ってるんだけど。

 この二人、もしかしてヤヴァイ性癖隠してたりしないですよね……?

 身に纏う圧倒的な熱量、炎に氷の魔力を宿し、一瞬で植物の魔物を消し炭にしてしまった。


「あっ……!!」


「どうしましたのアニス?」


「蔓、消滅してしまいました……」


「ふふ、大丈夫ですわアニス。ノルンさんが斬られた物を拝借しておりますから」


「流石カレンお姉様です!」


 ……うん、何してるのかなあの二人。

 とか思ってたら。


「レンゲ、皆。奥を見て」


 なんてセルシウスが言うので、見た。


「「「「キシャァァァ……!」」」


 通路を埋め尽くすかのような、さっきの魔物の群れ。

 いや、メタルク〇ラじゃないんだから!!

 あれゴ〇ウとベ〇ータも最後やけくそになったよね!?


「ああもう、殲滅するよ!!」


「「「おおー!!」」」


 こうして、魔物殲滅戦が幕を開けた。

 うん、疲れたとだけ言っておこうかな……。



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