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四十五撃目

話し合いが混沌を極めたので、いったん落ち着いて考える必要があると小林が意見し、それに同意するかたちでいったん解散となった。


小林の別荘は広くゲストルームが、いくつかあったので、私、田中は別々に。

タルッタとルモエラは同じ部屋を借りて休むことにしたのだ。


ドラゴンは、食事はとらないが休憩は必要らしく長く飛んだ為休みたかったそうだ。


私と、田中も泥のように眠りについた。


小林は、コッコアルットと口論になったと後から聞いたが、コッコアルットが受け流して終わったそうだ。


眼が覚めるともう夕暮れになっていた。

身体は、まだダルい。


だが、十分に睡眠がとれたので、先ほどの話し合いの時より頭が回りそうな気がする。


部屋にシャワーが付いていたので身体を清めた。


着替えは、いつの間にかコッコアルットが新しい服を用意してくれていたのでらそれに着替えた。


淡い水色のワンピースにサンダル。

それに、男性物ではない下着。

この世界に来て初めてオシャレらしいオシャレをした。


思えば、シャンプーも良い匂いがする。

だから、髪も久しぶりにおろしたままにしてみる。


ちょっとだけ、気恥ずかしい。


コンコン…扉がノックされた。


「誰だ?」

扉を開けると田中が、立っていた。

田中も服をきがえていた。


「うわぁ!驚きました!

スーツも映えましたが、ワンピースも女の子らしくて素敵ですね!」


田中の久々誉め殺しである。

気恥ずかしさが増した。


「ちょっと散歩しませんか?日も落ち出し少し涼しくなったので…

話したいこともあります」


「わかった。

特に用意するものはないのでこのまま出よう」


夕飯の準備をしていたコッコアルットに声をかけ外に出る事を伝える。


こうしてみるとコッコアルットは、本当に普通の、使用人に見える。


外は、日中と違い爽やかな風が吹いていた。


少し歩くと公園があり街と海を見下ろすことが出来た。

小高い丘の上に別荘があったらしい。


「綺麗だな。

こんな時でないときに来たかった」


「そうですね。

また何にもないときに来ましょうね」


…返事はできない。


正直、もし元の世界に帰れる事になったら帰りたいと思うから。

そして、その可能性が多少なりとも以前に比べ大きくなったから。


思えば、あっちの世界では楽な方に逃げて生きて来た気がする。


まぁ、こちらも変わらないが…変わらないがなぜが国の偉い人やドラゴンやらと、対等にやり取りできて来たので自信がついたからだ。


だから、私は返事をせず笑って返す。


「渡したいものがあります。


本当は…本当は、ラファ氏がこちらの世界に来て1週間が経った時に渡そうと購入したものなんですが…タイミングが掴めなくて今になってしまいました。


それに、その姿を見た時今つけるのにぴったりだと思ったんです


ちょっと箱が汚くなってしまってますが…色々あって、すみません」


ピンク色の長い可愛いラッピングがしてある。

ラッピングを、破る事に躊躇し、ゆっくりはじから開ける。


この世界では紙は貴重ではないことをもう知ってはいるが、何やら大切なものな気がしたからだ。


ただ、慣れていないせいで結構破けてしまった。


破けてしまったラッピングも持って帰ろうと思っていたが、田中にとられてしまう。


早く開けろと言わんばかりだ。


長細いケースを開けるとペンダントが入っていた。

緑色の石と、その周りに少しの細かい飾りが付いている。


石は、私の目の色に合わせていることがわかった。


「も…もらってしまっても良いものなのだろうか?」


「そんな、大それたものではないんです。

さっきも言ったように1週間目の記念というか…お疲れ様の意味なんで、変な意味はありません」


そうは言うが異性からアクセサリーなんて貰ったことがないし、元の世界で異性からアクセサリーを貰うのはお付き合いしている証拠になる。


戸惑ってしまう。


すると田中が、ペンダントを手から取りサッと首につけてしまった。

嫌がる事もできたのだが…そのまま受けた。


「似合ってますよ」


ニッコリと笑顔でそう言う。

このスケコマシ!

よろしくお願いします

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