表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/20

ちょっともうこれ見世物小屋じゃないの

「でも、どうなのかしらねぇ、

この子はただオネエに憧れてるだけで、

女になりたいって訳じゃないじゃない?

根本からあたし達と違うじゃない?


ママ(男)はまだどしようか迷っていた。


「でもママこの子、

ゾンビのツギハギとかなかったら

すごく綺麗な顔してると思うわよ、

女の子みたいじゃない」


ゾンビ少年(四十歳)、

確かに縫い目や致命傷の後さえなければ、

元々はすごい美少年だったと思われる。


「ホントだー、カワイイー」


「ちょっとあんた、

エステにでも行って来なさいよ、

綺麗になるかもしれないわよ」


エステでどうにかなるとは思えないが、

周りのオネエさん達も

元の顔がいいことには同意する。


「ぼ、僕、

女の子の服とか着てみたいですし……」


ゾンビ少年も必死にアピール。


「まぁ、いいか、

いいのか、これで」


ママもとりあえず

お店で働くこを許可するのだった。


-


「ゾ、ゾンで~す」


入店したゾンビ少年、改めゾン

お客のテーブルに付き接客をするが。


「こ、この間、

起きたら片目取れちゃってて……」


緊張しながらギャグを言ってみたが、

寒い空気が漂いだけである。

後でものすごく落ち込んで、

余計に自分が嫌いになりそうな勢いだ。


「もうやだ、この子ったら、

いきなり滑ちゃって」


すかさずフォローするママ。


「ほらあんた、

異世界に住んでた時の話でもしなさいよ、

いろいろあるでしょ」


ゾンとしては

面白い話をしたつもりもなかったが、

こちらの人間は知らないことばかりなので、

思いの外盛り上がり、

異世界ファンタジー好きな客などは

食い入るように聞いていた。


その後、ママに呼び出されるゾン

接客態度とかいろいろ怒られるのかと思い、

びくびくしていたゾンだったが。


「あの異世界トーク、あれはイケるわね」


「あんたアレ

持ちネタになさい、

鉄板ネタになるわよ、鉄板」


異世界トークした時の客の反応を見たママが、

これはゾンの売りになると思って、

いろいろとアドバイスをしてくれるということだった。


無理に他の人と同じことをするのではなく、

自分の個性の中から売りをつくりなさいという、

これまたママの有り難いお話が延々と続く。


しかし、そのお陰もあってか、

ゾン目当ての客も増え、

ゾンもやり甲斐を感じるようになり

少し自分に自信を持てるようにもなる。


-


そんなゾン

ある日知り合いの半魚人を連れて来た。


「みなさんのお話したら

半漁人さんがエラく感動して

是非自分もこのお店で働きたいと……」


「自分も他人の目を気にするんじゃなく、

もっと自分らしく生きたいと思い……」


結果、半魚人も入店して働くことになる。


「ちょっとこれ、

ますます化物小屋みたいになって来たわね」


元異世界住人である二人のトークが受け、

ネットで話題になった影響もあり、お店は繁盛。


連日満員の客足に

人手が足りないということで、

半魚人の知り合いである

リザードマンにヘルプで入ってもらうことも。


「ちょっと、もうこれ

ただの縁日の見世物小屋みたいじゃないの」



しかし、異世界トークが聞ける店として

お店はしばらく繁盛し続けたらしい。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ