五十撃目
一度、東京に戻ってきた。
決して私のわがままでハワイのスーパーで手に入らない日本のポテトチップスを、お土産に買いに行きたかったからでは無い!
田中と小林のパスポートが無いため転移魔法でこっちに来なければいけないためである。
コッコアルットは、東京に結んだ転移魔法陣を破壊した。
ハワイに残った魔法陣はあるがついになっていないし、術者レベルの魔法がつかえる人間がいない為万が一にも発動する事はないそうだ。
私は、待ちきれないほどのお土産を背にコッコアルットが作った魔法陣の上に乗るとすぐコッコアルットが呪文を口にし始めた。
一般的な魔法なら口にせずとも発動するが世界と世界を結ぶ魔法なのでコッコアルットで持ってしても暗唱は必要だそうだ。
だが、ドラゴンの言葉なので何を言っているか一切分からない。
魔法陣が光を帯びあたりが白くなって行く。
小林、田中は手を振っていた。
もう言葉は、届かない。
私も手を振り返す。
あたり一面真っ白になった。
あぁ、これで帰れるのか…。
…
……
………。
コッコアルットは、暗唱をやめている。
魔法陣も光っていない。
だが、あたりは白いままだ。
「あれ?コッコアルット…殿?」
「はい、何でしょう?」
「ここは?真っ白くて特に何も見えないのですが…」
「ええ、当たり前ですわ」
コッコアルットは、不思議そうに小首を傾げる。
「我も白くしか見えん。
元の世界に戻るのではなかったか?」
タルッタも不安げな声を上げる。
「ええ、あれ?3人ともここを通らなかったのですか?」
「ルモエラここ来た。
タルッタ寝てた。
ラファージュランタルッタの下に居た」
ルモエラだけは知っているようだ。
どうやらみんなここを通ったらしい…って、私タルッタに潰されてた!?
「ところでここは?」
そう言っうと目の前にゴルフボール程の小さい地球が現れた。
「御機嫌よう、みなさん。
もう満足いたしましたか?」
地球から声がした。
「ええ、私は満足ですわ」
「ルモエラもう、帰る」
「ちょっと待て、コレは何なんだ?」
「コレ呼ばわりは、失礼にあたりますわ。
この方、地球の神様…いえ、地球そのものでしてよ」
な…コレが地球の神だと…。
「地球の神…地球の神よ!なぜ我らは地球に呼ばれたのだ?理由は?」
「存じ上げません」
「神なら何でも知っているのではないか?」
「人の心までは、把握しておりません。
それに私は、あなた達の通行の許可を出したに過ぎません。
まだ、満足でないのなら地球に戻りますか?」
「いや、元の世界に戻りたい」
「では、あなた達の世界に連絡を取りますね…
少し時間がかかるようです。
お待ちください」
「神よ時間のある限り聞きたい」
「何でしょう?」
「なぜ私は、地球での言葉を何不自由なく使えたのか?」
「ルモエラが、そう望んだからです」
「な!ルモエラは、承知の上地球に行ったのか?」
ルモエラはこくんとうなづく。
そのルモエラに対しタルッタが説教を始めた。
地球の神の対応を見る限り、移動は許可制のようだ…もしかするとルモエラが地球に来ることを拒んでいればこうならなかったかもしれないのだ…説教は、甘んじて受けろと思ってしまう。
「あとは…誰が呼んだのだ?」
「人間らと人間らが描いた魔法陣ですね。
不特定多数なのでら全員の名前をお伝えしますね、安達夏菜子、佐々木…」
「いや、個々の名前はいい。
では、誰が人間らに魔法陣と呪文をおしえたのだ?」
「人間らに魔法陣と呪文を教えたのはコッコアルットです」
「な!」
「やはりな…」
「存じ上げませんよ。
本当に教えた記憶がありません」
コッコアルットの眉間に皺が寄る。
あまり嘘をついている顔にはみえない。
「私が、いつ人間らに魔法陣と呪文を教えたのですか?どのようにして?」
「小林敬浩の中学二年生の8月2日18:32:45に漫画の題材にするから何かアドバイスをくれと言われた時です」
「…あ」
…小林の中二病の為に我らが呼ばれたのか…。
「あの…その魔法陣無かったことにできませんこと?再度使われても困りますわ」
「できかねますし…面白味が…」
「え?」
今この神、面白味がとか言ってた???
「もしかして…」
「さて、あなた達の世界に連絡が、取れました。
これよりそちらの世界に送ります。
では…いつかまた」
またとかないから!
むしろ、話の途中だから!
よろしくお願いします




