田中目線の対タルッタ戦 その1
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ラファと離されてしまった。
今は、小林の父親と共に自衛官に護衛されながら高速道路で北上中だ。
これから対タルッタ戦だと言うのに。
休憩もトイレにまで自衛官が、付いてくる。
これじゃ、出るものも出ない。
ここまで監視しなくても悪人じゃないのだと思うが、ネットに色々晒したせいで…保護という名の監視をさせられざる得ないのだろう。
本音を言えば、この状況から逃げ出しさっさと東京に戻り対ドラゴン戦を録画したいところだ。
ただ、幸い有益な情報を政府に流した功績もあるため割と気を使って現状報告を受けられる身ではある。
ヘリコプター二機がドラゴンによって大破したと聞いた時は肝が冷えた。
二機目の乗組員は、全員無事保護されたそうだが、一機目の乗組員の安否は分かっていない。
「新たな報告を受けました。
その…あまり良い報告では無いのですが、お聞きになりますか?」
「もちろんです!覚悟はできています。
今後も悪い報告が、あっても直ぐに言ってください」
「かしこまりました。
ドラゴンによるテロ攻撃が例の円内で起き、死者負傷者および行方不明者が多数いる模様です。
詳細は分かっておりません」
「なっ!防げるはずではなかったのか!」
小林の父親が、声をあらげる。
僕としては、あぁ、やってしまったか…と言う感想だ。
平気で人間を殺すようなやつだ。
ちょっとしたキッカケで魔方陣を発動させるだろうし、元々そのつもりで作った魔方陣だ。
時間の問題だったのだ。
それに、ドラゴンが、そう簡単にやられるわけがない。
ラファは剣や弓でドラゴンを倒す事が出来ると言っていたが、ラファ曰くドラゴンと対峙した事は無く文献で読んだだけだという。
そもそもラファが生きていた時代にドラゴンといざこざが起きた事が無いそうなのだ。
そう聞いたとき、その文献はいったいいつの時代の文献であろうと思った。
また、きっと全て正直に書かれたものでも無いかもしれないと想像も付く。
きっと英雄伝レベルの話なのでは無いか。
そう考えると、人間の都合の良いように屈折して書かれているに違いない。
またタルッタもそう安安とやられたりはしないだろう。
もしくは…かなり良い方向で考えるならば、ラファや自衛隊がタルッタを危機まで追い込み道連れ覚悟で魔方陣を発動させた可能性もある。
それだったらいいのだけれど…。
僕は、遠くの空を見上げた。
どうか、無事でいてくれ。
僕が…僕が、炊き立てたりしなければ彼女は今も笑ってポテトチップスを、かじっていたかもしれない。
2人で逃げる事もできたただろう。
なんで、自分は何も力が無いくせに何もできないくせに偉そうな事を言ったのだろうと今更ながら少し後悔もした。
いゃ、彼女はきっと大丈夫。
なんせ、漫画の主人公のような存在なのだ。
破れるはずがない。
そう自らに言い聞かせる。
「新たな報告が入りました。
ドラゴンと、混戦になりラファージュラン・キタノ・オンターラがドラゴンに喰われ戦死したとの事です。
その後、ドラゴンは富士山方面に飛んで逃げたそうです」
え…いや…報告前に聞くかどうか確認しなくても良いと言われたけど…そこは確認してよ。
やたら頭は冴えそんなツッコミさえ心の中で考えられた。
「おい!彼女が死んだら誰がドラゴンへの対応と責任を取るというのだ!?
逃げられただと?自衛隊は何をしているんだ!」
小林の父親は、怒鳴り散らす。
「そんな事知るかよ」
思わず暴言が口をついてでた。
あれ?僕こんな暴言吐くキャラだっけ?
「次のサービスエリアで降ろしてください。
え?護衛?
どうせ、あんたらいても何の役にも立たない事が証明されたじゃありませんか?
いいから早く降ろして…降ろせよ」
よろしくお願いします




