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101.再度学園へ

 少しの休日も終わり、学園へと戻ってきた。

 全生徒達が集まり、魔王リンスレット直々にノルンが体を乗っ取られていた事を告げられ、今はもうその心配がない事も同時に話してくれた。

 幸いというか、あの日はほとんどの生徒があの戦いを見ていたし、途中からノルンの様子がおかしい事に気付いていた人も多かった事もあり、すんなりと受け入れられたように思う。

 まぁ、そもそも被害者と言うのかな、私自身がノルンと険悪なムードではないのが、よりその信憑性を高めているのだろうけど。

 学園に戻ったら、すでに寮にはたくさんの生徒達が戻っていて(後から聞いたけど、家には帰らずそのまま寮で休んでいた生徒がほとんどだとか)ミアちゃんやイシスちゃん、ユリィ君に大丈夫だったのかと詰め寄られた。

 凄く心配を掛けたみたいで申し訳なかったけど、嬉しかったね。

 他の寮の子も、凄く心配してくれてたみたいで、皆に大丈夫だよと言って周るのが大変だった。

 驚いたのが、ノルンも同じ寮にこれから住むらしい。

 アリシアさんも王都に宿をずっと借りてたみたいなんだけど、これを機にこちらの寮に移るのだとか。

 アリシアさんは最初私に謝ってくれて、その後アーネストに向かって微笑んで言った言葉が忘れられない。


「会長、私は貴方に救われました。これから誠心誠意尽くしますから、覚悟してくださいね?」


 なんて言ってきたから。

 でも、アーネストは喜ぶかと思ったら、滅茶苦茶嫌がったのが不思議だった。


「嫌だー!お前の誠心誠意とか、悪魔が地獄へ招待してるようなもんじゃねぇか!?っていうかお前悪魔だったわ!」 


 アリシアさん綺麗だし、アスモデウスさんに戻っていた時なんて、妖艶な美人さんだったのに、アーネストが嫌がる理由が分からない私だった。

 アーネストから拒絶されても、楽しそうに笑ってるアリシアさんを見て、私も笑ってしまう。


「ふふ、近くに蓮華さんのような素晴らしく綺麗な方が居るから、私の魅力でも落とせないんでしょうかね?」


 なんて言ってくる。


「そうかな?あの時見たアスモデウスさん、すっごく綺麗だったけどなぁ」


 そう言ったら、驚いた顔をするアスモデウスさん。

 ちなみに、今はアリシアさんの姿をしている。

 ずっとアリシアさんの姿で居たから、学園ではアリシアさんの姿で通すらしい。


「成程、これが天然なのね」


 何が成程なのか。

 それから、アリシアさんはノルンの元へ行くと言って、戻って行ったけど、これから騒がしくなりそうな予感がする。

 その後アーネストとも別れ、私とアリス姉さん、セルシウスの三人で寮の部屋に戻ってから、三日後に行われる闘技大会について話をしていた。


「はぁ、ノルンの言っていた通り、準決勝をまさかやり直す事になるなんて……」


「あはは、あれはイグドラシルが戦ったから無効試合になったもんね蓮華さん。でも、楽しみじゃない?」


「観客に家族が居なければね……」


「あ、あはは……」


 苦笑するアリス姉さん。

 いやだって、授業参観だよ!

 しかも、母さんも兄さんも、国家主賓なんて目じゃないくらい有名人だよ!

 ミレニアも表向きは公爵家らしいし、この学園の大会を見に行くと言ったら即通るんだから……。

 まぁ、仮にミレニアにそういう家柄が無かったとしても、母さんが通すだろうけどね。

 その上、大精霊の皆も人に紛れて見に来ると言ってた。

 勘弁してほしい……。


「というかレンゲ、勝った後はその家族のどちらかと勝負でしょ」


 とセルシウスが言ってくるけど、そうなんだよね。

 アリス姉さんにアーネスト。

 その勝者が、決勝の相手。

 どっちが勝ちあがっても、家族が相手というね。

 しかも、どちらも滅茶苦茶強い……。

 アーネストとは、学園に行くまでの間で戦績は五分。

 アリス姉さんとは、勝負にならない。

 私が負ける意味でね。

 ただ、アリス姉さんは私には手加減できるので、生き死にの戦いじゃないから、1割くらいは勝てる確率はありそう。

 主にアリス姉さんの油断で。

 アーネストも、戦いの前に勝算がありそうな事を言っていた。


「というかアリス姉さん、その母さんの創った魔道具をつけて戦うんだよね?」


「そだよ。悪魔達との戦いでは外したけどね」


「その腕輪なしで戦う事になった悪魔達には同情せざるを得ないね……」


「どういう意味だよー」


 なんて言ってくるアリス姉さんに苦笑する。

 言葉通りの意味です。

 私なら速攻で逃げるから。

 本気のアリス姉さんと戦うなんて、命がいくつあっても足りないよ、ええ。


「なら、アーネストにも遠慮は要らないだろうし、私としてはアリス姉さんとアーネストの戦いが楽しみかな。アーネストは勝算あるみたいだったし、アリス姉さんも油断してたら負けちゃうかもよ?」


 なんて笑って言ったら、アリス姉さんが不敵に笑う。


「ふっふっふっ。マーガリンにロキ、ミレニアまで来るのに、無様な戦いは見せらんないからね。私、当日はヤっちゃうよ!」


 おかしいな、今アリス姉さんのやっちゃうのやが、おかしな発音に聞こえたんだけど、気のせいだよね。

 アーネスト、私はこっそりお前の方応援してるからな。

 頑張れ、私がノルンにもし勝ったら、アリス姉さんと戦うとか冗談じゃない。

 だからまぐれでもなんでも良いから、勝ってくれお願いします(切実)

 いやでもノルンとアリス姉さんとの戦いも見たいような……。

 そうなると私は負けるわけで、でもそれはなんか悔しい。


「クス。なんだかんだ言って、レンゲも楽しみなんじゃない」


 色々と考えて唸っていたら、セルシウスにそう言われてしまった。

 そうかもしれない。

 まだ学園生活は始まったばかりだ。

 なによりも、楽しもう。

 そう思って、今日は寝る事にした。


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