四十四撃目
「コッコアルット!お前!
なんで、こんなことした!?
どうしたら帰れる!」
「まぁ、小さいネズミですこと」
コッコアルットが、タルッタを鼻で笑った。
「むっ!これなら、どうだ」
タルッタが、人型に変身した。
以前国際展示場で見せたエルフの姿だ。
「ネズミは、いくら見てくれを代えても所詮ネズミですわ」
「コッコアルット、タルッタ、いじめない」
ルモエラが、タルッタの前に出る。
「挨拶もできない者に名前を呼び捨てられたくはありませんわ」
「なんだと!」
タルッタは、臨戦状態だ。
「こら、人の家の前で何騒いでる!って、田中じゃないか?」
小林が、玄関から出てきた。
「すまぬ小林殿。
コッコアルットが挑戦的過ぎるので、間に入ってくれぬか?」
「僕からもお願いします、話があるんです」
田中と共に小林に頭を下げる。
「何のことだか、分からんが…って、ラファたん生きていたのか!」
…にしても、どいつもこいつも皆私を殺したがる。
小林の指示で部屋に通される。
コッコアルットによってお茶が用意され、はじめ横に立っていたコッコアルットは小林の指示で同席する。
「さぁ、何がどうなっているか説明願おう」
小林が話を切り出した。
自己紹介が済むと、田中に説明したように私が簡単に説明する。
「ちょっと待て、安西どう言うことだ?お前が彼らをここに呼んだのか?」
安西とは、コッコアルットの事である。
小林からしたらコッコアルットは、昔から家にいる使用人であり、日本人として接しきてたので、今更呼び方は変えられない。
「いいえ、そんな面倒な事なさいませんわ」
コッコアルットは、我々の考えをバッサリ切った。
ドンッ!
タルッタがテーブルを、叩く。
「そんな事信じられん!」
「信じるも信じないも、事実ですわ」
「では…誰が我らをここに呼んだと言うのだ…」
にわかには信じられない。
「帰る方法、知りたい」
話の進まない話では無くルモエラは帰る方法に着目した。
「そ…そうだな、誰がここにと言うより帰る方法について話を聞きたい。
コッコアルット、お前が自力でこっちの世界に来たと発言したことを聞いたが、それならば帰る方法も知っているだろう?」
タルッタが身を乗り出す。
「帰れるかどうかはわかりませんが、存じ上げて降ります。
あなた方に教えて差し上げる必要性を感じませんが…小林様…」
コッコアルットが小林を見る。
「どうせ、小林様は教えて差し上げろとおっしゃるのでしょう?」
「当たり前だ」
コッコアルットは、ため息を吐いた。
「では、小林様。
私とて無償で、教えるのもつまりませんから…そうですね…小林様が早くお子をなしてくださればお伝えしてもよろしいですよ」
「な!」
「簡単ではありませんか。
それに人の妊娠期間なんて短いものですし…」
「簡単なわけないだろ!相手だっていないんだ!1人で分裂する訳にはいかないんだぞ!」
小林が怒鳴った。
確かに…簡単であるが難しい。
「まぁ!相手ですか?ならここにちょうどいいのがいるではありませんか?」
コッコアルットがニコリと笑った。
「お、逆プロポーズですな!」
田中がワクテカしている。
「プロポーズ?何をおっしゃってらっしゃるのですか?
ここに結婚適齢期の2人、ラファージュランとルモエラがいますわ
お二人とも小林様のお好みの方ではありませんか」
ブッ!
飲んでいた紅茶を吹き出した。
「な!バカを言うな!ルモエラは、産まれたばかりだ!」
タルッタも驚きの声をあげる。
「産まれたばかり?そんなわけございませんわ、ドラゴンからしたら産まれたばかりですが、産まれてから20年もたってますのよ。
人間では結婚適齢期ですわ。
それに、ドラゴンだって20年もたてば子もなせますのよ」
え?ルモエラ…私より年上!?
なんか色々とんでも発言である。
「ま、まて…こいつらを転移魔法で呼び出したのは本当にお前じゃないのか?
何だか話が進むにつれ全ての、元凶が安西な気がして来た…」
「激しく同意します」
「まさか!そんな筈ございませんわ、たまたま転移されたのが小林様の好みだっただけで」
「そもそもなんで2人が好みなんだ?ラファたんはともかくもう1匹はハムスターだぞ」
「ここで、その質問に答えるのは憚られますが…小林様が、そう望むのであれば…
小林様が本棚の裏に隠してらっしゃる
『奴隷になるくらいなら…くっ殺せ、アナまで広げるな』と
『お兄ちゃんドラゴンの妹はもうたえられません☆繁し…」
「ああああああああああ!」
小林と田中が同時に叫びコッコアルットを押さえた。
「タイトルがまだ途中ですが…」
「もういい、わかった俺の負けだからそれ以上はやめてくれ」
「同じ男としての意見ですが、ここでの公開処刑はやめてあげてください」
「そ…その何だ。
男とはそういう生き物だろう」
「ラファ氏、フォローは小林氏をさらに突き落とすのでその件については無かったことにしてあげてください」
「そ…そうか…」
…
…
…。
どちらにしても変な空気になってしまった。
タルッタとルモエラは話がわからないようだ。
この世界に来て彼らはまだ情報をほとんど得ていないので、ある意味小林にとっては、助かっただろう。
「ちょっとまて、よく話が見えないのだが、そもそも何でその人間に子供が出来なければ帰る方法を、教えないのだ?
帰る方法と子を成すことに繋がりはあるのか?」
タルッタが、不思議そうにしている。
「繋がりはございませんわ。
ただ、私の守護している小林様に子をなしてもらいたいだけです。
私1人が躍起になっても小林様は動こうとしないので人類に人質になってもらおうと思っただけですわ。
だって、タルッタは帰らなければ人類を滅ぼすに等しいほど減らすつもりなのでしょう?」
小林が…いや、そこにいたコッコアルット以外が全員絶句した。
コッコアルットは、地球に住む人類と守護対象を天秤にかけて話をしているのだ。
なんて無茶苦茶なのだろう…。
これがドラゴンの考え方なのか…まぁ、子育てする環境が悪いからという理由でタルッタも、地球に住む人間を殺しているしな…。
ドラゴン本当に怖い。
よろしくお願いします




