四十七撃目
「コッコアルット殿、手を止めなくて良いのだが少し話をしてくれないか?」
「お客様に対し片手間は失礼にあずかりますのでもう少々お待ちください」
「客人としてではなく話がしたい」
コッコアルットは、ため息を吐いた。
「少し待つ事も出来ないなんて…親の顔が見て見たいもよですわ…
いいでしょう、何のご用事ですの?」
コッコアルットは、洗い物を続ける。
「単刀直入に聞くが、今まで小林の家系の第一子を、加護して来たと聞いているが…第一子が、子を為さなかった時、
もしくは病気か何かで亡くなってしまった事はないのか?」
コッコアルットがピクリと動じた。
「私が加護を施している人間が死ぬことがあるとおっしゃるのですか?
私これでもこの世界での医者以上の治療ができましてよ…
と、言いたいところですが…」
その後コッコアルットは思い出にでもふけっているのか、目をつぶり手を止めた。
ため息をまた、吐いた。
「…過去に2名成人前に病気で亡くなってしまいましたし、1名子を為さなかった方がいらっしゃいましたわ」
「その時はどうしたのだ?」
「第二子を加護しましたわ」
「それなら…」
「そういうわけにはいきません」
言い終わる前に口を挟まれ断られる。
「なぜた?」
「小林様はまだ結婚適齢期内、そして一人っ子ですし、小林様のお父様はご高齢ですもの」
「小林は、誰でもいいわけでは無いし、今すぐは無理だと言っているぞ。
もしかすると今後誰とも一緒にならないかもしれないではないか」
「以前にも、言いましたがその時はその時ですの」
「だいたいなぜそこまで小林の家系にこだわる」
「以前受けた恩があるからですわ」
「もう十分ではないのか?そんなに長く使えるなんて…どんな恩を受けたのだ?」
「貴方の知るところではありませんわ」
「小林殿が子供を作らない限り帰る方法を教えてくれないのか?」
「ええ」
「他に教えてくれる事は無いのか?
何か欲しいものとか」
「ございません」
押し問答が続く。
何か良いキッカケが無いとコッコアルットはうんといわなさそうだ。
第一子だけにこだわっているわけでは無い事を知れただけでも収穫があったが…小林に死んでもらうわけにはいかないよなぁ…。
「話が終わったなら出て言ってくださいません?
まだお仕事が残ってますの」
「あぁ、すまない」
私が、立ち去ろうと振り返るとそこにはルモエラが人型で立っていた。
ルモエラの人型は、ツインテールが似合う赤毛の15歳くらいの少女である。
「話…聞いていた。
ルモエラも…話したい」
「コッコアルットとですか?私とですか?」
「ラファージュラン」
「かしこまりました。
お母さん…タルッタには声かけてありますか?」
こくんとうなづく。
…これで20歳かー…分からんな。
「では、外にいかないか?
近くに景色の良い公園があるぞ。
夜風も涼しいしな」
また、こくんとうなづいたのでそのまま出かける事にした。
「ラファージュラン、小林、子供作らないのか?」
「私には、子供殿との間に子供が欲しいと思えないのだ」
「コッコアルット育てる。
私産む」
「えっ!?」
サァーっと、風が吹いた。
「で…でも、それはタルッタが許さないのでは?」
「タルッタ帰りたい。
帰らないとここ壊す。
よく無い」
「それは、そうだが…」
小林は、ルモエラとは子供を作る気がないといっていた…どうしよう。
ドラゴン退治並みに私には恋愛のアレコレも難しい。
よろしくお願いします




