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100.皆で晩御飯

 夕方。

 母さん達を呼んで、大精霊の皆が住むこの家に皆集まった。

 カレン達にはまた今度、別の形でお礼をしようと思ってる。

 料理としては簡単なカレーだけど、味を良くしようとしたら、難しかったりする。

 今回は一人じゃなく、三人で作ったので楽しかった。

 まぁ、すんなりとは作れなかったけど……。


「皆席に着いたぜ蓮華。ほら、皆待ってるし、何か言ったらどうだ?」


 なんてアーネストが言ってくる。

 え、普通にいただきますで良いんじゃないの?なんか言う流れなの?そう思っていたら、なんか皆こっち見てる。

 ぐ、仕方ない。

 椅子から立ち上がって、コホンと咳払いをしてから、話し始める。


「皆、今回の事、心配をかけて本当にごめんなさい。そして、助け出してくれてありがとう。私が眠ってしまってからも、色々と事後処理があっただろうに、そんな疲れを微塵も見せない皆に、少しでも疲れを癒してあげたいと思って、今回の事を考えました」


 そう言って、皆を見渡す。

 皆微笑んで聞いてくれている。

 それを嬉しく思いながら、話を続ける。


「もう一度、ありがとう。今回の料理は私が元居た世界でもあった料理で、カレーって言うんだ。まぁ、この世界にもあったみたいだけど、レシピはちょっと違うかも……だけど、美味しく出来たと思う。まぁ、私だけじゃなくて、今回の功労者であるアーネストやアリス姉さんにも手伝って貰ったけどね」


 そう言うと、皆笑いだした。

 アーネストとアリス姉さんは本当になんで俺までとか、ホントだよーとか言ってくる。

 良いんだよ二人は。

 一蓮托生でしょ。


「それじゃ、長々とした話はここまで。皆、ありがとう。これからもよろしくって事で、食べよう!いただきます!」


「「「「いただきます!」」」」


 こうして、大精霊の皆と母さん達が集まっての夕食になった。

 カレーだけじゃ寂しいので、ドライアドから貰った野菜で適当にサラダの盛り付けを作ったりもしたんだけど、ドレッシングが無かったので、手作りしてみた。

 サラダ油、オリーブオイル、ごま油で油の種類を分けて、それぞれにレモン汁と塩を混ぜて完成。

 簡単だけど好みに合わせてサラダを食べれるので、良いかなと。

 後はアリス姉さんの頼みで、卵焼きを。

 これも普通の卵焼きじゃなくて、ふわふわになるように工夫した。

 作り方は母さんに教えて貰ったので(元の世界のじゃなく、この世界での母さんね)覚えていた。

 ちょっとだけ手間なんだけど、ボウルに卵(3個)を割り入れ、箸で白身を数回切るようにし、泡立てないようによく溶きほぐす。

 で、塩、砂糖、水を加えて混ぜ、ザルに入れて3回こす。

 その後は、温めておいた卵焼き器にサラダ油を入れて、強火にかける。

 注意点として、焦げるかもって思って弱火にしたら、ふわふわにならないからねって言われてたので、ずっと強火で。

 で、ここからが大事で、卵液を1/3量(=卵1個分)を流し入れて全体に広げて気泡を箸先でつついて潰していく。

 ここで卵液を5~6回に分けて入れて弱火で焼くと、ぺったんこの卵焼きになってしまうから注意してねって念入りに言われた。

 それから表面がうっすら固まってきたら、卵焼き器の奥から1/3くらいを手前に折り、そのままひと呼吸おく。

 そうする事で、折り返して密着した部分の卵液が固まるから。

 さらに手前に半分に折る。

 卵焼きを奥に移動させて、2回目のさっきと同じ量(=卵1個分)の卵液を流し入れる。

 この時に卵焼きを少し持ち上げて、下にも卵液を流し入れる。

 後は同様にして手前に巻いていく。

 3回目の卵液を流し入れて、同じ様に巻けば良い。

 よりきれいな形に仕上げるには、卵焼きの側面もしっかりと焼くことなんだって。

 卵焼き器を傾けて、軽く卵焼きの側面を押しつけて焼き、形を整える。

 で、最後にふきんで包んで、粗熱がとれるまで冷ます。

 そうしてから切り分けて出来上がり。

 卵焼きがこんなに大変とか、思ってなかったよ。

 世のお母さんには頭が上がらないね、本当に作ってみて思ったよ。

 手間を掛けただけあって、美味しくできた卵焼きは、概ね好評だった。

 アリス姉さんがバクバク食べて、おかわりを要求するものだから、作りに戻ったりしたよ。

 ちゃんと皆に行き渡るようにたくさん作ったのに、アリス姉さんの胃袋恐るべし……。

 まぁ、私が母さんから習ったレシピはまだ数種類なので、これから増やしていこうと思うよ。

 皆が喜んで食べてくれる姿を見ると、嬉しいからね。


「蓮華、お前こんなに料理が上手くなってるなんて、料理のさしすせそも言えないのに信じられねぇ……」


 なんて言ってくるアーネストには正拳突きをまたお見舞いしておいた。

 皆がそれを見て笑ってくるので、少し恥ずかしかったけども。

 皆といろんな話をしながら食べる夕食はとても楽しくて、時間があっという間に過ぎてしまった。

 そうして食べ終えて、食器を片づけようとしたら、皆手伝ってくれた。

 こういうの、良いね。

 たまに、こういう形で皆で集まって食べようと約束して、私とアーネスト、アリス姉さんに母さん、兄さんは家に戻った。

 家に戻る道中、母さんがひたすらに嬉しそうに私に抱きついてくるのが困った。

 アリス姉さんは苦笑してるし、兄さんに至っては、なんか微笑ましい物を見るような目で見てくる。

 アーネストは笑ってるし、そのまま家に帰る事にしたよ。

 こうしてノルン、もといイグドラシルに捕らわれてから、解放された後3日間眠ってしまい、目が覚めてからの1日目が終わった。

 学園に戻るまで後2日間の休み。

 そうしたら、また皆としばらくの間、お別れだ。

 そう考えると、少し寂しく感じる私だった。




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