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122.学園探索

 翌日。

 アーネストはバニラおばぁちゃんの所に、スマホ本体を持って行く為に再度外出申請をしに行った。

 魔法で複製をして、複製したスマホを分解して色々調べるらしい。

 公にはロイヤルガードのバニラおばぁちゃんの手伝いをするという事で。

 流石に皆でまた行くわけにも、という事でアーネストと明先輩が一緒に行くそうだ。

 明先輩も忘れてたけど転生者なんだよね。

 スマホの事も知ってたみたいだし、私達と同じ時代か、先の時代からの転生者なんだろう。

 アリシアさんも行きたそうにしてたけど、アーネストから二日連続で会長と副会長が居ないのはマズイだろって言われて、ぐぬぬってなってた。

 それを見ていたノルンは苦笑して、タカヒロさんは大笑いしてた。

 その後アリシアさんに鉄拳制裁されたタカヒロさんを見てノルンが今度は笑ってたけど。

 というわけで、今日は昨日するはずだった学園探索をする事にした。

 どうせ一日じゃ周りきれないし、アーネストとはまた今度でも良いだろう。


「蓮華さん、見て周るのは良いんだけど、どこら辺から行くつもりなの?」


 とアリス姉さんが可愛いらしく首を傾げて聞いてくるので、答える。


「そうだね、パンフレットにあった、学園の中でも雨が降るっていう場所に行ってみようかな」


「うえぇ、なんでまたそこを蓮華さんはチョイスするかな……」


「あそこは魔物が湧くモンスタースポットが野放しにされてるから、中に入ると結構面倒よ?」


 なんてノルンが言ってきた。

 モンスタースポット、そんなのあるんだ。


「なら他にしよっか」


 そう言ったらノルンは苦笑して、アリス姉さんがガクッとした。


「れ、蓮華さんてば……」


 いやだって、そんな場所なら別に行かなくても良いもの。

 それにそんな場所に行くなら、アーネストが居る時の方が楽しそうだし。


「そいえば、ノルンは良いの?アリシアさんにタカヒロさんは、今日は無理みたいだけど」


 そう、アリシアさんは生徒会の業務が、タカヒロさんはそれに付き合わされるそうだ。


「別に姿を偽っている時だって、私は普段一人だったから問題ないわ」


 その言葉に、なんか切なくなってノルンを見る私。


「ちょっ!勘違いしないでよね!?私は一人が好きだったの!だから一人でいたの!分かる!?」


「うん、分かってる。分かってるよノルン……くぅっ……!」


「ちょっと蓮華、それ絶対分かってないわよね!?」


 隣のアリス姉さんとセルシウスが笑いを堪えているのを横目に、カレンとアニスにも聞く。


「二人は今日も大丈夫なの?」


「はい蓮華お姉様。予定は全てキャン……ゴホン、空いておりますので」


「カレンお姉様に同じくです」


 おい、今キャンセルって言おうとしたな。

 無理やり空けたな?

 二人の授業楽しみにしてた生徒達に恨まれないか心配だよ……。


「大丈夫ですわ蓮華お姉様、そんな奴等が居ましたら、私達で始末して参りますわ」


「はい、汚物は消毒、です」


 なんて鎌を光らせて言うアニスが怖いです。

 というか私の心につっこんでないかな、今の。

 まぁ、深くは考えなくて良いか。


「それじゃ、今日は珍しく女性だらけだね。ちょっと緊張しちゃうな」


 なんて言ったら、全員から驚いた表情で見られた。

 え、なんで?


「蓮華さん、多分だけどね、蓮華さんと一緒に居る側の方が緊張する人多いよ……?」


 え?私と居て?そんな事あるわけないじゃないかアリス姉さん。


「あー、これ分かってないわね。そっか、そういえば蓮華って以前は男なんだったっけ?」


「「え!?」」


 カレンとアニスが驚く。

 あ、そっか。

 二人にはまだ話してなかったや。


「あれ、二人は知らなかったの?……ごめんなさい蓮華、私てっきり、この場に居る皆は知ってるものと……」


 とバツが悪そうに俯くノルンに、大丈夫だよと声を掛け、カレンとアニスに向き直る。


「黙っててごめんね。というか話した気になってたよ。それくらい、もう大切な仲間だったから。……もし話を聞いて、嫌悪感が出たらごめんね」


 そう前置きをして、私の事を話す。

 アーネストの事、そしてノルンの事も。

 話を聞いた二人は、言ってくれた。


「ありがとうございます蓮華お姉様。そんな大切な事を、話して頂けて」


「はい、嬉しいです蓮華お姉様」


「まず最初に言わせていただきますわ。嫌悪感が出るなんて、見損なわないで頂きたいですわ。むしろ、蓮華お姉様に感じた異性、それが分かりましたの。私は、蓮華お姉様がユグドラシルだから好きになったのではありませんわ。蓮華お姉様の優しさに触れて、お慕いしているのですわ」


「はい、その通りですカレンお姉様!」


 二人が真剣にそう言ってくれるので、私も心からの気持ちを伝える事にした。


「ありがとう二人とも。"私"を受け入れてくれて。ここに居る皆、"俺"が"私"になって、初めてできた友達なんだ。そんな友達が、心から誇れる友達で嬉しいよ。これからも、よろしくね」


 そう言って微笑んだ。


「こちらこそですわ!」


「はい!蓮華お姉様!」


 二人も凄く良い笑顔で微笑んでくれた。


「はぁ、アンタはこっぱずかしい事を、よく臆面もなく言えるわよね……」


「ノルン?」


「分かってるわよ!私だってアンタの事は友達だと思ってるし、元がなんであれ蓮華は蓮華でしょ!」


 そう赤くなりながら横を向いて答えてくれるノルン。


「ふふ、レンゲは本当に不思議な子ね。私はこれからもずっと一緒に居るから、そのつもりでね」


 そう微笑んでくれるセルシウスに、私も微笑む。

 そんな事をしていたら、アリス姉さんが抱きついてきた。


「私も!私もずーっと!ずーっと一緒だからね蓮華さん!!」


 そう言ってくれるアリス姉さんを抱きしめ返す。


「うん、ありがとうアリス姉さん。ずっと一緒だよ」


 普段なら言えないような言葉が、何故かスラスラと言えた。

 それから、皆で学園を探索する事にした。

 すでにある程度学園を下見しているカレンとアニスが説明をしてくれる。

 それに耳を傾けながら、実技を頑張っている皆を見て歩いていた。

 そうして時間が過ぎ、お昼が近づいた頃。


「あれ?」


「どうしたの蓮華さん?」


「あそこ、なんか祠みたいな、洞窟が出来てない?」


「本当だわ。以前ここら辺を見た時、あんな物はなかったわね」


 ノルンもそう言う。


「なら、調べてみる価値はあるよね?」


 その私のセリフに、異を唱える人は居なかった。





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